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だが澤井凛が気になる。
別に、立てそうにないから助けてやろう、とかじゃない。
澤井凛には個人的な恨みがある。
最初に言った通り、あいつもいじめることに乗り気だったのだ。
――でも、なにかが引っ掛かる。
何故1週間ぶりに学校に行くと約3ヶ月続いたいじめはピタリと止まった?
⋯いや、それはただのあいつらの気まぐれだ。
だが何故、澤井凛は所属していたグループに交じっていなかったんだ?
何故澤井凛を見て笑っていた?
何故誰も助けようとはしなかった?
――この1週間の間、何があったんだ?
「ちょっと、貴方大丈夫?」
「⋯⋯大丈夫、です」
――いや、でも都合が良いんじゃないか?
あいつらには俺だって思うところがある。
これなら、澤井凛を利用してあいつらにちょっとした復讐も――。
「澤井さん?――澤井さん!!!」
3限目が始まる合図のチャイムが鳴った。
「では、授業を始めます」
担当教科のおばあちゃん先生がそう言うと、それに覆い被さるように、朝の犯罪者予備軍第2号女、『遠江穂波』が不機嫌そうに言った。
「ちょっと待ってくださいよ先生〜、
凛ちゃんはどうなったんですか〜?」
「それ私も思った!」
周りがざわめき始めた。
それに続けて男子が口々に物を言う。
「そういえば澤井、最近見てなかったなー 」
「いや今朝も昨日も来てただろー! 」
「え、そうだっけ?」
「おい辞めてやれよ、可哀想〜」
⋯これは重症だな。
そのざわめきを遮るように咳払いをし、澤井凛が教室に戻ってきていない理由を話した。