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「はぁ、またあの『実験』に参加するのか…」朝ベットから起き上がりながら私は1人で呟いた。私は朝食を済ませ身支度をする。白衣を着てヘッドホンをつける。「おはようございます」私は実験施設へ入っていく。「やぁ、おはよう葵可くん。」そう言いながらコーヒー缶を手渡される。この人は『先生』だ。気が狂った様な実験ばかりやっていて私はこの人をどうしても『ヒト』として見れなかった。「さぁ今日も始めようか!」『先生』は和かな笑顔でマイナスドライバーを持ってきて『実験』を始めた。私はヘッドホンを外して『先生』の隣に行く。『先生』が2つのカバーを接近させ、ギリギリを攻める実験、これは『先生』がミスをしたらここにいる人が全員死ぬ狂気の『実験』だ。私は『先生』の近くで測定した数値を言う仕事だ。無感情になり1分ごとに測定した数値を『先生』に言っていく。「ふぅ、一旦休憩にしようか」『先生』が私に言ってきた。「はい…」私は近くの椅子に座り込んでヘッドホンを耳に付け直す。「葵可さん、大丈夫ですか?」不意に声が聞こえた。私はヘッドホンを首に掛けて振り返る。「あぁ、空烙さんですか…」「葵可さん大変ですよね…あんなとこで仕事するなんて…」空烙さんはそう言いながら私の隣に座った。「えぇ、でも仕事ですから…」私はそう答えて再びヘッドホンを耳に付け直す。そして実験室を後にする。廊下を少し歩いて突き当たりの部屋で止まる。鍵を開けて中に入る。私の部屋…薬品の匂いと少し青味がかった照明に照らされながら1人昼食を取る。そうしてベットに横になる。少し目を閉じる。すっと心が楽になる。「やっぱ1人の方がいいな…」私はそう呟き枕に頭を埋めて眠りにつく。
***
《せ、先生──》
私が顔を上げた時『先生』の姿は無く代わりに「ミシミシ」と擦れる金属音が頭に鳴り響く。瞬間辺りが青い光に包まれ意識が落ちる。
《早く起きろ〜丑になっちまうぞ!》
***
「んんっ…また、あの夢だ…」私は目を擦りながら部屋を後にして実験室に入る。そして『先生』の隣へ行き機械的に数値を伝える。「あっ!」『先生』が小さく悲鳴を上げる。瞬間、私の目を青い光が灼いた。「『先生』っ?」私は目を咄嗟に閉じる。その後は覚えていない…最後見えて聞こえたのはけたたましいアラームと先生がカバーを手で弾き飛ばす所だった。激しい手の痺れで目覚めた。体が緩衝材に浸った様な感覚が残っている。気持ちが悪い…「此処は…」私は辺りを見回す。「目覚めましたか…葵可さん…」そう言いながら1人の男が視界に入ってきた。「落ち着いて聞いてくださいね」男はそう言って話を続けた。「まずあの実験で生き残ったのはあなたと『先生』だけです。」それを聞いた瞬間途轍も無い罪悪感と嗚咽に襲われる。「鎮静剤を!早くっ!」男が叫ぶ。少しして私の腕に注射が刺され何かが腕に注射された。恐らく鎮静剤だろう…少し気分が楽になって来た。「落ち着きました?」男は優しく私に問いかけた。「は..い…」嗚咽でまともに回らない喉を必死に使って答えた。「良かったです。この話は少し酷でしたね…心中お察しします。」男はそう言って私に頭を下げた。瞬間、私の意識はプツリと闇に堕ちた…..