その日2人は東京に向かう夜行バスに乗っていた。あの日訪れた神社に行く為に…。
「湊さん…寒くないですか?」
隣に座る湊に小さな声で尋ねる。
「窓際だから少し冷えるな…」
湊も小さな声で答えた。
シンは席を立つと
「ブランケット借りてきます」
そう言って前方へ向かう。
戻ってくると
「残り1枚でした」
ブランケットを持ち上げ湊に見せる。
「シン。お前が使え…俺はコートかけて寝るから…」
「湊さんの為に取ってきたんですから、湊さんが使ってください」
「お前が持ってきたんだからお前が使えって」
「湊さんが使ってくださいっ」
だんだんヒートアップしていく2人の会話に周りから咳払いが聞こえた。
「……」
「……」
「わかった…貸せ…」
湊はシンからブランケットを取り上げると大きく広げた。
1枚のブランケットが湊とシンを包み込む。
「湊さん…」
「っるせぇぞ…………」
湊は少し照れながら窓枠に肘をつき暗闇の景色を眺める。
1枚のブランケットを2人で使っている事が…湊の優しさが…嬉しくて…。
湊の横顔をじっと見つめる。
そんなシンの視線を感じていたが湊は窓の外を見つめたままでいた。
そろそろ眠りにつこうとシンは背もたれを倒す。
不意にモゾモゾっとブランケットが動くと湊の手がシンの手に触れる。
「……!」
驚いて湊を見ると、何事も無い顔をして外を見ている。
シンは微笑みながら湊の手を握る。
湊は目線を少しシンに向けると指をシンの指に絡め、また外を見る。
何度も触れている手なのにドキドキしてしまう…。
他の乗客には見えない…わからない…。
2人だけの秘密……。なんだかいけない事をしている気分になる。
誘われているんじゃないかと錯覚さえしてしまう…。
誰もいなければ抱きしめてキスをしているところだ。
そんな事できない事をわかっていてわざとやってんだろ…?
あんた…ずりぃよ……。
天井にかかった仕切のカーテンを閉めると2人だけの空間ができた。
シンは腰を上げ湊に近づく。
驚く湊の口元を人差し指で押さえると、もう片方の指で自分の口元を人差し指で押さえる。
(しぃぃ……)
声には出さず湊に伝える。
薄暗い車内に湊とシンの影が重なる…。
シンは押し倒したい気持ちをぐっと我慢して湊から離れ席に戻ると眠りにつく。
再びブランケットの下で絡まる指がなんだかもどかしい……。
眠りにつくシンを見つめながら、湊は自分の唇に触れた…。
そこにはまだシンの唇の温もりが残っていた……
【あとがき】
コメントにて、アイデアいただいたので少し考えて続き書いてみました♪
ブランケットの中の秘密の話は書きたかったんです。なんか、ドキドキしませんか?笑
続きはまた、話がまとまったら投稿しますね。
それでは、また次回作でお会いできますように…
月乃水萌
コメント
24件
めっちゃ今回もいいですね♡♡ 2人だけの秘密って感じでキュンです(⁎˃ᴗ˂⁎)また楽しみに待ってますね♡♡
書いてくれて嬉しすぎます🥹 ありがとうございます😊 続きも待ってます!!☺️
少ないかもですが100いいね貰っときました😸