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万能つるはし『ゲイルチュール』を構えた。攻撃力はたったの『10』しかない武器だが、これでもないよりはマシ。
「スコルは後方支援を頼む」
「了解ですっ」
鋭い牙を持つどうもうなイノシシが地面を蹴り、こちらに突っ込んでくる。もうこんな近距離に……やべぇ、やられるッ。その前に俺は気合でゲイルチュールを下から上へ振り上げ、物理攻撃を与えて――ねぇッ!!
ダメージこそ与えられていなかったが、激しいノックバックを与えた。イノシシは遠方に飛んでいく。だが、直ぐに体勢を整え、激しく興奮して猪突猛進してきやがった!
「そうでした、ラスティさん!」
「なんだ!」
「あのイノシシモンスターは『セーフリームニル』という高レベルのモンスターで非常に危険なんです。あの突進攻撃は必ず避けて下さい!! 死んでしまいます!!」
「今更遅いんだよぉ!!!」
ツッコんでいる間にもセーフリームニルがぶっ飛んでくる。くそ、くそ、こんなところで負けてなるものか。
俺は、肉を、食う!!
頭をフル回転させ、この絶望的状況を打破する方法を考えまくった俺。……ああ、そうだ肝心な事を忘れていた。これだ。これしかねぇ!!
無人島開発スキルを使い、材料『石×10』と『土×10』を消費。防衛設備の『落石』を近くの木に設置した。こんな簡単に出来るのかよ! 相変わらず便利だが、今は感心している場合ではない――!
俺は背を向け、セーフリームニルを誘導する。ヤツは真っ直ぐ俺に向かってきて、追い掛けてきた。大チャンスだッ!!
落石ポイントのギリギリを俺はジャンプ! 飛び越えて、イノシシ野郎を発動領域に誘い込んだ。そして、セーフリームニルは上空から降ってきた大岩に潰された。
「うわぁ! 凄いです、ラスティさん!」
「俺もビックリしてるよ! 人よりも大きな岩だとは思わなかった」
どう考えても設置時はテーブルくらいの大きさしかなかったが、岩が落ちてくるとビッグサイズになってイノシシに落ちた。これが防衛設備かぁ、すげぇや。
セーフリームニルは、塵となり『イノシシ肉』をドロップ。そうか、モンスターはこうやってアイテムを落とすんだな。わざわざ屠殺する必要はないわけか。
「やりましたね、ラスティさん!」
ハイタッチを交わし、喜びを分かち合った。これが勝利か……良いものだ。これで久しぶりの『肉』にありつける!!
「肉だ、肉が食えるぞ、スコル!」
「はいっ、お肉……お肉ですよぉぉぉ!!」
もうお腹が空きすぎて我慢ならん。直ぐに調理しよう。『キャンプファイヤー』を設置して焼くぞー!
焼肉パーティだぁ!!