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出久推し
262
ひま
47
さくち
139
アジトに戻ると、出久はソファに座ったかっちゃんの隣にちょこんと腰を下ろした。
「……かっちゃん」
「ん」
「……怒ってる?」
「怒ってねえ」
「……ほんと?」
「…………」
かっちゃんは出久の顔を覗き込んだ。
「なんでそう思った」
「だって……さっき、すごく怖い顔してたから」
「そりゃテメェ……」
言いかけて、口を閉じる。
出久に怒っているわけじゃない。
出久を傷つけようとした奴らが許せなかった。
自分の手が届かないところで、出久が連れていかれそうになったことが、どうしようもなく腹立たしかった。
それ以上に――怖かった。
もし、あのまま出久を連れていかれていたら。
もし、二度と隣に戻ってこなかったら。
「……かっちゃん?」
「……こっち来い」
「え?」
「いいから」
かっちゃんが腕を広げると、出久は嬉しそうにその胸へ飛び込んだ。
「ぎゅーーーっ!」
「……っ、勢い考えろや」
「えへへ!」
かっちゃんは出久を抱きしめ、後頭部をゆっくり撫でた。
「……出久」
「なあに?」
「今日みてえなこと、二度と起きてほしくねえ」
「……うん」
「テメェが俺の見てねえところで傷ついてんのも、怖がってんのも……俺は嫌なんだよ」
「……かっちゃん、心配してくれたの?」
「当たり前だろうが」
「……ふふ、嬉しい」
「笑い事じゃねえ」
「でも、かっちゃんが僕のこと大事にしてくれてるの、分かるから」
「…………」
「僕もね、かっちゃんがいなくなったら嫌だよ」
その言葉に、かっちゃんの腕がぴたりと止まった。
「……出久」
「ん?」
「……俺を置いてどっか行くなよ」
いつもなら命令するように言う言葉が、今だけは少し違った。
出久は目を丸くして、それからかっちゃんの服をぎゅっと握る。
「……行かないよ」
「…………」
「僕も、かっちゃんの隣がいい」
「……絶対だな」
「うん。約束!」
かっちゃんは出久の額に自分の額をこつんと合わせた。
「……なら、ずっとここにいろ」
「……ふふっ。かっちゃん、甘えんぼだね?」
「うるせえ」
「僕のこと大好き?」
「……は?」
「ねえ、かっちゃん!」
「……大好きに決まってんだろうが」
「……っ、えへへへ!」
出久の顔がぱあっと輝いた。
「僕も!かっちゃん、大好き!!」
「…………」
「かっちゃん?」
「……もう一回言え」
「えっ?」
「聞こえなかった」
「絶対聞こえてたでしょ!?」
「聞こえてねえな」
「もーーっ! かっちゃんったら!!」
それでも出久は、嬉しそうに笑ってもう一度告げた。
「……大好きだよ、かっちゃん!」
かっちゃんは出久を抱きしめ直す。
「……ああ。俺もだ、出久」
そして、誰にも聞こえないくらい小さな声で付け足した。
「……お前だけは、絶対に手放さねえ」
コメント
1件
もう、かっちゃんの「聞こえなかった」ってやつ!!絶対聞こえてたのにね〜(笑)でもそうやって出久に言わせたい気持ち、すごい伝わってきてこっちまで照れる……。最後の「お前だけは絶対に手放さねえ」も、震えたよ。出久を奪われかけた直後だからこそ、この甘やかさが泣けるほど優しい。2人だけの空気感が本当に素敵でした☺️