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イタリア。
戦いも、柱の男たちもいない、平和な世界。
ジョセフは編入生。
お調子者で、声がでかく、男友達が多く、落ち着きがない。
でも成績はいいらしい。
それに比べ、シーザーは街の名家の息子で、品があり、成績優秀で、常に冷静。
女から好かれているらしい。
このふたりの出会いは、最悪そのものだった。
編入初日、ジョセフが校内をフラフラしていると、シーザーにぶつかってしまった。
「君、どこ見て歩いているんだッ!」
「は!廊下で突っ立てる方が悪いんじゃねーの!?」
周囲は静まり返り、ため息をつく。
これがふたりの出会い。
授業では、ジョセフが適当な答えをいい、周りの笑いをとる。
シーザーは完璧な答えをいい、周囲を関心させる。
「ちょっとは間違えて、周りの笑いを取ってみたらいいんじゃねーの?優等生サン」
「君がふざけすぎなだけだ。問題児クン」
「にゃにを〜!?」
仲が悪いのに、なぜかグループ分けはいつも一緒になってしまう。
レポートをまとめるときは、ジョセフが雑に案を出し、シーザーがそれをまとめる。
そのレポートは、ほぼ毎回先生からとても褒められる。
「ほらな!俺の発想力のおかげよン」
「発想は悪くないが、実行が雑すぎる。」
「うっせ!テメェがまとめてくれるんだからいいんだよーだ」
放課後、街をぶらつくのもふたりは一緒。
ジェラート屋で、味を選べずに揉めている。
「絶対ェレモン味だね!」
「いーや、ジェラートと言えばチョコレートだ!」
「えー!シーザーちゃん子供舌でちゅね〜笑」
「君よりは日頃の行い的に大人だと思うがな。」
「なわけねーだろ!」
結局、選べず半分こ。
夕方、ふたりは橋の上でジェラートを食べる。
ふと、ジョセフが言った。
「俺、この街結構好きだぜ」
シーザーは少し驚い手から、微笑む。
「……なら、ずっとこの街にいるといい。」
「当たり前だ!」
ジョセフが、思いきりシーザーに肩を組む。
その弾みで、シーザーのジェラートが落ちてしまった。
「…あ、わ、わりぃ。怒ってる?」
「……貴様、良くも俺のジェラートを!やはり元いた街に帰れ!」
「えぇ!そこまで怒んなくてもいいだろー!?」
戦いもない、別れもない、命をかける理由もない。
ただ、張り合って、言い合って、笑い合う。
気づいたら、いつも隣にいる存在。
歳をとっても、きっとこのままなのだろう。
「シーザーちゃん、俺ら、爺さんになってもこのままだといいな!」
走りながら、ジョセフが言う。
シーザーは、ジョセフを追いかけながら
「そうだといいな」
と言う。
世界が違っても、2人は出会い、2人は常に肩を並べる。