コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
涼さんの写真アカウントは、さすが世界中行っているだけあって、多国籍に溢れている。
珍しい食べ物や広々とした大地、色んな人種の人と笑顔で映っている写真もあった。
(こうやって見ると、御曹司っていうより世界を知っている人っていう感じだな)
そう思うと、彼を見る目が変わった。
今までは美形とか、物凄いお金持ちという印象が強かったけれど、海外に行けば彼の容姿がどうとられるか分からないし、私服姿だと余計に三日月家の御曹司とは思えないだろう。
(普通のTシャツにデニムだし)
写真に写っている涼さんからは、御曹司感はなく、気のいいヒッチハイカーみたいな雰囲気が出ている。
画面をスクロールしてざっくりと写真を見せてもらったあと、私は「ありがとうございます」と彼にスマホを返した。
「どういたしまして」
すると、お礼を言われた直後にチュッとキスをされてしまった。なんで!?
ビックリして固まっていると、涼さんは私を見てクスクス笑う。
「ごめん。恵ちゃんが可愛くて、ちょっかいかけたくて堪らない。ギューしていい?」
「……い、いいですけど……」
まさか涼さんが「ギュー」とか、可愛い事を言うと思わなかった。
朱里だったら「牛していい?」って言うんだろうか。あの子なら言いかねない。
そんな事を考えている間にも、涼さんは私をギュッと抱き締めてくる。
そして小さく「可愛いなぁ……」と呟いたのが聞こえ、私はじんわりと頬を染める。
「抱っこしてもいい?」
「え? わ、わっ」
返事をする前に涼さんはヒョイッと私を横抱きし、怖くなった私はとっさに彼に抱きつく。
「恵ちゃんは軽いよね。抱きやすい」
涼さんはそう言いながらベッドに向かい、ポスンと私をキングサイズベッドの上に下ろす。
「あ……、と」
どうすべきか分からなくて固まっていると、涼さんは「入ってみる?」と羽根布団をめくった。
「……お、お邪魔します……」
私は小さな声で挨拶をし、モソモソとワラジムシのように布団の中に潜った。
(どうしよう……)
ドッドッ……と胸が高鳴り、何もしていないのに体が熱くなって堪らない。
涼さんに背を向けて寝ていたけれど、背後で彼が身じろぎしたのを感じてビクッと体を強張らせた。
彼はスマホを弄ってフェリシアに命令をしたのか、室内の照明がフッと落ちた。
けれど間接照明はついているので真っ暗ではないし、開けっぱなしの窓からネオンの明かりも差し込んできた。
(……涼さん、こんな景色を見ながら寝てるんだ)
私は緊張しながらも、映画のワンシーンのような寝室に溜め息をつく。
「……抱き締めても大丈夫?」
と、涼さんに尋ねられ、私はドキンッと心臓を鳴らしてから「はい」と小さく頷いた。
また後ろで身じろぎする気配がし、腕が延びてきたと思うと優しく抱き締められる。
「ん……っ」
緊張しすぎて心臓がバクバクうるさく鳴り、口から出てしまいそうだ。
ギュッと体に力を込めていると、涼さんは私の髪を掻き上げて耳にかけ、耳たぶにチュッと音を立てて触れるか触れないかのキスをした。
「ひっ、……ぅ……」
たったそれだけなのに、とんでもなくいやらしい事をされている気持ちになり、私は自分の胸元を手で押さえた。
そうでないと、本当に心臓が体から零れてしまいそうに思えたからだ。
次に涼さんは露わになった首筋に優しく唇をつけ、……ちゅ……、と小さな音を立てる。
「んっ!」
唇を押しつけたままチロリと首筋を舐められた瞬間、私はビクッと震えて大きな声を漏らしてしまった。
身じろぎすると涼さんの手が乳房を包んでいて、逃げようがない。
(待って……っ!)
バクバクと胸を高鳴らせて混乱していると、涼さんは耳元で囁いてきた。
「大丈夫? やめたほうがいい?」
選択肢を与えられ、私は「はぁ……っ」と息を吐く。
このまま押し流して抱いてしまう事もできるのに、立ち止まって私の意思を尋ねてくれるのは、さすが涼さんだ。
「……大丈夫、です。……ちょっとずつ」
与えられてばかりではいけないと思った私は、か細い声で返事をする。
すると涼さんは「良かった」と言い、ヌルッと耳孔の中に舌を差し込んできた。それは聞いてない!
「っひあぁああっ!?」
耳舐めなんて上級テクを知らない私は、くすぐったさと気持ちよさの間に揉まれ、混乱した悲鳴を上げる。