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ザーーーーーーーー
「っわ!急に降って来た!」タタタタ
せっかくいいところだったのに、と雨を忌々しく思いながらパラオはいつもの小さな小屋に走る。ふと空を見上げると、さっきまでの透き通る様な空は暗い雲で覆われていて大粒の雨がパラオを目掛けて落ちてくる。パラオはこの雨が好きじゃなかった。外で遊ぶのが大好きなパラオは気分屋でころころ変わり、丁度よくパラオにいじわるする天気を時折恨めしく思う。やっと小屋につき、服に染み込んだ水を絞って雨が止むのを待つ。いつも通りの退屈な時間のはずだった。
「参ったな…」
急に声がしてパラオはとても驚いた。声の主を探そうと後ろを向いてまた驚いた。そこには水の滴る深緑の軍服を着こなす、綺麗な猫耳の国がいたから。でもその国は空模様より暗い顔をしていて、それの原因が天気ではないんだろうなと気づいた。パラオは人の表情に人一倍敏感なのである。
「お姉さん!酷い顔をしてるけど大丈夫?」
その国が驚いたような顔をしたけどそれはパラオが急に声をかけたからだと思ったけど違ったみたいだ。
「お姉さんではなくお兄さんだ。名前は大日本帝国、好きに呼んでくれて構わない」
「僕はね、パラオだよ!ねえナイチ僕、ナイチに来て欲しい場所があるんだ!一緒に行こうよ。」
「…ナイチ、俺の事か?まあそれは置いといて、今は雨だから行けないぞ」
「ふふーん。この雨はすぐ止むんだよ。ナイチこの島来るの初めてでしょ。僕が色々教えてあげる!」
「そうか。パラオはもの知りなんだな。」
そう言うとナイチはパラオの頭を撫でた。パラオはこんなに綺麗な国に誉めて貰ってその上撫でて貰ったのが嬉しくて、白い歯を見せて笑った。すると日帝も目を細めて笑う。パラオは日帝の顔が少し緩んだように感じて、もっと嬉しくなった。
今まで恨めしく思ってた天気も日帝に会ったことでそれはそれはいいような気がした。けれどやっぱり、日帝と早く遊びに行きたくて早くやんで欲しいなってパラオは少し日がさしてきた天気に向かって思った。