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ur「yaくん!そっちにある種取って〜!」
ya「これ?はーい!!」
小さな畑に、足を入れて、種を植える。
服は真っ黒になっていた。
ジリジリと頭から降り注ぐ日光に
目を向けて、思う。
大きくなって欲しいな と。
ya「そういえば、村長が呼んでたよ」
種に水をやりながら、俺に伝える。
ur「きっと、騎士様のお話だろうな」
ur「俺は、未来の騎士様なんだって」
俺が皆から期待を背負っている。
この村の騎士になり、守るんだ。
きっと、生まれてからそういう運命だと
作られていたんだろう。
ya「でもさ、騎士様って一揆とかの時に、お怪我しちゃうんだよ」
「俺は、怖いなあ、」
ur「でも、それで沢山の人が救われるなら、良くない?」
ya「まず、精神からが騎士様なんだね、urって」
ur「それは、褒め言葉か?」
ya「そのつもり〜」
ur「…」
机の上の本に目を落としながら、思い出す。
yaくんは、なんで覚えてないのだろう。
責めるようなことは出来ないが、
どうしても悲しい。
yaくん、そしてhrくん、ttが、俺と同じクラスへと来た。
黒板に名前を書き、自己紹介をしている。
そんな中、俺はぼーっと窓の外を見ている。
聞くことなんてない。
だって、俺はもう知ってるから。
yaくんがお肉好きなことも。
hrくんが動物好きなことも。
ttが空想上の生物好きなことも。
誰よりも俺が1番知ってるのに。
こんなにも近くにいるのに、遠くに感じる。
前世の記憶って、本当にいい事なのかな。
自分の前世の有様。
あんなに称えられていたのに、最後は
呆気なく転落死。
大雨の中、森に行くなんて、今考えればおかしい。
きっと、みんな呆れたんだろうな。
今の俺は至って普通。
もう、期待なんて背負ってない。
なにも、持ってない。
ur「…これ、お前の?」
tt「ん?」
ttが好きそうな、ドラゴンのキーホルダーが落ちていたので、聞いてみた。
あまり、関わるのを避けたかったが、仕方ない。
見捨てるなんてことが1番最低だし。
tt「あ、そうそう…俺の!」
ur「ん…」
tt「ありがとうな!!」
ttは昔のように笑顔をこちらに向けてくれた。
懐かしいなあ。
昔、ドラゴンの絵本を買ってきた時、
こんなふうに笑ってくれてた。
今では、少しぎこちないけど。
ya「…お前、朝の変なやつじゃん」
hr「本当だ!」
yaくんは俺の事を嫌そうに指さした。
hrくんはそれに気づき、ぱっと驚く。
俺、そんな変だったかな。
ur「…あー…っ、えっ、と」
tt「…なんなん、お前、初対面で馴れ馴れしいやつ苦手やねん」
ttは俺の肩を押した。
ガタッと、足が机にぶつかる。
hr「…なんで1発でこれがttのって分かったんだろ〜?」
それは、昔からttの事をよく知っていたからで…
ya「まさか、ストーカー!? (( 笑」
違う。そうじゃないの。
tt「ほんまキモイわ、お前ホモなん?」
俺はただ…もう一度、仲良く……。
仲良く…。
ya「ストーカーしないでくれる?」
hr「オタクくんかな? (( 笑」
tt「はぁ〜、ほんま最悪ぅ、」
仲良くなんて、なれやしない。
俺は、黙って自分の席に戻った。
そのまま、窓の外を見る。
俺の知ってる3人じゃなかった。
いや、違うか。
3人が俺を知らないからか。
そりゃあ、初対面であんなに馴れ馴れしいと
引くよな。
でもさ、前世で友達だったんだよ。
これでも、俺たちは。
そりゃあ、あんなに馴れ馴れしいよ。
ごめんな。
俺の当たり前を押し付けて。
なんで。
忘れちゃったの…。
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コメント
7件
前世は仲良かったんだから今世も仲良くなってほしいなぁ!今回も面白かった!!
複雑すぎる… みんな思い出してー
🍣