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「ここでターンッ!!よし、大丈夫、かな?」オンボロ寮前の階段の踊り場で踊る少女がひとり。

11月の寒い空気が肌に突き刺さるがダンスで体を温めて気付かないふりをしながら踊る。



「終わり!…ダンスの練習をしてもこの学校で役に立つことはない、、ううん、これはもし元の世界に帰れた時にダンスの質が落ちないようにするためだから!!」


一連の流れを踊り終えオンボロ寮から持ち出してきた長方形の姿鏡を見ると酷い顔をした自分が映っていた。昔ステージに立っていた時と比べると少し痩せ、全身の雰囲気は元気がそげ落ちたような気がする。こんなのじゃみんなに私の姿を見せることは出来ないな、と思うと心が外気のように冷えていく。私はその場にしゃがみこみふうっと息を吸う。はあ、と吐き出した瞬間私の足元に目から涙が零れた。1滴、2滴と増えて落ちていく。


ダンスの練習を未だに続ける本当の理由は踊っていればダンスの振り付けや表情、動きに集中できるからだ。嫌な言葉や視線、これまでされたイタズラやさっき井戸の前で殴られた時の痛みもこの時だけはほんの少し頭から離すことが出来る。

けれど…

今思い返せばさっきのターンは少し足の動きが遅かった気がする。それに表情も前より全然笑顔じゃなかった。

今日はなんだか上手くいかないな。

ダンスだけじゃなくて今日も魔法薬学で器具の使い方を間違えて失敗したし、男子校だからグラウンドを走る回数とペースもついていけなかったし…

ダンスを止めてから嫌なことがまた頭の中に湧いてきてしまった。

「反省点ばっかり増えていく…これじゃああの人に怒られちゃうな…あは、は、は…」


懐かしいプロデュサーの眼鏡を掛けて作ってくれたプロデュースの流れが書かれた紙のシートを持って指導をしてくれていた姿が頭の中にふと思い浮かんだ。

今の私を見て彼はまた私をプロデュースしてくれるだろうか?

それに…あの子は、私の代名詞だった紫のリボンをくれたあの子は。

こんな私の姿を見て歌を歌わせてくれるだろうか?

金魚のフンとまで呼ばれるようになって、失敗続きのアイドルなど…


━━━━━━━━━━━━━━━

「今日はここまで。各自しっかり復習しておくように」

先生の声が授業終わりを知らせるベルに負けない大きな声で私達生徒に告げた。

「はぁ…全然ダメだったなぁ」

魔法史の授業で何度か先生から当てられたが全く分からずこの世界での根本的な所から教えてもらい周りからはクスクスと笑われた。


飛行術では魔力が無く箒に乗れない為代わりにグラウンドを走ることになったが広いグラウンドを何周も走り、途中でスピードを落としてしまうと遠くから「スピードを落とさず鍛えるんだ!」と言われ今自分が何をしているのかも訳も分からなくなる程フラフラになりながら走り、息も絶え絶え。挙句の果てにみんなの前で大きく転けてしまい、案の定他生徒に笑われ運動場の草まみれになってしまった。


失敗に落ち込みしょぼしょぼと廊下を歩き食堂に向かう。お昼ご飯を食べて気分を少しでも回復させようと思いビュッフェでコーンスープを皿に注いでいたら後ろから思い切り知らない人にぶつかられた勢いでお皿を落として割ってしまったり。


この世界に来てから毎日毎日こんな日が続いている。かれこれこの世界に落ちてきてから2ヶ月。不安に押しつぶされそうになりながら必死に慣れようともがいているのに….。

大きなため息をつきながら私は廊下を歩く。ああ、今日はなんの練習をしようかな?ダンス?顔や動きの表現力?歌の練習もしないと…。色々と考えて現実逃避をする。こうすると少しだけ、楽になっているような気がする。


背中に吹く風は骨にまで染みて心まで凍てつきそうだ。

私は震える体を縮こませながら目を伏せオンボロ寮へ向かう。

向かったところで金魚のフンの私の親玉だと思われてる監督生が優しく出迎えてくれるだけ。

「おかえり!今日はどうだった?何か嫌なこととかされてない??」

脳裏に浮かぶのは心配そうに私を見つめる監督生とつまらなそうに私を見つめどうでもよさそうに意識をツナ缶へとすぐに戻すグリムだ。監督生の優しい言葉かけが、私にはその優しさも辛いのだ。

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