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華が慌てて書類を確認する姿を、律は横目で見ていた。
頬を赤くして、手元に視線を落とし、必死に隠そうとしている。
(……全部、覚えてますよ。桜坂さん)
昨夜、酔った彼女が泣きそうな顔で訴えた言葉。
――律さんはどうやったら私のこと好きになってくれるのお!
あの必死な声は耳に焼き付いて離れなかった。
(俺の方がよっぽど……好きでどうしたらいいか分からなくなってるのに)
表情に出さないよう努めながらも、胸の奥は静かに熱を帯びていく。
冷静を装い続けるのは、もう限界に近づいていた。