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野々さくら
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#ラブコメ
猫塚ルイ

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俺の引き気味の声に、圭ちゃんは画面をスクロールしながら冷静に分析を始める。
「……ゲイビとか初めて見るけど、シチュ的なやつはそこら辺のAVと変わんねぇな」
その、どこか慣れたような口ぶりを聞いていると、俺の胸の奥に小さな刺がチクリと刺さる。
(圭ちゃん、元カノがいた時は、こういうシチュエーションの普通のAVを見てたのかな)
今もきっと、見てるんだよね…
なんか、ハードル上がる。
無性にモヤモヤとした独占欲に似た気持ちが湧き上がってきて
その思考を振り払うように、俺は画面の隅にあった比較的おとなしそうなサムネイルを指差した。
「は、初めてだし、もうちょっとソフトなやつでいいんじゃないかな……?」
「ソフトなやつ…ってどの辺?」
「ほら、こういうのとか……!」
俺が指し示したのは、『ファーストステップ:男同士のハジメテ、教えます。』と
『Sweet Hug 〜恋する男たちのオムニバス~』という、パッケージからも爽やかさが漂う
比較的初心者向けの2本だった。
「これなら内容的にそこまでハードじゃないと思うし、その……段階を踏むっていうか…!」
圭ちゃんは画面を凝視しながら、「ふーん」と興味深そうに頷いた。
「まあ、これはこれでアリかもな。設定も高校生っぽいし、俺らに近いから参考になりそうじゃん」
「だよね!」
「とりあえず、一つ目の再生してみるか」
圭ちゃんがマウスをクリックすると、部屋のスピーカーから静かなBGMが流れ、映像が始まった。
画面に映し出されたのは、どこか気まずそうな雰囲気の二人の青年。
放課後の教室らしき場所で向き合っている。
互いにぎこちなく言葉を交わし、時折照れくさそうに視線を逸らし合っている。
その空気感は穏やかで、とても綺麗だった。
やがて、画面の中の二人は吸い寄せられるように、静かに唇を重ね合わせた。
そして画面はフェードアウトし
徐々にベッドの上で互いを求め合う、少し熱を帯びた場面へと移り変わっていく。
「な、なんか……想像以上に、綺麗というか、自然だね」
俺は張り詰めていた肩の力を少しだけ抜いて、率直な感想を呟いた。
すると、隣にいる圭ちゃんも同じことを感じていたようで、
「そうだな……」
と、低く短い声で同意した。
動画を見続ける圭ちゃんの横顔を、俺は盗み見るようにちらりと視線で見上げた。
彼は、驚くほど真剣な表情で画面に集中していた。
いつものからかうような余裕はなく、その瞳には少しの恥じらいがありつつも
新しい知識を貪欲に吸収しようとする探究心が見え隠れしている。
画面の中では、二人の青年がさらに深く触れ合い始めていた。