テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「そういうものよ。主婦も労わって欲しいことあるけど…その点、中西さんは奥さんを大切にしてくれるいい旦那さんだわ」
「……風子さん………奥さんを大切にって、どういう風にするのが大切にしている、って思います…?」
クッキーを手にしたまま私を見た風子さんは
「中西さんは、荷物を持ってくれたりっていう行動…ここ数か月、いろいろと目にしたけど……奥さんを名前で呼んで、レディファーストが完璧というか、常に大切に優しく労わってくれるでしょ?いつまでも大切に愛されていると感じることができる、最高の旦那さんだと思うわ」
と、一人で頷く。
いやいやいやいや…違うでしょ……
「でも…それだけでは家族って成り立たないなって…やっぱり子どもがいれば、子ども優先の関係を夫婦も作れないと、って思います」
「そうかもしれないけど…それって子どものパパとママでしかなくなる。うちは大きな声では言えないけど、そんな感じがあるから…直美さんが羨ましい。羨ましいくらいのラブラブぶりだもの」
まあ、手を繋ぐところを見られていた…とかはあるのだろうけど…
「…写真のことで行き過ぎって、さっき秋山さんのこと言っていましたけど……うちも行き過ぎで…しんどい……」
「どういうこと?愛されているってだけでしょ?」
風子さんは普通に聞き直したのだろうけど、私には冷たい声しか聞こえなかった。
「自由に買い物に行ける風子さんが羨ましいっ…スーパーでさえ一緒に行こうとか、バイトの接客も男と親しくなったらあかんから禁止とか、私には自由がないっ!」
「溺愛ってことでしょ?」
違う。
亜優がいるから頑張っているけど…
「ハルくんはいつまでも恋人気分でいたいんやろうけど…私は…ハルくんに秋山さんみたいな、いいパパになって欲しいっ!」
秋山家が本当に羨ましかった。
心から出た本音だった。
……でも………
顔を歪めた風子さんが、私の言葉を、女として愛されているアピールのマウントだ、と感じていたことは、全く気付いていなかった。