テラーノベル
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※nmmn(二次創作)作品です。
実在の人物・団体・関係者様とは一切関係ありません。 創作上の解釈・妄想を含みます。
誤字脱字、口調の違和感など、暖かい目で見ていただけると幸いです。
最近つぼ浦は、ネットである記事を見た。
世間では男女が3回目のデートで何も進展が無かったら、脈ナシと言うらしい。
迷信のようなもので、正直信じてはいない。
だがそれは男同士の仲でも通用するのだろうか。
この目の前の男との曖昧な関係でも───。
「ねぇーつぼ浦?聞いてる?」
つぼ浦がそうぼんやりとしたことを、考えているとちゃんと話を聞いているのか不安になった青井が、首を傾げてこちらを見ている。
「え、あぁ、聞いてますよ」
薄暗い店内を間接照明が優しく照らす。 普段行くことのない店のお洒落な雰囲気に若干緊張してしまう。
今、つぼ浦は青井と3回目の食事、俗に言う”デート”を楽しんでいた。
正直、男同士で3回の食事など、たまたまと言われればそこまでだ。
だが、この食事にはデートと決定づける確実な証拠がある。
「ねぇ、つぼ浦、俺とデートしない?」
「ハァ?……でぇーと!!!??」
1か月前に青井に言われたこの言葉をつぼ浦はしっかりと覚えていた。
本人が言うには、最近多忙の影響で食事を疎かにしている自分のために一緒に食事に行って欲しい、というものだった。
確かに連日の激務で青井は食事を抜きながら、倒れるギリギリまで働いていた。
だからこうして今、つぼ浦は、青井と2人きりで目の前にある様々な種類の料理を楽しんでいた。
「俺のやつめっちゃうまい、つぼ浦も食べてみてよ、交換ね」
「おう」
そういうと、青井の美味しそうな肉料理が盛り付けられている皿に手を伸ばし、青井はつぼ浦の料理に手をつけ始める。
(関節キス………。)
青井が少し手をつけただけの料理でも、つぼ浦の純粋な頭ではどうしても、このことが頭によぎる。 これは3回も食事に行ってもまだ慣れることは無かった。
なぜならつぼ浦は青井のことが好きだからだ__
「どう美味しい?」
渡された、肉料理を口に運ぶ。
「……ん、肉柔らかッ………塩の加減がちょうどいいっスね、アオセンが好きそうな味だな」
「でしょ、でしょ、俺こういうの好きなんだ」
そう言うと、青井はこちらを見てにっこりと微笑んだ。
こうも回数を重ねると段々相手の好みも、なんとなく分かってくるし、仕事中では見つけることのできない、相手の好きな所がどんどん増えていく。
例えば
料理が来るまでスマホを弄らないで、話してくれるところ。
こちらが行動する前に、セルフサービスのお冷を持ってきてくれるところ。
毎回奥の席に座らせてくるところ。
まだまだ沢山ある。
でもそれが嬉しいことなのに、どうしてもつぼ浦を悲しく感じさせて、彼の胸をギュッと締め付けさせた。
きっと青井は、デートと言ったことも忘れているのだろう。そもそもつぼ浦が、延々とデートという言葉に舞い上がってるだけなのは、本人も十分に自覚している。
あと何回食事を重ねれば、この場に慣れるだろう。
慣れれば、胸のざわめきを気にせず、独りで勝手に傷つかずに、楽しめるだろうか…。
あと何回これを繰り返せば、目の前の相手を「好きな人」として見ずに済むのだろうか。
初めは、好きで青井に会いに行っていたつぼ浦も、今では好きでなくなるため、慣れるために会いっている。
期待している自分を傷つけないために、守るために──
「それでね、あの時俺なんて言ったと思う?笑」
「…?そんなことアオセン前も言ってなかったか?」
楽しそうに話す青井に、ごちゃごちゃの思考でつぼ浦は、相槌を返していく。
好きな人と一緒に時間を共にできるのなら、それだけで十分だと最初は思っていた。たけど、自分は思っていたより強欲で醜くて、自分を恋愛対象として見ていない、ただの先輩にこの先を期待してしまう。
自分の中で区切りをつけて、柄にもなくネット記事で見たあの言い伝えを信じる。
今日、何も進展が無かったら諦めよう。
そしてこの先の誘いがあったとしても、キッパリ断ろう。
そう思っていた途端、青井が口を開いた。
「もうこんな時間か…、そろそろお開きにする?」
青井がスマホを見れば、時刻は23時を回っていた。
ほら見ろ、やっぱり何も起こらない。
もう終わってしまうのか…。
まだまだ足りない。
自分の心の奥にぽっかりと穴が空いていて、まだ一緒にいたいと思った。
そう思ったら勝手に口が動いた。
「あの、アオセン、もう一軒付き合ってくれないスか?」
「え、いいけど、まだ食べ足りない?笑」
「そうじゃなくて、…ル……………せん?」
つぼ浦は自分の行動が急に恥ずかしくなったのか、少し俯いて蚊の鳴くような声を出した。
「…え?なに、なに 笑」
いきなり声が小さくなるものだから、青井は驚いて目を丸くしてニヤニヤと笑っている。
自分の発言を少し後悔しつつも、また一息置いて、逸らした筈の目をしっかりと青井に向けてつぼ浦は言った。
「…ビール飲みに行きません?笑」
イタズラな笑顔を見せて言う。
この先はもう何も起こることはないんだ。ならば、酒の力を借りて告白してしまおう。次の日になれば「そんなこと言ったか?」と、とぼけておけば、何とかなるだろう。
そう安直な考えが浮かんだ。
──────────────────
大人ふたりが座って丁度いいくらいの、小さなテーブル席。先程の洒落た店とは違い、24時を回っても居酒屋は騒がしく、たくさんの人で溢れていた。
「ねぇ、つぼ浦さすがに飲みすぎだって、」
いきつけの居酒屋に着いたと思ったら、酒の弱いはずのつぼ浦は、ビールやら日本酒やらをたんまりと頼んで見事ベロベロに酔っていた。
「いいや、別に酔ってないッスよ……」
本人がそう言っても、つぼ浦の目は潤んでいて、顔は赤く、酔いを否定する姿はどう見ても、酔っぱらいのソレだ。
「いやでも顔真っ赤だし、お前酒弱いんじゃなかった?」
「べつに……そんなことないぜ、酔ってるわけないじゃないスか……笑」
(あーー……俺何しようとしてたんだっけ……)
酒にやられたつぼ浦の頭では、告白という本来の目的も忘れてしまう。
「ほら、もう帰ろ?お前も充分飲んだでしょ?」
いつまで経ってもペースの落ちないつぼ浦を見て、青井は思わずグラスを掴んでつぼ浦を止めようとする。
「アオセン……なに言ってんスか…まだまだだぜ……」
そう言うと、つぼ浦はパシリと青井の手を払い、まだ飲み足りないとでも言うように、グラスを握ったまま頭フラフラとさせている。
「はぁ………そんなんじゃ一人で帰れないから、俺が送ってってあげるよ。ね?」
「別に、スケボーで帰れますよ…」
そうつぼ浦が言うと、 青井は大きなため息を着いて席を立った。
「ちょっと会計してくるから、」
そう呟き、伝票を持ってレジの方へ向かおうとした時。
「どこいくんスか……」
つぼ浦は青井のワイシャツの袖口を小さな力でキュッと握った。騒がしい店内では彼の呟きはつぼ浦の耳に届いていなかったのだ。
「………ど、どこって会計だよ。ここで待ってて」
「え、あぁ……置いていかないでくださいよ…」
そう袖をキュッと掴んだまま、つぼ浦は青井を見つめた。
「……そんなことする訳ないでしょ」
(相当酔ってるな、コイツ…)
いつもなら絶対に見せることのない、つぼ浦の仕草に若干困惑を覚えつつも、青井は軽い足取りで
レジの方へ向かっていった。
─────────────────────
居酒屋を出ると騒がしい雰囲気から一変、街は静けさに包まれて、街灯がチカチカと辺りを照らしている。
「酒臭っ……つぼ浦大丈夫?ほら俺に捕まって、」
そう言うと青井は、つぼ浦の腕を取って肩に回す。酒で火照ったつぼ浦の体温が青井の体に伝わっていく。
「そんな、アオセンに助けて貰わなくてもひとりれ、歩けますよ………」
(……んだコレ。どういう状況だよ)
冷たい夜風に当たればつぼ浦も、正気を少しずつ取り戻したようで、好きな人がこんな近くにいる状況に彼の頭の中はパンクしていた。
「駐車場までちょっと歩くけど、頑張って」
青井はつぼ浦の心配し、様子を伺っている。
「特殊刑事課を舐めんなよォー!」
「ちょ、つぼ浦うるさいって笑笑」
大声を出すいつもの調子のつぼ浦だが、歩くのがままならない程に足元はふらついていた。
「…そこ、段差あるから気をつけて」
下を向くと、僅かに段差がある。
いつもなら、ヒョイっと越えられるソレは、つぼ浦の歪んだ視界とふらつく足元では跨ぐことも出来ない。
「……おう」
つぼ浦は転ばないように青井の腕に捕まった。
それに青井は、答えるようにつぼ浦の腕をぎゅっと握った。 2人の距離が異様に近くなって、青井の硝煙と柔軟剤の匂いがつぼ浦の肺を満たした。
「今日は派手に飲んだねぇ?笑 なんか嫌なことでもあった?」
「なんスか急にぃ……らしくない」
つぼ浦が口を尖らせて、言う。
「だって、元々俺が誘ってる飯だし。お前の悩みの一つや二つ、聞いてあげないとフェアじゃないでしょ?」
「別にそんなのないっスよ…」
おめぇのせいだよ、とは言えずに足を運ぶ。
「そう……?まぁ、辛くなったら教えてよ。そんときは話聞いてあげるからさ」
青井は、つぼ浦をしっかり抱えながら、前を見て少しずつ駐車場に向かって行く。
こんなにも距離は近いのに目を合わせることはせず、淡々と会話だけが進んでいく。その様子が妙に切なくて、もどかしくて。
そうすると、もう車は目の前なのにつぼ浦は立ち止まった。青井も足を止めて、つぼ浦をチラッと覗き込んだ。
「どうした?疲れちゃったの?すぐそこだから頑張っ………?」
「………そんな…………………スカ……。」
「え?」
青井は思わず眉をひそめた。
ちょうど車が通りかかる。その音でつぼ浦の声は青井には届かなかった。
それが自分と目の前の男との関係を表しているようで、しまい込んでいた感情が一気に溢れた。
「、なんでそんなに優しくするんスか……勘違いしちまうだろ……っ」
つぼ浦の声が駐車場のコンクリートに反響する。
つぼ浦はどうしていいのか分からず、青井にもたれながら、また一歩ずつ足を運んでいく。
「……つ、つぼーら?」
驚いていた青井もつぼ浦が歩き出せば、歩幅に合わせてゆっくりと歩き出した。
「おれ…っ、アンタのこと好きなのに……そんなに優しくされたら……、俺……アオセンのこと…諦めきれねぇよ…っ泣」
酒のせいなのか、涙のせいなのか、踏み出す足が僅かに震える。 ただ「好きだ」と言いたいだけなのに、どうしてこんなにも空回りしてしまうのだう。
つぼ浦は、顔をあげられずに涙で黒くなったTシャツを見つめた。
「…………諦めなくてもいいんじゃない?」
「は……ッ?」
思わず青井の方を向くと、握られていたはずの手をスっと離される。
「ほら、着いたよ」
青井はジャグラーのドアを開けて、つぼ浦を後部座席に乗せた。つぼ浦は青井と目を合わせられる訳もなく、黙って下を向いて俯いている。
(アオセン今、なんて言ったんだ?言質とんねぇと…………)
そう思っても、くたりと座席に座り込めば一気に疲れが押し寄せてきて、つぼ浦は目を瞑ってしまった。
───────────────
青井は運転席に乗り、急にやけに静かだな、と思いつつナビを操作しながら、後部座席に座っているつぼ浦の方を見る。
「てかつぼ浦って家どこ?」
そう振り返るとつぼ浦は、寝ていた。
「…………」
微かに寝息が聞こえてくる。
「ま、マジか、コイツ」
そうすると青井は後ろに身を乗り出し、頬に優しく触れ、指先で涙を拭ってやる。ぐっすりと寝ているつぼ浦を起こす訳にもいかず、ナビを自宅に指し車を走らせた。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
🟦🏺ほんとに大好きなので、良ければ感想等あれば嬉しいです。 毎回、自分の入れたいセリフやシチュエーションばかり入れてしまっているので、解釈違い等あったら本当にすいません。
コメント
4件
どうしてこんなにすれ違い描写が上手いのですか、?(泣) これが俗に言う甘酸っぱいなのですかね…!!✨✨ キャラクターを掴むのもお上手すぎます!!💕🫶 なんか箇条書きみたいな文になってごめんなさい… これからも頑張ってください、応援してます〜!!!!
