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私の心は鋼じゃないけど

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私の心は鋼じゃないけど

9 - 第9話最終回。未来永劫。

2022年06月28日

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「舞衣…。」

「鋭児郞。」

お互い抱きしめ合う。

「良かった…!!」

「なんて顔してるのよ。」

「お前こそ。」

涙を拭いあって笑う。そして先生から聞いた話や事故の時の話をした。

「爆発の衝撃で意識飛んで、鋼化解けちゃったんだ。」

呟くように舞衣は言った。

「…怖かったか??」

「わかんない。ほんとに一瞬だったから。」

と微笑む顔には少し疲れが。

「久しぶりに喋って疲れたろ。ゆっくり休んで。」

「うん、ありがとう。鋭児郞もね。」

帰りのタクシーで、八百万にお礼の連絡、上鳴と爆豪に舞衣の報告の連絡を入れた。

それから、リハビリが始まり都合が合えば切島も手伝う日々。上鳴や爆豪、八百万らもお見舞いに来てくれた。そんなある日。

「あのさ。鋭児郞。」

「ん??」

車椅子で外気浴していていると、舞衣が口を開く。

「私さ、◯ラウドに憧れてレーサーになったって話したことあったじゃん。」

「あったな。」

「それだけじゃないの。」

「他にも憧れのキャラが??」

「そうじゃなくて…。死にたかったの。」

「どうして…??」

動揺していることを悟られないように、車椅子を押し続ける。

「ごく普通の家庭で育ったし、学校生活、友達にも恵まれてた。なのに、死への思いは消えなかった。身体の傷は自傷行為でつけたようなものなの…。」

そう語る背中は悲しげだ。

「話してくれてありがとう。」

「嫌われないか、心配してた。」

「嫌いになんか、ならねーよ。」

ちょうどベンチの側まできたので、車椅子を止め、自分も座る。

「俺いま、バイクの免許取ってる最中だからわかったんだけどさ、バイクの起こしかたもそうだけど、カーブは重心のかけ所が難しくて。レースのスピードでカーブするには、スリップ覚悟で曲がらないといけないから、舞衣の身体の傷は努力の結晶でもあると思う。」

「ちょっと待って。バイクの免許とるの!?」

「え!?あ、おう!!退院まで秘密にしとこうと思ってたのに!!」

「マジか!!どんなバイクに乗りたい??」

「そりゃ、舞衣も乗れるサイドカー付きだぜ。」

「え、いいの…??」

「嫌か…??まさか、あの時のトラウマになって…??」

「違うの。私、こんな身体になったのに、一緒に…。」

切島は舞衣をお姫様抱っこする。思わず舞衣の顔は真っ赤に。

「一緒にいたい。身体が不自由とか関係ない。告白した時からいつも、舞衣のこと想ってる。」

「きっと迷惑かけるよ??」

「良いんだ。迷惑なんかじゃない。」

「…ありがとう。」

切島は、笑って頷いた。

そこの2人~無理しない!!

と看護師に言われたので照れ臭そうに謝って、病室に戻った。

退院の日。

「免許取得おめでとう。」

「そちらこそ、退院おめでとう。」

切島はサイドカーに舞衣を乗せ、出発する。

「ちょっとドライブ、付き合ってくれるか??」

「うん。」

そう言って暫く道なりに走る。

「なんか新鮮だなぁ。運転してるときは街並みみる余裕なかったけど。」

「そうだよな。なんか良さそうなお店見つけたら今度行こうな。」

「うん。」

と話しているとだんだん知ってる場所に近づく。

「このカフェ。」

「そう。さ、入ろうぜ。」

とお姫様抱っこされ入ると。

「退院おめでとう!!」

上鳴・爆豪を筆頭に初めて会った時のメンバーが声を揃えて言い、クラッカーを鳴らした。

「皆ありがとう!!」

「長旅お疲れでしょう。ここにお座りください。」

と八百万と麗日の間に座る。皆久しぶりの再会なので話題に花が咲く。高校時代の話まで話題に上がり、楽しい時間は過ぎていった。

「じゃあな。安全運転でな!!」

「わかってるよ電気。ありがとうな、皆。」

「また集まろうね!!」

「今度は、ゲーム大会にいたしましょうか??」

「それなら、とびきり面白いゲーム用意しとくね。」

「ボクらにできることなら、何でもするよ。」

「ありがとう緑谷君。その時はお願いしますね。」

「コイツ(切島)、ほんとに良い奴だから、ぜってぇ手離すなよな。」

爆豪の思いがけない言葉に2人は頬を赤くし、他は感心する。先程の言葉が台無しになるので敢えてつっこまない。

「じゃあ舞衣、行くか。」

と颯爽と走り去る姿をあとのメンバーは思い思いに見送った。

家に戻り、ソファに舞衣をおろす。

「お疲れ様」

「鋭児郞もお疲れ様。ありがとう。」

「いえいえ。」

2人でソファからの景色を眺める。

「やることいっぱいだ。」

「少しづつ、やっていこうぜ。」

「うん…。」

「舞衣…??寝た…??」

規則正しく寝息をたてる音がする。切島は起こさぬように抱き上げ、ベッドへと運ぶ。

「ん…私…。」

「少し寝てろな??なんかあったら…」

「一緒に寝て??」

「わかった…。」

絶対に、この手で舞衣を幸せに。そう誓って舞衣の額にキスを落とす、そんな夕暮れ時…。

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