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夜、トオルの家のガレージ。トオルは180SXを眺めながら、これまでの出来事を思い返す。幼い頃に見た緑の180SXへの憧れ、免許を取って手に入れたフルノーマルの愛車、C1での初走行と悔しさ。バイト先の佐藤や後藤との出会い、篠原マコトの帝王としての過去、カイトとマイの兄妹とのライバル関係、そしてユウジのシルビアに込められた父子の絆。「みんな繋がってる…俺はこの車でどこまで行けるんだろう」と呟き、次のステップへの決意を固める。
翌日、トオルは自転車屋を訪れ、後藤に「そろそろエンジンに手を入れたいんです。オーバーホールお願いできませんか?」と頼む。後藤は「エンジンか…金はどうした?」と聞くと、トオルは「バイト増やして貯めました!」と笑顔。後藤は「分かった。じゃあ預かれ」と渋々ながら引き受け、トオルの180SXを店裏の作業場に運び入れる。トオルは「頼みますよ、後藤さん!」と期待を込めて見守る。
後藤がエンジンルームを開け、オーバーホールを始めると、細部に目を凝らす。「一見ノーマルだが…どこか引っかかるな」と独り言を呟く。ピストンやカムシャフトをチェックする中、あるパーツに手が止まる。「こいつ…見覚えがある」と呟き、工具を置いてじっくり観察。トオルが「どうしたんですか?」と近づくと、後藤は「このクランクシャフトとコンロッド…普通の180SXには使われてねえ。軽量化されてて、強化されてる」と驚きの表情を見せる。
後藤は記憶を辿り、「まさか…」と呟いた後、トオルに問う。「お前、この車どこで手に入れた?」トオルが「中古車屋で、安く売られてたんで…」と答えると、後藤は確信したように言う。「これ、高木ケンジの緑の180SXに俺が組んだエンジンパーツだ。間違いねえ」。トオルは「え!? 俺の車が…あの緑の180SX!?」と目を丸くする。後藤は続ける。「事故後、車は行方不明になったが、誰かがバラして塗り直して市場に出したんだろう。外装はノーマルに戻されてるが、エンジンの一部に俺の手が入った痕跡が残ってたってわけだ」。
トオルは衝撃を受けつつ、「じゃあ…俺が乗ってるこの車が、ケンジさんの…」と呆然。後藤は「そうだ。お前が憧れた緑の180SXの魂が、ここにある」と静かに頷く。一見ノーマルに見えたトオルの愛車が、実は伝説の車の遺産だったことに、トオルは鳥肌が立つ。「俺、これで帝王を目指すんです。後藤さん、ちゃんと走れるようにしてください!」と熱く訴える。後藤は「ケンジの車を復活させるなら、俺も本気でやらねえとな」と初めて笑みを浮かべ、作業を再開する。
数日後、オーバーホールが完了した180SXをトオルがC1で試す。ユウジが並走し、「なんか音が違うぞ、トオル!」と驚く中、トオルはエンジンの反応の良さに興奮する。コーナーで以前より鋭く曲がり、加速も力強い。「これが…ケンジさんの車だった力か」と実感するトオル。すると、ピンクのS2000が現れ、マイが「トオルくん、速くなったね。でもまだ私に勝てないよ!」と抜き去る。トオルは「負けるかよ!」と笑いながら追いかける。
トオルはガレージで180SXに触れ、「お前があの緑の180SXだったなんて…一緒に帝王になるぞ」と呟く。後藤は自転車屋で古い設計図を広げ、「ケンジ、お前の車がまた走る日が来たぞ」と独り言。遠くの首都高の光が、トオルの新たな旅立ちを照らす。