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#specter
ゆ
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#bl注意
ゆ
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蟹溝@プロフ必読
163
食べれるすぽんじ@🐢投稿
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ノスフェラトゥには困った習慣があった。
夢を見たら報告しに来る。
しかも。
かなりの高確率で迷惑な内容を。
そしてその日。
朝。
まだコーヒーが半分も減っていない時間帯。
スペクターが静かな執務室で優雅な朝を満喫していると、
バァン!!!
勢いよく扉が開いた。
「主様ァァァァァッ!!!」
「朝だよ」
ズサァァァァッ!!
ノスフェラトゥが床を滑る。
もはや芸術的なスライディングだった。
「聞いてください主様!!」
「聞きたくない予感しかしないね」
「夢を見ました!!」
「ほらね」
まだ内容を聞いていないのに疲れた顔になるスペクター。
経験が物を言っていた。
ノスフェラトゥは胸に手を当てる。
そして。
とんでもなく幸せそうな顔で語り始めた。
「私は家具でした」
「家具」
「家具です」
「家具なんだね」
「足置きでした」
「より具体的になったね」
ノスフェラトゥはうっとりしていた。
本当にうっとりしていた。
「主様がソファに腰掛けておられるのです」
「うん」
「そして私の背中に足を乗せるのです」
「うん」
「その極上の革靴を!」
「うん」
「私は動きません」
「うん」
「最高でした」
「感想が終わっているね」
ノスフェラトゥは拳を握る。
熱かった。
妙に熱かった。
「夢なのに重みがあったのです!」
「そうかい」
「目が覚めた時、本当に絶望しました!」
「そこまでかい」
「背中が軽かったのです!!」
「それは普通だよ」
スペクターはコーヒーを飲む。
飲みながら考える。
どう返せばいいのだろう、と。
数秒考えた末、
「へえ」
という最低限のリアクションを返した。
「夢のクオリティが上がったね」
適当だった。
本当に適当だった。
だが。
それが悪かった。
ノスフェラトゥの目が光る。
ギラッ。
「あっ」
スペクターは察した。
遅かった。
「つまり公式!!」
「違うね」
「公式配信!!」
「違うね」
「主様監修!!」
「違うね」
「ありがとうございます!!」
「だから違うね」
その後。
数時間後。
午後。
アズールが定例報告のため執務室へ入る。
扉を開ける。
そして固まる。
「…………」
「おや、アズール」
スペクターは普通だった。
いつも通りだった。
問題はその足元だった。
デスクの下。
そこに。
巨大な黒い塊がいた。
「…………」
「…………」
「スペクター様」
「なんだい?」
「なんで机の下にノスフェラトゥが収納されてるんですか?」
机の下から声がした。
「収納ではない」
「喋った」
「私は今、理想の角度を維持している」
「何のために?」
「足置きのために」
アズールは頭を抱えた。
やっぱりだった。
夢の話を聞いた時点で嫌な予感はしていた。
まさか即日実装するとは思わなかったが。
「主様」
机の下からノスフェラトゥが語りかける。
「いつでもどうぞ」
「何がだい」
「夢の続きを」
「いらないよ」
「遠慮なさらず」
「してないよ」
「背中のコンディションは完璧です」
「聞いてないね」
スペクターは静かにペンを置いた。
そして。
ものすごく静かに言った。
「ノスフェラトゥ」
「はい!」
「邪魔だよ」
即答だった。
「うっ」
「私が足を動かすたびにハァハァ言うのをやめなさい」
「うっ」
「あと仕事の効率が下がる」
「うっ」
「部屋の隅へ行きなさい」
「はいぃぃぃっ!!」
シュバァァァッ!!
一瞬で消えた。
机の下から。
部屋の隅へ。
音速だった。
そして綺麗なお座り。
もはや様式美だった。
アズールは深々とため息を吐く。
「スペクター様」
「なんだい?」
「夢の話を真面目に聞くのやめてください」
「聞いてないんだけどねえ」
「半分くらい原因ですよ」
部屋の隅では、
『主様が私を邪魔だと認識してくださった……』
などという意味不明な幸福に浸りながら、ノスフェラトゥが幸せそうに震えていた。
アズールはもう見なかった。
見るだけ無駄だった。
どうせ明日は。
もっと変な夢を報告しに来るのだから。