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「花音ー。花音ー」
お兄ちゃんの声だ。比較的小さな声で、あたしを呼ぶ声が聞こえた。恐らく大きな音が聞こえて起きたのだろう。お兄ちゃんはいつも早く寝るから、お母さんが帰ってくる頃には大体あたししか起きていない。
「なにかあったのか?入ってもいいか?」
「うん。いいよ」
何故かわからないが、自分の声は震えていた。
お兄ちゃんはあたしの様子を見ると、すぐにあたしのもとに駆け寄ってきた。
「どうしたんだ。なにがあった」
お兄ちゃんは背中をさすって、何があったのか問いかけてきた。
「大丈夫、なにもないよ?」
あたしは腫れた頬を隠して言った。
「……。だったらなんで、泣いてるんだ?」
お兄ちゃんに言われて、初めて自分が涙を流していることに気づいた。