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私だけの1人の彼氏 第5話:父からの真実、 そして血塗られた過去
光がこの世を去って2ヶ月。健は美羽と密かに愛を育んでいた。 駅前の待ち合わせ場所。そこには、かつて健を深く傷つけた莉子と翔子の姿があった。
「あれ、健じゃない……?」
翔子の言葉に、莉子が足を止める。二人の胸を去来するのは、健の献身的な愛を無下にした自分たちへの激しい後悔だった。
「謝りたい……でも、私たちにはその資格さえない」
遠くで美羽と親しげに歩いていく健の背中を見送りながら、彼女たちは「さようなら、お幸せに」と、二度と届かない祈りを呟いた。
「健……今日はホテルに行こうか」
美羽の誘いは、もはや命令に近かった。彼女は光を失った喪失感を埋めるように、健への執着を強めていた。
「君の初めても、未来も、全部私のものだ。……なんであの日、中に出してくれなかったの?」 美羽の鋭い視線に、健は恐怖で指一本動かせなくなる。
「もし、子供ができたら親に迷惑がかかるから……」
「ふふ、お前らしいな。でも安心しろ。お前の未来を責任持って愛してやる。今日は、外に出さなくていい。私が許可する」
三時間の情事。美羽の激しさに健は気を失うほどだった。事後、二人は光の墓前に立ち、新たな関係を報告する。しかし、健が帰宅した家では、さらに過酷な「真実」が待ち構えていた。
夕食後、父・大智に呼び出された健は、衝撃の事実を突きつけられる。
「健。お前は、私や順子、愛良とは一滴も血が繋がっていない。……赤の他人だ」
「え……?」 大智が語る。18年前、出張から戻った彼の腕に抱かれていた赤ん坊。それが健だった。血液型の不一致、そして当時のニュース。
「お前は、順子によって病院から誘拐された子供なんだ」
健の頭の中が真っ白になる。今まで信じてきた「家族」という概念が崩れ去る。順子の過剰な執着も、愛良の異常なまでの愛も、すべては「盗んできた偽物の家族」を維持するための狂気だったのか。
さらに大智は、自身の正体をも明かす。 「私の本名は竹内大智ではない。……私は、殺し屋だった」
組織「TLBS(The Last Skysee)」に拾われ、4歳から殺しの英才教育を受けてきた男。25年前、彼はある特命を受けて日本の高校へ潜入していた。
ターゲットは、男子生徒を次々と不審死させている「女子バレー部」の黒幕。 大智は弱々しい生徒を装い、マネージャーとして部に潜り込む。そこで出会ったのが、後に彼を破滅(あるいは救済)へと導く少女・日道順子だった。
「ここは男の子をおもちゃにする場所なんだ……」
先輩マネージャーの小人が震えながら語る部の実態。部長、顧問、そして順子。怪しい影が蠢く中、大智は暗殺の好機を伺う。
「大智くん。昼休みに屋上へ来て。最後に言いたいことがあるんだ」
小人の不穏な言葉。それは、血塗られた物語の幕開けを告げる合図だった。
(つづく)
今回の注目ポイント
#ヒューマンドラマ
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* 出生の秘密: 「誘拐された子」という設定により、順子や愛良の「ヤンデレ性」の根源がさらに深く、恐ろしいものになりました。
* 大智の過去: 殺し屋が潜入捜査をするという、これまでの世界観を大きく広げる新展開です。
* 元カノたちの退場: 莉子と翔子が健の今の幸せ(美羽との関係)を邪魔せず、自責の念と共に去ることで、物語の焦点が「家族の闇」に絞られました。