何も言わずに消えて欲しかった。
君がいなくなるのを再確認してしまったら、僕はもう悲しみに暮れてしまうだろうから。
久しぶりのノベルです!思いついたのとかメモしてあったやつを書きなぐります
今日は夏祭りが開催されるらしいから、友達と一緒に行こうという約束になった。結果としては、私が向かっている最中に約束はやめになったようだった。ここまで来たのに……。と、なんだか悔しくなって独りで楽しんでやろうと意気込む。
せっかくだからと少し子供っぽいがベビーカステラを買った。もっと小さい頃から大好きだった味。喉は乾くけど。
ここはやはりという感じで、ラムネを買いに行った。水に浸された氷の隣に浮かんでいる、ちょっと水色な気がする透明な瓶。中に入っているビー玉がコロコロと揺れて可愛い音を立てている。
周りには沢山の子供と家族がいて、なんだが独りでいるのが怖くなってしまった。ビー玉が鳴らす音も、私の孤独を浮き彫りにした。
ラムネを買ってすぐに人混みを抜けて、店が出回っていない奥の方へ足を早める。そこは随分開けた場所で、空が見やすかった。
なんだ、もう夜か。
ラムネの瓶越しで世界を見てみたくなって、まだ冷たいラムネを目の前に映す。世界が青みがかって、水滴が浮いていて、涼しさを感じさせた。
案外、独りでもどうとでもなるものさ。
そう思って瓶の蓋を開けた。人肌で少しぬるくなってしまったけれど、それはそれでしょうがなかったから。
口に入れた炭酸が、静かに溶けていった。
元は実話です
過去にメモしていたものを加筆修正したやつ
甘い、甘すぎて苦くなるほどに。これだから私は甘いものが苦手だ。胃が焼けるように痛くって、ジワジワと溶かされていくように、私の体を蝕んでいく。
昔は好きだったものが、好きと言って食べていたものが、自分にとって幸福だったものが。
全部、全部。苦痛にしかならない。私にとっての地獄にしかならない。
ちゃんと消費しないと、食べきらないと。口を開けて喉に押し込んでいく。
これだから、甘いものは嫌いだ。
昔、言わば子供の頃、好んでやってきたことは、大人になってもやり続けると言った。単純にその作業が好きだったから。でも大人になると違った。
最初は胃もたれする程度で済んだのに、ついに拒絶してしまった。甘すぎて甘すぎて苦かった。苦痛だった。いや、なってしまったんだ。
過去に書いてたものです
どんな意味を含めているかなんて忘れましたがね
手に持った林檎が、陽の光に当てられ輝く。その色は今までの林檎より濃いような気がした。
最近この近くに引っ越したばかりだというのに、ここの気温はよく私の肌に合っていた。最近、と言っても一年は前だが。
徒歩五分もない程近くにあるスーパーで買っただけの林檎なのに、食べる前からこうじっくりと見ることになるとは…。と、頭で考えてしまうと、それが無駄な行為だとやっと気付き、皮もまともに剥いていない林檎を口に含んだ。
冬を思わせる静かな部屋に響くのは、私が林檎を咀嚼する音と、今座っている小さな椅子が軋む音だけだった。
林檎と言えば。そんな突拍子もない思いつきの答えを、頭の中から探してみる。林檎と言えばやはりアップルパイ?人によっては白雪姫だろうか?林檎と言えば。そう、昔何かで読んだことがあるのだ。
楽園にあった、食べてはいけない果物の話。
確かそれが林檎だったはず。詳しいことなんて知らないし興味もない。途中から興味が消え失せたからだ。私はあくまで、神だとか天使だとかの非現実的じみた話が見たいのであって、それ以外はどうでもよかった。
林檎をもう一口二口食べたところで、 それは確か旧約聖書というものに書かれていたと思い出した。キリスト教だった気がする。まあ、私自身、宗教など毛程も興味なかったわけだが。
神様を崇めるだなんて、それはただ縛られているだけじゃないの?と古くからの友人に言い放ったことがある。言い切ったあとに、彼がキリスト教の方の人だと思い出して、謝罪をしようとしたが、私の口より彼の口の方が早く言葉を発していた。
そうかもしれない。と呟くように言って、あとから、人によっては。と付け足した。てっきり殴られでもするんじゃないかと思っていた私は唖然として、謝罪の言葉も喉の奥に引っ込んでしまった。
「ここに訪ねに来る宗教勧誘の人も、彼みたいだったらいいのに。」
そう言うと笑いが込み上げてきて、おかしな人になったみたいだ。
彼にまた会って話がしたい。会えたらおすすめの飲食店にでも案内してあげようか。
芯だけになった林檎をゴミ袋に放り込んだ。
よく分かんねぇ話になったので没
「私が見ている世界は、きっと貴方とは違うの」
そう言って、貴方は静かに笑った。
その悲しげな笑みを見て、僕はもう、何も返すことが出来なくなってしまった。
コメント
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わかる、ベビーカステラは美味いの領域だよ 信仰しとけば救われるとかなんだとかいろいろあるからねぇ…