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ゴジラ   ~Stage Series~

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ゴジラ ~Stage Series~

9 - 第5話 「ゴジラ Dangerous Stage ~血に染った道~」

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2022年04月24日

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2090年 8月12日 ━━━ 広島の事件から1年が立った。広島復旧のニュースを見ながら、しのぶは団扇を扇ぐ。

「大分、落ち着いて来ましたねー。」

「うん。うちらも気を付けないかんねぇ、。」

「………今日もみーさん、遅刻ぅ?」

「YES。」

すると、ドアがゆっくり開き三里が隙間から乙津たちを見る。

「…おほほほほほ。皆さん、御機嫌よう。」

「おほほ、じゃないよっww!!」

「まーた、遅刻ですかい三里さんっw」

遅刻常習犯も健在である。

「ねね、いつかは知らんけど、静岡の方に遠征するらしいで。さっき、社長が言いよった。」

「だーれが?」

「まーきの。」

「ふっる!!」

「確か、しーのぶとはーるきだな。」

「語尾、わっる!!」

「こらっ、遊ばない。」

話を聞きつけた美津子が三里の頭を書類でポンポンと叩く。

「あーい。」

「社長、なんで、自分と遥輝君なんですか?」

「貴方たちは入社したばっかだからね。テストよテスト。涼さんの時もしたかったんだけど、あの時は、トラブルがあったから、出来なくて、。」

トラブル?と頭に?マークを浮かべ二人が美津子を見る。

「…どれくらい前になるかしら?だぶん18年くらい前ねぇ、。ギャラクシア君の、お父さんが東京に上陸した時なんだけど、。」

「…うんわ。うち、その時、2歳ぐらいだ?!」

「今、何歳?」

三里がペンをマイク代わりに聞く。

「えー、今年で21です!」

「…ぐっ、、。若いっ、、!!」

「なんか、ダメージ食らってるよ。」

「じゃあ、はる君はぁー?」

すると、乙津もペンをマイク代わりに遥輝に尋ねた。

「えっと、僕は今年で22ですね!」

「わけぇ!」

乙津、三里、マイク、他職員が声を揃えて「いいな〜」と呟いた。

「あはは、、。あの社長、遠征って、いつ行くんですか?」

「8月の19日に行く事になってるわ。ちゃんと、準備しててねぇ。」

「『はぁーい。』」



当日 ━━━

「はあ、緊張するぅ、。」

「ねっむ、、。」

「…あれ、、?」

「…ん?」

この人も三里さんみたいに肝が座り始めたぞ、としのぶは思った。不味い、私も染まりそうだと考える。

「あっ、先輩からLINE来てる。」

「どれどれ?」

「ほら。」

しのぶは自分のスマホを遥輝に見せた。

『しのぶ!頑張れっ!!』

『二人とも、ファイト!』

「自分の方にも来てたわ。」

「なんかやっぱり、この会社に来て良かったなぁって思ってるんよねぇ。」

「ああ、分かる〜!『ホワイト』やけんねぇ。」

「ええ、『ホワイト』よ。」

「『おわぁっ?!!!』」

いつの間にか後ろに立っていた美津子が『ホワイト』を強調する。

「お二人さん、準備が出来たら行きましょう。飛行機が来ちゃうわ。」

「『はぁーい。』」

三人は空港へ向かった。





アフリカ中部 サバナ地帯 ━━━ 異変はここから起こり始めた。キリンや象が行き交う中、地面に地割れが起きる。最初に出て来たのは巨大な虫のような釜。次に腕が伸び、怪獣が這い出てきた。


があ”あ”ぁぁあ”ぁあぁぁああ”ぁぁぁっ!!!!!!


突如として現れた四足歩行の怪獣は、サバナの夕日に当たり照らされる。その怪獣の咆哮に周りを行き交っていた動物たちは動く事なく、怪獣を見つめた。怪獣は自信の耳を震わせ、動物たちを見渡した後、ゆっくり立ち上がった。怪獣は『日本』のある方向へ向かう。





8月20日 静岡県 ━━━━ 夕方

「今回はどうだったぁ?楽しかったでしょう?」

「楽しかったけど、疲れた、、。」

その言葉に隣でしのぶも頷く。

「最初はそんなもんよ〜。」

美津子は二人に新幹線のチケットを渡す。新幹線に、乗った三人は新幹線から見える富士山を眺める。

「うわっ、映えるわぁ〜!」

「テレビじゃあ、よく見るけど本物は初めて見たぁ。綺麗ですねぇ、夕日も混ざって。」

「ええ、そうn、、うわっ?!」

言葉を言い終える前に新幹線が緊急停止し始めた。それと共に富士山麓の地面から怪獣の翼が出て来る。

『”ただ今現れた怪獣によって新幹線の活動を停止致します。乗客の皆様は直ちに避難して下さい”』

アナウンスから新たな怪獣の、出現と避難命令が出された。人々が、叫びながら我先にと新幹線を降りて行く中、しのぶは富士山麓の怪獣を見遣る。地面から這い出た怪獣は紅い姿に巨大な翼、背中が刺々しい。すると、後ろから声が聞こえる。

「『美津子さんっ!!』」

「『うわぁっ?!ビックリしたぁっ?!!!』」

そこに居たのは過去と未来だった。急に現れた二人にまだ、車両に乗っていた人全員が同じ反応する。

「ゴジラとモスラが此方に向かっています。」

「ですが、この怪獣たちはとても、危険です。今までの怪獣とは比べ物になりませんっ!!」

「『貴女方の助けが必要です!!』」

上手く状況を読み込む為、なんとか二人を落ち着かせる。

「ちょっと待って?貴方たち今、怪獣『たち』って言ってなかった?!」

「はい。ここに居る怪獣、そして今、此方に向かって来ている怪獣の二匹です。」

「…まさかの、団体戦っ?!」

どおぉぉおぉおぉぉぉおおぉおぉんっ!!!!!!

「うわっ?!!!」

「なになになになにっ?!!!!」

突然の地響きにそこに居た全員が地べたに手を着いた。

「過去さん、未来さんっ!!取り敢えず、ここから離れましょうっ?!」

「『はいっ!!』」

ひとまず、しのぶたちは避難所に避難した。ふと、しのぶはスマホを見る。

「…先輩からすっげーLINE、来てた。」

遥輝が言う。しのぶも「私も来てる。」と答えた。

「二人共、過去さん、未来さんの話を聞きましょう。」

美津子が二人を呼び寄せ、双子を見る。

「先程の怪獣の名は『アグマドル』。そして此方に向かっている怪獣の名は『ガイターバーグ』と言い、彼女は虫と虎が融合したような見た目をしています。」

「彼らはとてつもなく凶暴で昔のモスラでは太刀打ち出来ませんでした。」


があ”あ”ぁあ”ぁぁぁ”あ”ぁぁあぁっ!!!!!!!!


辺りに響き渡る怪獣の咆哮。

「『皆さん、モスラが参ります。』」

その言葉に共鳴し、雲に覆われた空の上からモスラの鳴き声が聞こえる。

「二人共ギャラクシア君も、もう直ぐ来るわよっ!!」


ごおぉぉおぉおぉぉぉおおぉぉんっ!!!!!!!!


途端に聞こえるゴジラの咆哮。

「ほんとに来たっ!!」

「ギャラクシア君、頑張れぇっ!!!!」

ゴジラはアグマドルと向かい合わせに立ち、お互いを睨む。途端に二匹は突進し、周りに衝撃波が響いた。


日本海の海底を泳ぎ日本に辿り着いたガイターバーグ、着々と静岡県に近付いていく。素早く駆けるガイターバーグの目の前に軍の戦闘機が見えた。ガルルッと喉を鳴らし威嚇するガイターバーグに戦闘機は、ミサイルを放つ。ガイターバーグはミサイルを軽々と、避け先に進む。

「不味いっ!!逃げられるぞっ!!!!」

「早く、追跡しろっ!!!!」

ガイターバーグは戦闘機が追えない戻の速さで駆けて行った。向かうは富士山麓。


があ”あ”ぁあ”ぁぁああぁぁぁあぁっ!!!!!!!!

その声にアグマドルが反応する。

があ”あ”ぁあ”あ”ぁぁあ”ぁ”あぁぁっ!!!!!!!!

アグマドルも咆哮し、声の主を呼ぶ。その声を聞いていた、しのぶと遥輝は同じ反応を見せた。

「……あれ、、?鳴き声が、似て、る、?」

「俺も思った!似てると言うか一緒?みたいな感じかなぁ、、?」

「『あの二匹、アグマドルとガイターバーグは兄妹なのです。』」

「…なるほど、。だから、他の怪獣よりも危険なのね?」

「『はい。』」

しのぶたちが話をしている間に、ガイターバーグが山の方からやって来た。アグマドルの傍に寄り、頭を擦り付ける。アグマドルもガイターバーグに顎を擦り付けた。そして、二匹同時に振り向く。アグマドルは飛び、ガイターバーグはゴジラに突進する。ガイターバーグは自身の巨大な釜ゴジラに向け切り付けた。ゴジラは瞬時に飛び退き、攻撃を躱す。そのまま、ガイターバーグはビルとビルの間に消えていった。モスラはアグマドルの鋭い蹴りを急いで躱し、触覚に電気を溜める。バチバチと音をならし、アグマドルに攻撃する。ゴジラも背びれを白く光らせた。そして地面に顔を近付け、白い吐息を吐く。パキパキと辺りに氷の大地が広まる。周りにあった車や電柱、ビルなどはたちまちに氷漬けとなった。すると、街中のどこかからごぉんっ!!と言う鈍い音がする。ゴジラは素早く反応し、音の方向へ向かう。

「不味いっ!!!モスラが危ないっ!!!直ちに助太刀するんだっ!!!!!!」

「了解。」

軍の戦闘機やヘリが到着し、アグマドルとガイターバーグへの攻撃が始まる。氷漬けとなった地面に苦戦するガイターバーグに軍のミサイルが何度も直撃した。

アグマドルはモスラとの空中戦でなんとも身軽な身のこなし。モスラはアグマドルに突進したりビームを放つが全く当たらない。そしてアグマドルはモスラの一瞬の隙をつく。空中で一回転し、自身の尻尾で叩き付けた。モスラは勢い良く地面にぶつかり、その上にアグマドルが素早く踏み付ける。

きゅうあ”あ”ぁぁあぁあぁぁぁっ!!!!!!

モスラの悲鳴が響き渡った。すると、軍の戦闘機がアグマドルに、一斉攻撃する。アグマドルは直ぐにモスラから飛び退きミサイルを躱す。

ガイターバーグもゴジラの熱線から逃れた。地面に自身の爪を立て勢い良くジャンプする。ゴジラの頭上を飛び越えたガイターバーグはビルを攀じ登る。高いビルの屋上に登ったガイターバーグはバックに月夜を照らし、ゴジラや軍を見下ろした。これを生放送で見ていた三里やマイクたち。

「…WOW『朧月』凄いな、、。」

「早いな。あだ名、付けるの。」

「もう、一匹は?」

「あー。あっちは、『活火山』。」

「why. Japanese People。」

「何故なんだ、日本人。」

「某、厚切りしてる人だぁ。」

「厚切りはしてないんだよなぁ。」

「社長やしのぶさんとか、大丈夫かな、?」

「…うーん、、。」

社員たちが頭を抱える。現場に行こうにも美津子がLINEで「来たら、退職っ!!!!」と送って来たので行くにも行けない状況なのだ。


ビルからゴジラを睨んでいたガイターバーグが動き出した。ビルに爪を立てながら降り、ゴジラは背びれに黄色の光を溜める。ガイターバーグがゴジラに向け跳び、口から赤い炎をチラつかせた。そして、ガイターバーグが火炎放射を、ゴジラが雷ブレスと二匹同時に放つ。

「うわっ?!あ、危ないぞっ!!今直ぐ全員、離れろっ!!」

「『了解っ!』」

周りに衝撃波が伝わり、ゴジラの雷が響く。ガイターバーグの火炎放射は辺りに飛び散り、軍の戦闘機やヘリは急いでその場を離れた。地面に着地したガイターバーグはゴジラに飛び付き、肩に噛み付いた。バキッと鈍い音がする。

ゴジラは片手でガイターバーグの腹を掴み地面に叩き付けた。何度も何度も叩き付け、ガイターバーグは苦痛に顔を歪める。そこで、ガイターバーグは前足の上に付いた巨大な釜を先程噛み付いたゴジラの肩目掛け、大きく振り下ろす。途端にガイターバーグの釜がゴジラの肩にぶっ刺さった。ゴジラはとてつもない激痛に襲われ、悲鳴を上げる。その光景にしのぶと遥輝は思わず顔を逸らした。

「っ?!…絶対痛いよ、あれ、、?!」

「…見ちゃダメ見ちゃダメ見ちゃダメ、、!!」

がぁ”ががぁあぁああぁぁぁっ!!!!!!

がぁががぁ”あ”ぁぁああぁぁっ!!!!!!

「アイツら、笑ってやがるっ?!!!!!」

「完全にサイコパスじゃんっ?!!!怪獣にそんな概念があるのか、知らんけどっ?!!」

ゴジラはガイターバーグの首を素早く掴み勢い良く投げ付けた。肩に突き刺さっていた釜が抜け、ガイターバーグは地面に着地する。息を荒くしゴジラは自身の肩を片手で抑える。空を飛び逆さになった状態でゴジラの目の前に飛行するアグマドル。次の瞬間、アグマドルはゴジラに向け、両手でfuckサインした(しかも、舌も出してる)。ゴジラはそんなアグマドルを見て顔を顰める。

「あっ?!!活火山、fuckしたっ!!!!性格悪っ!!」

「や、ヤンキーだっ?!怪獣界のヤンキーだっ!!!!」

すると、軍の戦車が現れ、ガイターバーグとアグマドルに攻撃する。ガイターバーグは、戦車に気を取られ、ゴジラが後ろから掴みかかる。そしてモスラと空中戦を繰り広げるアグマドルに勢い良く投げ捨てた。

があ”ぁあ”ぁぁあぁあぁぁっ??!!!!!

突然、ガイターバーグが飛んで来たのに驚いたアグマドルだが直ぐにぶつかり二匹は地面に堕ちた。ずどおんっと、鈍い音を立て地面に激突したアグマドルは、直ぐ立ち上がりゴジラを睨む。ゴジラはすっげー無表情で、fuckサインしている。

「こら、ギャラクシア!そんな事しないっ!!」

遥輝がツッコむ。

「…多分、古参組(三里、乙津、マイク)ね。」

「でましたぁ。」

「さっき、アグマドルがfuckしてたから、その仕返しだろうけど、。」

「兎に角。一旦、体勢を立て直さないと、。」

モスラは少し離れたビルの上に止まり、ゴジラは自分の肩を見る。肩には風穴が空いている状態でとても痛々しい。

「”ぐるるるるっ、、!!“」

アグマドルはゴジラに唸り、空へ羽ばたく。すると、ガイターバーグが辺りに炎を吹き掛けた。軍人たちの前に立ち、庇いながらゴジラはアグマドルに向け熱線を放った。アグマドルは素早く、ゴジラの熱線を避け、自身の喉を赤く発光させる。

きゅうあぁぁあぁあぁぁあぁっ!!!!!!!!

モスラが叫ぶ。

「全軍、今直ぐ怪獣から離れろっ!!!!!!」

「『皆さんっ!!離れて下さいっ!危険ですっ!!!!』」

「うわっ?!」

双子は遥輝やしのぶを引っ張る。

アグマドルは一度、身体を反らせゴジラたちの場所に火を吹いた。勢い良く辺りに広がる炎と、いつの間にか周りに散りばめられた粉塵が一瞬、光り、次の瞬間巨大な爆発が起こった。モスラは空高くに逃れ、ゴジラは防御を固める。次々に粉塵爆発が起こり、轟音と共に建物が崩れて行く。

「なっ、何だっ?!今のはっ!!!!」

「四足歩行の怪獣が、粉塵を巻いていますっ!!」

「なんだと、?!」

ガイターバーグは辺りに赤い粉を撒き散らしていた。それに気付いたゴジラがガイターバーグに氷のブレスを放つ。モスラはアグマドルに飛び付き上手く捕まらないよう目眩ししていた。軍の戦車ヘリもアグマドルの翼や脚に向け、砲弾を撃つ。ゴジラがガイターバーグの顔面にドストレートなパンチを食らわし、もう一度、アグマドル目掛け投げ飛ばした。モスラはアグマドルから離れた瞬間、ガイターバーグが飛んで来てアグマドルの胸部に直撃する。

「うんわっ、、ギャラクシア、容赦なっ!!」

直ぐに立ち上がったガイターバーグがアグマドルを庇いつつ、ゴジラとモスラに向け、火炎放射を吹いた。その間に立ち上がるアグマドル。すると、どこから来たのか軍のものでないミサイルが2機、飛んで来た。

「全軍、気を付けろっ?!!!ミサイルだっ!!!!」

「うわっ?!」

「何だっ?!!!」

2機のミサイルはそのまま、アグマドル、ガイターバーグに直撃した。ミサイルが爆発し、空気中に広がる紫色の煙。ギャラクシアは目を見開いた。その光景その色、全てがあの時の、父の最後の舞台となったきっかけを創った忌まわしき薬品。

「…っ?!あ、れ、って、?!」

「……待っ、て、、?!」

煙を吸い込んだであろうアグマドルとガイターバーグは自身の首を引っ掻き回し、悶え苦しむ。カハカハと咳き込んでいると思いきや静かになる二匹。しかし、急にガイターバーグがアグマドルに飛び付いた。ガイターバーグはアグマドルの首根っこに食らいつき、首を振るう。モスラは見てられず、二匹を止めようとした。しかし、アグマドルはガイターバーグの首を掴み、地面に叩き付けた。

「ど、どうゆう事、、?!」

「…え、、なんで、攻撃してんの、?!仲間でしょ?!」

「もしかして、あの紫色の薬品で操ってるの?!」

思いもよらない状況にしのぶたちは、困惑していると、避難所に付けられていたモニターや司令塔のモニターが砂嵐になった。

「何だっ?!どうしたっ?!!!」

「なっ?!ハッキングですっ!!外部からハッキングされましたっ!!!!」

「なんだとっ?!!!」

「どうしたの、?!」

「なんなんだよ、、!!」

周りから困惑する避難民の声が聞こえる。しのぶたちは今だ砂嵐のモニターを見詰めていた。すると、砂嵐だったモニターの画面が切り替わり、白人の中々イケオジな男性が映った。

「あら、ダンディな方だ事。」

「社長?」

それは司令塔のモニターにも映っていた。

「何だ、お前はっ?!!!何者だっ?!!!」

『”こんばんわ、日本の皆さん。私の名は、アルバート。この地球を視察しに来た者だ。”』

「あら、ダンディなお声。」

「社長?」

『”この星は我々が貰い受ける。楯突くようであれば、あの、、今、じゃれ合っている怪獣共のようになってくれても構わないが?”』

モニターの向こうで笑い声が聞こえた。

「何、、これって、テロなの、?!」

「分からないわ、、。」

『”我々は、テロではない。”』

しのぶは聞こえていたのに驚き、思わず口を抑え

た。

『”ここで大人しく、我々の配下になると言うのなら、あなた方に手は出さない。我々にとっても、あなた方にとっても、悪い話では無いはずだが、どうかね?”』

「………。」

「何故、この星を狙うんだ?!」

『”この星は、他の星より遥かに豊かだ。そして『人間』という、技術に特化した生き物も居る、利用しがいが有る。”』

「……利用、しがい、、?」

『”そうだ。人間を使えば、今まで以上に我々の技術、科学力が上がる。そうすれば、我々に叶う者は居ない。”』

「…貴方たちは、、、貴方たちは一体、何者なんですかっ?!!!」

『”我々の名は君たちの原語では発音出来ない。『X星人』とでも、呼んでもらおう。”』

「X、星人、、?」

『”さあ、どうする?…………なんだ?”』

その言葉と共にモニター画面が映りずらくなった。ザァーザァーとノイズ混じりにアルバートの笑い声が聞こえた。

『”アッハッハッ!面白い。お前、た、ちの救世主とやらが、我々、の邪魔を、して、いるようだぞ?”』

しのぶは外を見た。外では今だ暴れているガイターバーグとアグマドル。それを止めようとしているモスラ。少し離れた所で、金属音を上げているゴジラ。生放送で見ていた三里たちは何かに気付く。

「あれ、?これって、マグロと初めて会った時にやってた、電波妨害するやつかっ?!!!」

「ああ、あれかっ?!!!やってた、やってたっ!!!!」

『”しかし、残念だな?”』

アルバートは笑みを浮かべ、ノイズ混じりの声を述べた。

『”まさか、私が創造し、たもの、反抗される事になるとは、な。”』

ノイズが強くなり言葉が途切れ途切れとなる。

「……は?…それって、どうゆう事?」

三里が顔を顰めた。

「……X星人さん?『創造した』って、どうゆう事なんですか?」

『”その、ま、、まの、と、、り、、、。”』

ツゥー、ツゥー…

電波が途切れたのかアルバートの声は聞こえなくなった。

どおぉぉおぉおぉぉおおぉぉんっ!!!!!!!!

大きな爆発音が鳴り、地面が揺らぐ。

外ではガイターをビルに投げ付けたアグマドルが富士山に登っていた。富士山の表面がバキバキとヒビ割れていき、アグマドルが地面に手を付ける。ガイターバーグは息を切らしながら立ち上がった。ガイターバーグの頭にモスラが止まり、光る。ゴジラはアグマドルを睨んだ。


があ”あ”ぁぁあ”ぁ”ぁあぁあぁぁっ!!!!!!!!!!


アグマドルは叫び、その咆哮に連なるようにして地面のヒビからマグマが、勢い良く飛び出てきた。

「………きっと、、辛いのよね、、。」

ゴジラは背びれに力を溜め、アグマドルに熱線を放った。ゴジラの攻撃はアグマドルに直撃したが、アグマドルはビクともしない。すると、アグマドルは飛び立ちゴジラに鋭い蹴りを入れた。ゴジラは地面に倒れ込む。ゴジラから離そうと、モスラがアグマドルの背中に乗り、引っ張った。しかし、アグマドルが発光し背中から熱風が飛び出した。吹き飛ばされるモスラ。そこで起き上がったゴジラが、アグマドルの頬に鋭いパンチを入れた。 アグマドルは吹き飛ばされるように空へ飛んだ。すると、アグマドルはゴジラに飛び付き、空へ飛ぶ。

「なっ?!ギャラクシア君っ?!!!」

モスラが止めようとしたが、羽根がボロボロで空へ飛べない。ガイターバーグもアグマドルに飛び付いたが、疲労のせいか直ぐに落とされてしまった。ゴジラが抵抗しようとするも、アグマドルは空上空へ羽ばたき続ける。もう、しのぶたちには、見えなくなってしまっていた。

「ギャラクシア君、、、。」

空高くで止まったアグマドルはゴジラの持ち方を変える。今ではゴジラはアグマドルにしがみついている状態(そりゃ、そうだ)。アグマドルはゴジラの首根っこを掴み、一気に急降下する。

「っ?!!!ギャラクシア君っ?!!!」

「ギャラクシアっ?!!!!!」

急降下して来るゴジラとアグマドルに皆が絶句した。

アグマドルが構える。そして、地面スレスレでゴジラを勢い良く叩き付けた。衝撃波が辺りに伝わる。周りは煙が立ち込め、避難所にまで届いていた。

「…ゲホッ、ゲホッ、、ゲホッ、?!!!皆さん、大丈夫ですかっ?!!!」

「……ギャラクシア君は、?!ギャラクシア君が危ないよっ?!!!」

遥輝がギャラクシアが堕ちた場所へ走って行った。それを追うように双子も消える。しのぶと美津子も、後を追った。


「ギャラクシアっ!!!! ギャラクシア君っ?!!!」

ギャラクシアは誰かの呼ぶ声に重い瞼を開けた。そこには、息を荒くし何度もゴジラの鼻先を叩く遥輝の姿。ゴジラは大丈夫と言うように息を吹き掛けた。

「大丈夫かっ?!!!ギャラクシア君っ、?!背びれ、がっ、、?!!!」

遥輝は絶句した。ゴジラは背中から勢い良く堕ちたことにより、背びれが完全に砕け散っていた。その上、ガイターバーグにやられた肩の風穴も広がりゴジラの血がドバドバと流れている。

「はぁっ、はぁっ!!ギャラクシア君っ?!!!…そんなっ、、?!!!」

ゴジラの意識が朦朧としている。なんとか立ち上がろうとしたが、やはり立ち上がれない。しのぶは口を手で抑え泣きそうになっていた。生放送で見ていた涼やマイクも息をするのを忘れる程、緊迫した状態となっている。すると、しのぶのスマホに着信が入った、三里からだ。

『”しのぶちゃん?三里やけど、。ギャラクシアにも、聞こえるようにしてくれん?”』

「わ、分かりましたっ、、!!」

しのぶは周りに聞こえるようにして、ギャラクシアに近付いた。

『”ギャラクシアアァっ!!! ここで、負けたらいかんでっ!!!!やるんならやるで、しっかり、最後までけり、つけぇやっ!!!! 頑張れぇっっ!!!!!!!!“』

三里の大声が響き渡る。虚ろな目をしていたゴジラに光が灯されたかのようにして輝きを取り戻した。そして殆どが無くなった背びれを赤黒く発光させた。同時にゴジラも強く光り出す。

「『皆さんっ!!!!離れて下さいっ!!!!』」

双子が三人を引っ張り、ゴジラから離れさせた。ゴジラは赤黒く発光しながら、ゆっくり立ち上がり、肩を鳴らした。次第にゴジラの背びれが元の形に戻って行く。肩の風穴も埋まって行った。そして、アグマドルを見る。その瞳には先程の輝きは無く殺意に満ちた、無機質な瞳だった。アグマドルはガイターバーグと軍のヘリや戦車が相手をしていて気を取られている。周りにゴジラから流れた血が広がり固まって行く。結晶のようにパキパキと固まり、ビルや建物を飲み込んで行った。アグマドルがゴジラに気付き、唸った。ゴジラの背びれが赤黒く光る。アグマドルの身体も紅く、光った。二匹は、同時に熱線を放つ。しかし、ゴジラの威力が強過ぎて直ぐに押し負かしてしまった。たちまちにアグマドルの下半身が血の結晶で固まり、身動きが取れなくなった。そこへゴジラが近付く。ゴジラはまだ、無機質な目のまんまだった。ゴジラは背びれを赤黒く発光させながら、アグマドルの口を掴み無造作に広げる。美津子がまさかと思い、しのぶと遥輝の目を隠した。

ゴジラはアグマドルの口の中に向け、勢い良く血の結晶ブレスを吐いた。途端にアグマドルの身体や首から血の結晶が貫き、飛び出てきた。最初ゴジラを掴んでいた腕が、だらんと落ちた。その光景を見ていたガイターバーグは事切れた兄を見詰めるだけだった。


ごおぉぉおぉおぉぉおおぉぉぉんっ!!!!!!!!


ゴジラのいつもより、無機質な咆哮が響き渡る。そして元のゴジラに戻って行った。ゴジラは大きなため息を吐く。隣のビルにモスラが止まる。

「”きゅうぅうぅぅ、、、。”」

「”ごおぉおぉぉ、、、。”」

二匹の会話を横目にガイターバーグはどこかへ行ってしまった。

「……朧月、、、。」

「終わったけど、、やるせないよな、、。」

「仕方ないよ、、。」

ゴジラは朝日に照らされながら海の方向へ帰って行った。モスラもゴジラの後を追う。

「『皆さん。それでは、私たちはこれで、、。』」

「ええ、。あなたたちも、気を付けるのよ?」

双子は小さくお辞儀し、消えて行く。しのぶと遥輝は消えて行くゴジラを眺め、

「ギャラクシア君、エンジェルさん、ゆっくり休んでくださいね、、。」

「うん、、そうだね、、、。」

二人は、何か悲しそうな顔をしながらぼんやりと呟いた。


























END

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