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【注意事項】
こちらの作品は、実在する方々のお名前と、一部容姿をお借りした二次創作作品です。
公式様方と一切の関係はございません。
また、こちらの作品には
・ケーキバース
・腐要素
が含まれています。
そして何から何まで捏造です。
誤字脱字などありましても、暖かい目で見守っていただけますと幸いです。
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家までの道は、やけに長く感じた。
後ろからついてくる気配。視線。
触れられていないのに、背中が落ち着かない。
(…ほんまに送るだけ、やんな?)
大丈夫、大丈夫。
自分に言い聞かせる。
sypは今まで、そんなそぶりを一度も見せたことがない。
信用してきた相手だ。今さら疑う理由も
「zmさん」
不意に名前を呼ばれ、足が止まる。
「何、?」
「匂い、強くなってきてます」
言われて初めて気づいた。
胸の奥が、じんわりと熱い。
さっきよりも、空気が甘い気がする。
「…ヤバい?」
「正直、はい」
sypは即答した。
その声に、冗談の余地はない。
「このまま歩かせるの、危ないですね」
「家、もうすぐやって」
「それでもです」
一歩、距離が詰まる。
今まで保たれていた”安全圏”が、静かに破られた。
その瞬間。
「…あれ?」
別の声が路地の奥から聞こえた。
ぞくりと背筋が冷える。
この感じを、zmは知っている。
「ん?甘い匂いせえへん?」
フォークだ。
軽い口調。探るような視線。
無意識に一歩下がったzmの前に、先程まで後ろにいたsypが立った。
「知り合いですか」
「ちゃう…」
短く答えると、sypは一度だけ頷いた。
「ここ、通行止めですよ」
「は?そんな看板」
「あります」
低く、静かな声。圧がある。
相手のフォークは舌打ちをして、こちらを睨む。
「後ろケーキかよ…連れ歩くとか無防備すぎやろ」
「無防備なのは、どちらですか」
sypは一歩も引かない。
「”俺の前”で、狙うなんて」
空気が、ピン、と張りつめる。
「…!ハッ…アンタ相当だな」
「当たり前でしょう」
即答だった。
「この人は、俺の管理下にいるんですから」
その言葉に、zmの心臓が跳ねた。
(……管理下!?)
フォークは一瞬だけ黙り、やがて鼻で笑った。
「まあええわ。今日は引いたる」
そう言って、闇に紛れ消えた。
静寂が戻ったあと、zmはようやく息を吐いた。
「…助かったわ」
「いーえ…」
振り返ったsypの目がには影がかかっており、ハイライトが消えていた。
「zmさん」
「今度は何?」
「今の、怖くなかったですか」
返事に詰まる。
怖くなかったわけじゃない。
でも
「慣れてもうた、て言うたやろ」
「……」
sypの眉が、ほんの少しだけ寄る。
「それ、訂正してください」
「は?」
距離が、また近づく。
「怖いものは、怖いって言っていい。
守られる側でいることを、諦めないでください」
低い声。
さっきフォークを追い払ったときよりも、ずっと静かで、ずっと重い。
「…俺が言うたら」
zmは、思わず口にした。
「sypくんは、ほんまに守ってくれるん?」
「はい」
迷いのない返事。
「貴方に必要なら。必要とされるなら」
視線が、喉元に落ちる。
「俺はzmさんをずっと守ります」
それは、約束の形をした宣言だった。
守る。
逃がさない。
その境界線が、もう分からない。
「…家、着いた」
zmは逃げるように言って、鍵を開けた。
「さっきは、ありがと」
「…いーえ」
sypは立ち止まる。
けれど、去らない。
「zmさん」
「…まだ何かあるん?」
「今日は、甘すぎます」
「分かっとる」
「だから」
ほんの一瞬だけ、声が低くなる。
「戸締り、ちゃんとしてください」
その言葉の裏にある意味を、zmは理解してしまった。
「…sypくん」
「はい」
「次、俺が一人で外出てたら」
冗談めかして、でも、半分本気で聞く。
「どうするん?」
少しの沈黙。
「迎えに行きます」
「それだけ?」
「連れ帰ります」
当たり前のように。zmは小さく笑った。
(……やっぱ、一番危ないわ)
「んじゃ、またな」
「はい。また」
ドアの鍵を閉める。
玄関の向こうに気配がなくなるまで、少しだけ時間がかかった。
そのことに、なぜか安心してしまった自分を、zmはまだ認められずにいた。
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