テラーノベル
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私の家庭は崩壊していた。
まるで、砂の城のような家だった。
外面良く、仲睦まじい家庭を演じていた。
私は、両親の人形だった。
そう、教育されていた私は、この世界しか知り得なかった。
勉強するために高校へ行き、友達は親のチェックが入り決められた子としか遊べない。
テレビやネットは禁止され、本も、事前確認をされて通った物しか読めなかった。
ある時、婚約者をあてがわされた。
優しそうな男だった。
警察官だという彼は、親も警察の上の立場にいる人らしく、両親の前では誠実に、とにかく優しく接してきた。
2人になると、急変した。
部屋には隠しカメラを付けられ、GPSを持たせられ、下着の色から全て指示が入った。
両親よりヤバイ奴だと思った。
学校へ行く振りをして、金目のものを全て売った。
下着を買ってくれるところがあると、クラスの子が話していたのを思い出し、東京へ向かった。
下着を売り、初めて自分で選んだ下着と洋服を着て街を歩いた。
いっそ体を売って、もっとどこか遠くに行きたい。そう考えていた。
何人かのおじさんと話したが、厭らしい表情を浮かべ値切ってくる。
私は金額を吊り上げていった。
泊まるところを本気で探さなくちゃいけない時間になった。
ホテルは泊まれない。
漫画喫茶は当時、そんなお店があることすら知らず、その道の筋の人っぽい見た目のおじさんに声をかけた。
身綺麗で、お金を持っていそうな違う世界で生きていそうな人。
緊張しながら声をかけたのに、興味ないの一言で片付けられ、断ってきたくせに、木目調のBarに連れていかれ、身体を売るなら体で働けと、話術や技術を売れと言ってくる。
お互い名前を知らないまま働かされた。
洗い物や片付けメインだったけど、忙しくて辛い気持ちも逃げ出したい気持ちも全てどこかに吹き飛んでいた。
シャワーを借りた後も、厭らしい目1つ向けられない。
年頃の女の子を『部屋には泊めねぇ』と言って追い出し、お店に寝泊まりさせてくれた。
3食食べさせてくれて、和人さんが『味見して』と言いながら店のメニューに載っていないデザートやお菓子を食べさせてくれた。
そして、もうさすがにバレたらヤバイから、と
、未成年が働いていい時間で働かされ、アパートに住まわせてくれて、夜は閉店までコーヒーや紅茶をカウンターで出してくれた。
相変わらず3食共面倒見てくれて、お金が貯まるのはあっという間だった。
『だいぶ貯まったか?それが、お前が頑張った成果だ。それがあれば、なんでもできるし、どこへでも行けるぞ。家は、帰んなくていいのか。拗らせたままだと、意地だけ強くなっちまって帰る勇気は持てなくなるんだ』
店長はタバコをふかしながら、カウンターに座る詩音に問う。
初めて、詩音は家での生活と家出の理由を薫に話した。
怖い顔をさらに深めつつ、黙って詩音の言葉に耳を傾ける。
灰皿が吸殻で一杯になった頃、薫は黙って温かいおしぼりを差し出した。
『目に当てとけ。お前、明日から3日間休みな。その間絶対店来んな。携帯は買ってやっから。4日目からさらにこき使ってやっから覚悟しとけ。とりあえず、だ。お前は焙煎士の資格取れ』
そう命令された次の日の朝には、店長と和人さんと店の電話のみ電話帳に登録された携帯電話を渡された。
私は、知らなかった。
店長が両親に頭を下げに行ってくれていたなんて。
働かせたいって、衣食住全て面倒みるから、詩音に自由をくれ、とお願いしに行ってくれていたなんて。
私は、音弥さんから聞いた話に涙が止まらなかった。
白いワンピースに紺のカーディガンを着て、足枷を擦りながら思い返していた。
音弥さんは、だから、私が東京にいることを知っていた。
帰りたい。
みんなのところに。
店長にお礼を言いたい。
涙で滲んだ視界で、カーテンで閉められた向こうの外へ思いを馳せた。
、
つかであきひろ
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橘靖竜
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るしゅ
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ロボットの王
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コメント
1件
えっと……第15話、読み終わりました……。 詩音ちゃんの過去がピースになって埋まっていく感覚、すごく苦しかったです。砂の城の家庭って表現、胸に刺さりました。でも、店長の「目に当てとけ」ってツンデレな優しさに泣けましたね……。自分に与えられるものって、ちゃんとあるんだって伝わってくるシーンが好きです。 次、詩音ちゃんがみんなのところに帰れるのかな。応援してます、先生🌙