本作品の一番の悪役は不倫妻の夢香でも間男の松永でもなく、弁護士の鷲本夫妻、そして離婚弁護士の代表格として登場する岡室春子弁護士です。
離婚弁護士とは、うまくいってない夫婦を離婚させて、慰謝料や婚費や養育費をピンハネして暴利を貪る弁護士のことを言います。作中では成功報酬は30%と書きましたが、もっとピンハネされることも珍しくありません。弁護士を通すと、毎月たった五万円の養育費から二万円ピンハネされて手元に入るのは三万円などということもよくあることです。
実際、離婚弁護士はいても、復縁弁護士はいません。なぜか? 復縁してもお金が動かないから、弁護士が儲からないからです。
離婚弁護士は何がなんでも依頼人夫婦を離婚させたい。その一番手っ取り早い方法が子どもの連れ去り別居であり、DVでっちあげです。これをやれば夫婦の対立は決定的なものになり、当然その夫婦の復縁はほぼ不可能となります。
離婚弁護士の口車に乗った奥さんに子どもの連れ去りやDVでっちあげをやられて、家族がバラバラになった別居父たちの嘆きは、ちょっとXで検索をかけるだけでいくらでも見つけることができます。心に傷を負っているのは子を連れ去られた親ばかりでなく、突然片親にされた子どもたちだってきっとそうです。
連れ去られた側の多くは共同親権の実現を訴えています。彼らの多くは連れ去られてから子どもに会うこともなかなかできません。離婚弁護士は面会交流調停で認められれば子どもに会えると主張しますが、作品で描いたとおり、実際は同居親が妨害すれば何年も会えないこともざらです。そもそも別居親の多くが望むものは子との面会ではなく、子の養育に参加すること。
本作品では無数の家族を崩壊に追い込んできた離婚弁護士に制裁する話を書くという方針で書き始めました。
でもいくら考えても、作中の夢香や松永のように彼らを社会的に抹殺する方法が思い浮かびませんでした。過去に、奥さんを弁護士に寝取られた男が男性弁護士の性器を切り取ってトイレに流したという事件がありましたが、それも社会的に抹殺するというレベルには達していません。
結局、物理的に彼らの生命を奪うしかないという結論になりました。その場合、鳥居俊輔のような常識人にその実行役を委ねるのは無理があります。
ということで、望月茉利子という常識を超えた人物の登場が不可欠となりました。俊輔が夢香を鉄砲玉に仕立て上げて鷲本夫妻と刺し違えさせようとした同じことを、望月保が茉利子にやらせました。最後に、茉利子は俊輔まで殺害します。
子を連れ去られたときは共同親権を支持していたのに、子を取り返してからは手のひらを返したように単独親権擁護に走った人もX上で実際に見かけました。
同様に、同居親のアドバンテージを最大限に利用して別居親の夢香を迫害するようになった俊輔もまたもはや被害者とはいえず、離婚弁護士たちと同じく制裁を受けなければならない立場になった、ということを表しています。
作者は、夫婦の別れが親子の別れとならず、父母として協力して子を養育する、共同親権(共同養育)実現に賛成する立場です。当然、離婚弁護士たちは婚費や養育費が発生しにくくなる共同親権に絶対反対の立場です。今だって夫が無職の場合など金にならない案件だと、彼らは見向きもしません。結局、金なのです。
「私は地獄でもう一度あの夫婦を殺すつもりだ」
これは鷲本夫妻を殺害した望月茉利子の言葉ですが、離婚弁護士たちは愛する子どもを連れ去られた無数の別居親たちからそれくらい恨まれていることを今すぐ知るべきです。この小説は事実を書いたものではありませんが、書かれていることは真実です。
悪徳弁護士によって家族を崩壊に追い込まれる人たちが少しでも減ることを願って、この作品を書き上げました。また、離婚後も両親がともに子どもの養育に責任を持つ、共同親権社会がいつか実現されることを、僕は信じています。
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