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タクシーが着いたのは私が済んでいるマンションの前。
部屋に入ってから着替えることもなくコートを脱いだだけの姿でただ黙って抱きしめてくれた。
ベッドの上で賢一の腕の中に包まれていると、さっきまでの恐怖や不安が薄らいでようやく何があったのかを話すことができた。
「ああ、Crowで見てた変な写真か」
やっぱり見られてた。
「うん」
「どうして俺に相談してくれなかったんだ?」
それは・・・森川彩香じゃ無いかと思ったから。
なんて、言えるわけがない。
「それに、北山と二人で会っていたんだ。よりを戻したとか?」
私の髪を撫でながら、嫉妬とも取れるような事を言う。
「今日だけよ、はっきりさせたかったから」
「それなら、俺に言ってくれればいいだろ?俺は北山よりも頼りがない?」
「そう言うことじゃない」
賢一は上半身を起こすと少しイラついた表情になる。
「なら、どうして?恋人であるはずの俺が北山から連絡を受けるんだ?北山に未練があるんじゃないのか」
「なっ、今日来てくれた事には感謝するわ、でも今回の事は私の茂の問題で、私のせいなの」
賢一の眉間がピクリと動く
「雪のせい?別れたはずの雪のせいなのか?」
なんとなくトゲのある言い方が神経に触る。
「私が、彼女のいる人とは飲みに行かないっていったから二人は別れて、それがこじれてしまったんだもの。私があんなことを言ったりしなければ」
「それは違うだろ、彼女がいるのに女と二人で夜に一緒にいる方がおかしいし、単に女にだらしがない北山が悪いんだろ」
「夜に一緒になんて変な言い方しないでよ」
「現にそうだろう、さっきだって」
じ、自分は彩香と頻繁に連絡取ってるくせに
「帰ってよ」
「わかった、じゃあ」
賢一は奥歯を噛んだように一瞬顔を歪めてから部屋を出て行った。