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好きが止まらないってこういうことを言うんですね…もう大好きです!!💕 高校生での関係と大人の関係が少し違ってて青桃さんの方も猫乾さんの方もお互い羨ましがっているところがぐっときました…✨ 毎日のように癒されてますありがとうございます大好きです(🤛 またまたFAを描きたい作品が増えてしまいました…😭💕
あおば様!?!?😭😭💖💖まさかテラーノベルでお会い出来るなんて思っていませんでした嬉しいです...😭半年ぐらい前から密かにpixivで拝見しておりまして、最近寝る前にあおば様の小説読むのがルーティン化してるぐらい大好きなんですほんとに߹ ߹💖やっと直接感想をお伝えできて嬉しいですフォロー失礼します!!!
やっぱりいいな、、尊い、、 水族館行ってみたい!w 今回の話もすごく良かった!(毎回おんなじことばっかですいません、 最近毎日かな?投稿してくれてるので嬉しい!私も頑張って投稿しますw
【お願い】
こちらはirxsのnmmn作品(青桃)となります
この言葉に見覚えのない方はブラウザバックをお願い致します
ご本人様方とは一切関係ありません
乾視点
「見て猫宮、これかわいい」
イルカショーの後、ペンギンへのえさやりタイムを眺めてから土産物を売っているショップに寄った。
海の生き物をモチーフにしたグッズが所狭しと並ぶ中、ストラップを一つ手に取って少しだけ掲げてみせる。
水族館に売ってるものなんて子供っぽいものが多いのかと思っていたけれど、それは割とシックなデザインのガラス製のイルカストラップだった。
「無人、普段ストラップなんかつけへんやん」
くらげをモチーフにしたくにゃくにゃの手触りのグッズを手にしながら、猫宮は首を竦めてそんな返事を寄越す。
大してこちらを見向きもせず…かと言って自分が持っているものを特別気に入っているわけでもないらしい。
ぽいと棚に戻すと、ズボンのポケットに手を入れて踵を返す。
そのままどこかに行ってしまいそうな背中を慌てて追おうとすると、猫宮は少し先でぐるりと店内を見渡していた。
それからある一点で視線を止める。
その先を追うと、ないこさんとまろがアパレルコーナーで何点か手に取っているのが視界に映った。
ああでもないこうでもないなんて言いながら、手にした帽子を次々にピンク色の髪に乗せて試着していく。
やがて「よくそんなの見つけたな」なんて感心させられるようなマグロの被り物みたいなものを装着するから、思わず俺は遠目に吹き出してしまった。
視線の先では、おもしろ帽子を被って真顔を装うないこさんを指さして、まろが「頼むからその顔やめて」なんてげらげら腹を抱え笑っている。
…さっきケンカしかけてた人たちとは到底思えない。
「子供みてー」
思わずそう呟く。
…そうだよ。まるで子供だ。
朝から終始軽口を叩き合い、くだらないことで大声を上げて笑っている。
周りから見たら「何がそんなにおもしろいんだ」とさえ思ってしまいそうな程度のことでも、本当に楽しそうに。
小学生の頃なら、自分ももしかしたらこんな感じだったのかもななんてことすら思う。
だけど…なんだろう。呆れた目で眺めながらも、それが少し羨ましいと感じている自分もいる。
あの二人を見ていると、「人に迷惑をかけない程度に全力で子供になりきれるところ」がむしろ大人なんじゃないかと思わされた。
それと同時に、自分は大人になりたくて背伸びをしていただけだったのかもしれないってことも自覚させられる気さえする。
そんなつもりはなかったし、別に無理をしていたわけでもない。
それでも今は、あの2人の方がよっぽど自然体にも見えた。
「無人、この後ふれあいコーナー行く?」
考え事をしているうちに、いつの間にか真後ろにないこさんが立っていた。
びくりと肩を揺らして振り返った俺に、自分そっくりなピンク色の瞳が苦笑い気味に細められる。
「ヒトデとかナマコとか触れるらしいよ」
「もうほんまいや…全然行きたない…ナマコとか絶対無理やん…」
意気揚々と俺に説明をするないこさんの後ろで、まろが思い切り顔を歪めていた。
…へー意外。そういうのまろの方が嫌がるんだ。
「うん行く…けど、あれ? 猫宮どこ行ったんだろ」
店を出たところできょろきょろと辺りを見渡したけれど、あの藍色の髪はどこにも見当たらない。
さっきまでそこにいて、遅れずついていってるつもりだったのに。
「いないの? じゃあスマホにメッセージ送っといてよ。ふれあいコーナーで待ち合わせ、って」
言いながら、ないこさんは俺の背中を押した。
「ほらほら」と言わんばかりに促される。
この強引さ…いや言葉を選んで言えば「促進力」は、客観的に見たときには俺もこうなんだろうか。
猫宮に連絡だけ入れておいて、3人で連れ立ってふれあいコーナーへ赴いた。
土曜の真昼間だからか、その場所は他よりも家族連れで賑わっている。
未就学児くらいの男児が嬉しそうにヒトデをつんつんと触っていて、それと同等な笑顔を浮かべながらないこさんも同じように手を伸ばしていた。
三歩ほど後ろに下がって、まろはそんな彼を眺めている。
ないこさんがぬるぬるぷにぷにしていそうなナマコにも手を出し始めたときには、心底嫌そうな顔をしていた。
それでもきちんと傍で付き合ってやるんだから優しいというかお人好しというか…。
嫌ならその間だけ別行動して他を見に行くっていう手もあるだろうに、まろにはその選択肢は必要ないのかもしれない。
「まろ見て!これすげぇ気持ち悪い!」
ぎゃははと笑い声を上げながらこちらに掲げようとするから、まろが「いい、いい!こっち持ってくんな!」なんて大慌てでたしなめている。
…本当に、どこまでも楽しそうな2人だ。
感心したような呆れたような目線でそれを眺めていると、ないこさんはそのまま子供たちの輪の中に戻っていった。
「…まったく」なんて呟くまろの横顔を、隣でこそりと見上げてみる。
だけどまろの表情は言葉とは裏腹に微笑をたたえていた。
だから、考えるよりも先に言葉が口をついて出た。
「仲良いね、2人」
まるで子供のじゃれ合いみたいに。
それでもその合間のふとした瞬間は、ちゃんと想い合ってるのが分かるような大人の空気が流れていたりして。
「さっきケンカしかけてなかった? もういいの?」
尋ねた俺を、まろはゆっくりと振り向いた。
深い青色の瞳がまっすぐにこちらを捕える。
なぜか逸らすこともできない圧のようなものを感じて、俺も一度口を噤んで見つめ返した。
「ケンカ…は、してない。俺とないこじゃケンカにはならんよ」
「…でもさっきさ…」
珍しく声を荒げてたじゃん、…そう言いかけたけど、まろが先に苦笑を浮かべて首を横に振る。
「ケンカってさ、もっと互いの意見のぶつかり合いじゃない?」
「まろたちのは違うの?」
「…どうやろ。別にぶつかりたいわけじゃないからなぁ。ただ、『今のお前の言葉は不快だった』っていう意思表示は必要やと思っとるだけ。いくら俺でも、ないこのこと何でもかんでも許せるわけじゃないから」
言いながら、まろは俺から視線を前方に移した。
大きな水槽の前ですっかり近くの小学生と仲良くなり始めてしまったないこさんの姿を目で追っているのが分かる。
「何でもかんでも許せるわけじゃないけど、許せない部分も含めてないこの全部を受け止めたいとは思うよ。だからこそ、お互いに何が不快で何が相容れなくて、何をやめてほしいのかは言うべきやと思う。多分ないこもおんなじこと考えとると思う」
だから、ケンカというほどのケンカをしたことはないとまろは続けた。
必要なのは「ケンカ」じゃなくて「意思表示」。
いつからかの暗黙の了解で、少し時間を空けたその後はお互いにいつも通りに戻るようにしているらしい。
「…大人だね。俺と猫宮なんて言い合いになったら数日口きかないもん」
「んはは、大人かなぁ?融通が利かんだけかも。それに高校生ならケンカもするやろうし、一度言い合いになったらそんなもんちゃう?」
そこまで言って、まろはもう一度こちらに視線を移した。
さっきまでの眼差しよりも優しくふわりとした雰囲気でこちらを見据えてくる。
「逆にそういうんが、ちょっと羨ましいかも」
意外な言葉を続けるものだから、俺はまたそのガラス玉みたいにきれいな瞳をまじまじと見据えてしまった。
「俺は大人になってからないこに出会ったし今のないこが好きやから、高校生のないこに会いたかったなぁとはさすがに思わんけど…でも、猫宮と無人の関係性を羨ましいとは思うよ」
ふふ、と小さく声を出して微笑する。
…あぁ、それなら分かるよ。
俺も自分は自分だし猫宮との関係性に不満はないけれど、あと数年経てば少しでもこの2人みたいな関係性に近づけるんだろうか、なんて羨ましく思う気持ちもある。
「まろ、無人!見てこれ!」
遠くからワカメみたいな海藻を腕いっぱいに巻きつけてはしゃぐ成人男性…。
そんなないこさんの子どもみたいにきらきらした表情を見やってから、俺とまろは思わず互いの顔を見合わせて吹き出した。