テラーノベル
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「どうしたんだろう」
「千愛が寂しがるな。ママも仕事を紹介してもらったり、仲良くなったみたいだったから」
「そうね。しばらく時間をおいて、連絡してみるわ」
「1カ月ほど様子をみればいい」
「うん」
と……夫と言っていたのだけれど、1カ月の間、誰も出入りがないようだ。
電話番号だけを知っている直美さんに、電話することもショートメールを送ることも出来ないまま、今日、引っ越しの車が来た。
業者さんだけってことはないわよね。
私は直美さんがいるかな、と表へ出ると、玄関ドアが開け放たれたままの中西家のインターホンを押した。
すると、ひょこっと顔を見せたのが直美さんで
「ああ、直美さんいたのね…」
と、挨拶もなく言ってしまった。
「風子さん…すみませんでした!突然、何のご挨拶もなく……」
と言いながら、直美さんは表へ出てくると
「お久しぶりです…」
と小さく言った。
「ずっと見掛けなかったと思えば引っ越しの車って…ビックリだわ」
「…何から説明すればいいのか……って感じなんですけど、今、移す荷物だけをまとめてもらっていて、この1時間でやらないといけないので…」
「亜優ちゃんは?」
「実家です。今日は学校に行っています」
「よくわからないけど…あとで時間があるなら、うちに来て」
「ありがとう、風子さん…あとで行きますね」
ペコッとお辞儀した彼女は、小走りで家の中へ入って行く。
……また転勤?
それにしては、引っ越しの車のサイズと数が、ここへ来た時の1/4かそれ以下だわ。
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