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雫
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うさみみ
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俺の目の前には、真っ赤になったり青褪めたりしながら慌ててる佐久間くんがいる。
焦ってるせいか全裸なのに何も隠さないから、身体のあちこちに散らされた赤い痕がよく見えて。
これ全部、俺が付けたの? 全然記憶に無い…。
首元にあるハートのホクロの上が一際赤くなっているのに気付いて、自分の執着心に慄いた。
確かにずっと思ってたよ。そこにキスしてみたいって。
だからって実行するなよ俺!!
2人してそれぞれ慌てたり焦ったりしている中で、先に冷静になったのは佐久間くんだった。
こういう時、やっぱり歳上なんだなって思う。同時に自分の未熟さに歯痒くなったりもするけど。
「ははっ、まさかこんなこと現実に起こるなんてな。しかも男同士でなんてさ。二次元の中だけの話かと思ってたわ!」
努めて明るくしてるんだろうなって分かる話し方。
俺もそれに合わせるしかなくて、でもさすがに明るくは出来ないから小さくこくりと頷いた。
「とりあえずさ、シャワー借りていいか? あと服も貸してくれるとありがたい。蓮のじゃ大きいだろうけどさ」
「…大きくても大丈夫そうなの出しておくから。全然気にしないで、どっちも使って」
「ん、ありがとな」
お礼を言ってにこっと笑った佐久間くんは、逃げるように急いで浴室に向かった。
そうだよな。俺といたって気まずいよな。
落ち込みそうな自分を何とか奮い立たせて、佐久間くんの為のタオルや服を準備する。
下着は新品のがあったし、パーカーとジーパンならオーバーサイズでもいけるだろう。自分もひとまず服を着てから、浴室にタオルと着替えを置いてくる。
浴室から聞こえるシャワー音と擦りガラスの向こうの影が気になって堪らなかったけど罪悪感がそれに勝って、振り切るように急いで出た。
どうしてこんなことになっちゃったんだろう。
俺はただ、佐久間くんの側にいられれば良かったのに。
「シャワーと服、ありがとな。ドライヤーも勝手に借りちゃった。ごめんな」
「ううん…気にしないで」
「じゃあ、えっと…俺、帰るな。色々悪かったな」
「…送ろうか?」
「いや、下でタクシー捕まえるから大丈夫。ありがとな」
「…佐久間くん」
気まずそうにそわそわしながら荷物を抱えた佐久間くんに、意を決して声を掛ける。
びくっと佐久間くんの肩が震えたのが何だか悲しかった。
「…迷惑かけてごめんね。きっと俺が悪いんだと思うから。お酒のせいで理性飛ばしてなんて、本当に最低なことしてごめんなさい」
「何で蓮が謝るんだよ。こういうのってお互い様みたいなもんだろ? 俺だって酔ってたんだしさ」
「だけど、あの…より負担をかけたのは佐久間くんの方だと思うから。だから、ごめんなさい」
そう言って佐久間くんに向かって深く頭を下げる。
佐久間くんは何か言いたげな様子だったけど、それを呑み込んで小さく息を付いた。
「…分かった、受け取っておく。だからさ、もう気にすんなよ! 俺と蓮だし、男同士だしさ。事故みたいなもんじゃん?」
「…そうだね。ありがとう」
「じゃあ、またな。服ありがとう」
「下まで送ろうか?」
「んーん、大丈夫! また現場でな」
そう言って笑顔で手を振りながら、佐久間くんは帰っていく。
俺の付けた痕を、俺の服で隠して。
衝動的な何かが溢れ出しそうになるけど、理性と罪悪感がそれを抑え込んだ。
完全に閉まった扉を前に、力が抜けてその場にしゃがみ込む。
佐久間くんのことがずっと好きだった。
それこそ今のグループに加入する前、Jr. の先輩後輩だった時からずっと。
陰キャで怖いけど面倒見が良くて優しい、綺麗で可愛い先輩。憧れが恋になるのはあっという間で。
好きを募らせながら、それでも側に居られるだけで幸せだったのに。この関係が壊れるくらいなら、伝えずにずっと好きでいようって決めてたのに。
まさかこんな形で、自分の気持ちが漏れてしまうなんて思わなかった。
こんな最低なことをして、もう好きでいることすら許されないかもしれない。これまで通りにするのも、絶対無理だ。
ごめんね、佐久間くん。俺があなたを好きだったせいでごめんなさい。
もうなるべく、側に寄らないようにしないと。
佐久間くんへの好きも、もっと強く固く封印しなきゃ。
もうこれ以上、佐久間くんに迷惑かけないように。嫌な思いをさせないように。
それでもきっと、佐久間くんを好きな気持ちだけはなくせないだろう。
俺の中だけで抱えていくから。もう二度と表に溢れないようにするから。
だから、想うことだけは許してください。
「…好きだよ、佐久間くん。ごめんね…」
罪悪感とかこれからへの覚悟とか、何か色々ぐちゃぐちゃになって。重いため息と一緒に、ほんの少しだけ涙が出てきた。
コメント
4件

🖤片思い編ありがとうございます‼︎ 水瀬さんのセリフのチョイスに、大人なさっくんが感じられて大好きです😍🩷推しリスペクト👑 このまま🖤🩷離れていかないでほしい……
うわぁ〜〜〜😭💔 第26話、めっちゃ切ない回すぎる…!! 蓮くんの「好きな気持ちが溢れた結果」への罪悪感と後悔が痛いほど伝わってくるよ… 「好きだよ、ごめんね」って言葉、心臓ぎゅってなった😢 佐久間くんも気を遣ってるけど、やっぱり気まずくなっちゃう感じがリアルで辛い… でも、蓮くんの一途な想いが尊すぎて泣ける💕 この先どうなっちゃうの…!?続きが気になって仕方ないよ〜!!