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健吾さんの苛立つ気持ちが治まればいいなと思えば、叩かれる痛みにも耐えることができた。
「なんで、今頃になって現れたんだ……。くそっ、こんなふうにイライラしてたらアイツの思う壺なのに、考えれば考えるほどに腹が立ってしょうがない!」
「あの、記憶がなくて、はっきりとした確証はないんですけど」
「どうした?」
「創造主さまに逢うことがあったら、お礼を言いたいなって思っていたんです。健吾さんと出逢うきっかけを作ってくださったから」
「それでおまえは、ヤツに礼を言ったってわけか。律儀な敦士らしい」
バシバシ叩いていた手が止まり、なぜかパジャマの裾から反対の手が侵入してきた。
「悪かった、背中が熱くなるくらいに叩いてしまって」
「大丈夫ですよ。全然へっちゃらです。うっ!」
健吾さんの指先が、肩甲骨をなぞるように触れていく。骨の形を確かめるようになぞっているだけなのに、ちょっとした加減でぞくっとさせられるせいで、自然と息が乱れてしまった。
「純粋無垢で素直な敦士を前にしたら、あの創造主も手が出せなかっただろう」
「健吾、さんは?」
「俺は、敦士が感じてる顔を堪能している最中さ。大好きなおまえを見て、手を出さずにはいられない」
語尾にいくにしたがって顔が寄せられ、耳元で囁かれる言葉にドキドキする。言葉と一緒に躰も、もっと乱してほしいと思わずにはいられない。
(健吾さんの愛の告白はストレートすぎて、なんて返せばいいのかわからないけれど――)
「こんなふうに触れられたら、同じことを貴方にしたくなります。健吾さん、僕を誘っているんですよね?」
目の端に、健吾さんの空いてる手が映った。僕の躰に触れることなく、まっすぐ下半身に向かって伸ばされる。慌てて手首を掴んで、動きを封じることに成功した。