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ダンディー・ダーリン「年上の彼と、甘い恋を夢見て」

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「ダンディー・ダーリン「年上の彼と、甘い恋を夢見て」」のメインビジュアル

ダンディー・ダーリン「年上の彼と、甘い恋を夢見て」

11 - スーツをスマートに着こなした、絵になる彼の正体 -11-

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2024年06月16日

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初めて乗る車に、運転席でハンドルを握り、アクセルに足を伸ばしてみて操作感を調整していると、助手席に蓮水さんが乗り込んで来た。


「あの、後ろには乗られないのでしょうか?」


やや不思議にも思って、端正な横顔を見やった。


「ああ、後部座席から口を出すような真似は、偉ぶっているようで私はあまり好きではないんだ」


そう言うと、


「だが、もし君が困るようなら、後ろへ座るが」


手にしたシートベルトをすぐには締めずに、私の顔を窺った。


「い、いえ……、そんなことは……」


と、下を向いて首を振る。


じっと見つめられると、つい照れてしまいそうで、さっき華さんが言っていた天然の人たらしって、もしかしたらこういうことなのかもと感じた。


エンジンをかけ、車庫から車を出すと、


「君には、急に運転手を頼んですまないようにも感じていたんだが、運転がずいぶんとスムーズなんだな。車は割りと乗り慣れているんだろうか?」


助手席の蓮水さんに、ふと尋ねられた。


「はい、地元では車には結構乗っていた方でしたから」


前方の道をフロントガラス越しに眺めつつ、頷いて応えると、


「……地元で?」


と、問い返されて、ついよけいなことを口走ったのかもしれないとにわかに思う。


「……長野です。向こうでは、よく車で走っていましたので」


女だてらに実は峠のカーブを走ったりするのが好きだったなんてことは、できれば秘密にしておきたくて、既に入力済みの会社の住所をナビでチェックしながら、受け流してもらえればという気持ちで淡々と喋った。


「……長野か。そこで車をだいぶ乗り込んでいたんだろうか?」


なるべくなら話はそこで終わりにしておきたかったのだけれど、そう突っ込んで訊かれてしまった。


「……いえ、山道をたまにドライブをしていたぐらいでして、そんなには、乗り込んでいたというほどでも……」


しどろもどろで応えて、小さく笑ってごまかすのに、


「……山道をドライブ?」


どうやら興味を持たれてしまったらしく、さらに深く突っ込まれる羽目になった──。

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