テラーノベル
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I . 朝 が 来 ま せ ん よ う に
朝に目覚めなければ、お空に行けたなら、私は全てから解放されてきっと愉しく生きられる。
貴方と笑い合えない世界では私は笑えない。
貴方に逢えない世界では私は前を向けない。
貴方が居ない世界で私は生きる意味が無い。
私の全部を貴方にあげようと思っていたのに、気付いたらあげる予定の物だけ手に持って、肝心の貴方が居なかった。
明日の私が目覚めなければ貴方に逢いに行けるはずだから、このまま夜が耽った頃にお空に行けますように。
どうか、貴方に逢えますように。
Ⅱ . ア イ ツ が 死 に ま す よ う に
貴方を苦しめたアイツさえ居なければ、貴方はまだ私の隣に居たのかもしれない。
貴方を追い込んだアイツだけ消えてくれたら、誰も泣かずに済んだのかもしれない。
貴方が笑って許したアイツが死ねば、私は今も生きることを諦めなかったかもしれない。
アイツが貴方を殺したの。
貴方じゃなくてアイツが居なくなったら良かったのに、って言ったら貴方は眉を下げるんだろう。
優しさに満ちたその声音で自分で良かったんだと笑うんだろう。
ならいっそ、アイツだけが死にますように。
Ⅲ . 君 が 泣 き ま せ ん よ う に
貴方を愛した人が泣いていた。
貴方が愛した人が泣いていた。
アイツを恨むより先に泣いていた。
君も貴方も何も悪いことはしていないのに、誰より人を想っていた素敵な人なのに苦しめられた。
君は仕方ないと肩を下げて、貴方は自業自得だと笑って、アイツだけ身勝手に生き続けている。
貴方がどこかで笑えているのなら、君もどうか幸せに。
もうこの世界で君が泣きませんように。
IV . そ こ に 花 が 咲 き ま す よ う に
貴方はどこへ行ったんだろう。
死んだ人はどこへ連れて行かれるのだろう。
ただの灰だなんて報われないだろう。
天国や地獄が本当にあるのなら、どうかアイツは、アイツだけは地獄に堕ちて欲しい。
もしも天国という素敵な場所がどこかにあって貴方がそこへ行けているのなら、どうか安らかに、くれぐれも体調には気を付けて過ごしていて欲しい。
貴方がひとり寂しくないように、貴方の周りは君の好きな花で溢れますように。
Ⅴ . 夜 が 明 け ま す よ う に
貴方と過ごす夢を見た。
貴方が生前のように笑う夢を見た。
貴方への気持ちを投影した夢を見た。
「 今、そっちで幸せ? 」
そんな私の問いに貴方は寂しそうに笑ってこう言った。
「 私は幸せだけど、お前達が泣いていないか心配だよ。 」
また生前と同じように心配をかけてしまった。
泣いてないよなんて嘘は言えなかった。
夢から醒める前、貴方は「 お前の好きに生きなさい。 」と私の頭を撫でた。
貴方に言われたのなら私は生きなくちゃいけないだろう。
目覚めなければなんて考える暇は無いだろう。
泣いていてはそっちからの眺めも悪いだろうから、目覚めて貴方への想い出話を沢山作ろう。
どうか、夜が明けますように。
コメント
4件
どうか命が尽きませんように。
ああ、詩的な構成が本当に素敵な作品でした……。「朝が来ませんように」から始まって「夜が明けますように」で終わる、この祈りの往復が心に沁みました。特に「あげる予定の物だけ手に持って、肝心の貴方が居なかった」の一行、すごく重くて、頭から離れません。喪失と執着と、それでも「生きなさい」と言われて目を開ける決意の流れが、短いのにしっかり描かれていて。第一話から世界観の輪郭が見えて、続きが気になります。
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