テラーノベル
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(ダメだ、これ以上格好つけてられるか……! 目の前に本人がいるのに、他の男の語りをするみたいに俺への愛を囁くなんて、どんな生殺しだよ……!)
「く、黒羽……? 苦し、離せって……!」
「離さない。……お前がそんなこと言うから、頭おかしくなりそうなんだよ」
新一の首筋に顔を埋め、快斗は耳まで真っ赤にしながら必死に理性を繋ぎ止めていた。心臓の音がうるさい。
キッドの衣装を着ている時なら絶対にあり得ない、無防備で、みっともないほどの動揺。すべては、この腕の中にいる天才探偵の「無自覚な爆弾発言」のせいだった。しかし、抱きすくめられた新一はというと、快斗の胸の中でしばらくフリーズした後。
「……おい、黒羽」
低く、呆れ果てたような声が快斗の頭上から降ってきた。
「お前さ……もしかして、俺より先に恥ずかしくなっちゃったわけ?」
「……は?」
快斗が腕の力を少し緩め、顔を上げると、新一は真っ赤になった快斗の顔をじっと見つめ、フッと鼻で笑った。
「なんだよそれ! 告白(みたいなこと)言ったのは俺だぞ!? なんで聞いてる側のお前がそんな限界迎えたみたいな顔してんだよ!」
「なっ……!?」
「あー、分かった。お前、感受性が豊かすぎるんだよ。マジックのやりすぎで、他人の感情に感情移入しすぎなんだろ。ったく、熱血漢だなあ黒羽は」
新一はポンポンと快斗の肩を叩くと、何食わぬ顔で腕からすり抜け、自分の鞄を手に取った。その目は一点の曇りもない。「親友にちょっと恥ずかしい本音を語っちゃったぜ」くらいの、じつに爽やかな表情である。
――この、大、大、大、大、大、大、鈍感男……!!!!
快斗の胸の中で、言葉にならない絶叫が渦巻いた。あれだけキッドのトリックを秒速で見破る最高の頭脳を持っておきながら、どうして恋愛(しかも自分に向けられた特大の矢印)に関しては、ここまで壊滅的にポンコツなのか。
「ほら、さっさと帰るぞ。夕日が沈んだら廊下が暗くなって防犯上よろしくねぇ」
「工藤……お前、マジで言ってる?」
「あ? 何がだよ。……あ、もしかしてまだ保健室行くか? お前マジで顔の赤さ引いてねぇぞ?」
新一は本気で心配そうに、快斗のおでこに自分の手をペタッと当ててきた。ひんやりとした探偵の手のひらが、快斗の限界突破した体温に触れる。
「……もういい、お前なんか一生キッドを捕まえられなくて一生悶々としてればいいんだ!!」
「はぁ!? なんだよ急に呪いかけるなよ! 俺は絶対に次の獲物の時にあいつをっ……おい待てよ黒羽! 置いてくな!」
怒りと気恥ずかしさと愛おしさで爆発した快斗が、鞄をひったくって教室を飛び出す。その後ろを、新一が「待てって!」とドタドタ追いかけてくる。夕暮れの誰もいない校舎に、二人の足音が響き渡る。快斗は前を走りながら、カアッと熱い顔を両手で覆った。
(絶対に捕まってやるよ、名探偵……。でもな、その時お前がどんな顔するか、今からめちゃくちゃ楽しみにしてろよ……!!)
世界一スマートな怪盗が、世界一じれったい探偵に完全敗北した、そんな放課後のひと幕だった。
ユイ
47
#改方学園
千導 渉
7
#名探偵コナン
サンフラワー
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コメント
1件
いやもう、快斗の限界突破っぷりが可愛すぎて倒れるかと思った……!「一生キッドを捕まえられず悶々としろ」って叫ぶとことか、完全にヤンデレ拗らせてるのに、肝心の新一が♡♡♡鈍感すぎて空回りしてるのも最高だよ。新一が素で「お前顔赤いぞ」って手を当てるシーン、あれ完全に快斗の心臓止める気だよね。こんなじれったくて愛しい展開、続きが気になって夜しか眠れないんだけど……!