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「この国では、“更生”という名のOSが走っている。
アップデートのたびに、自由が1バイトずつ削られていく。
——ブルーはそれを“仕様”だと言った。」
タイトルロゴ:《更生戦隊☆院卒ヴァニタス》
副題:“倫理的システム侵入編”
薄暗いモニター室。
ブルーが複数の画面を眺めながら、キーボードを叩いている。
ブルー:「…よし、社会の“更生ポイントシステム”にアクセス完了。
どうせ誰も中身見ないだろうし。」
ピンク(通信):「ねぇ、それハッキングじゃなくて?」
ブルー:「いや、利用規約のバグ利用。合法。
“バグは愛されるために存在する”って誰かが言ってた。」
レッド(寝起きで):「お前それ、愛される前に逮捕されるぞ。」
ブルーの改変が反映され、
街頭ビジョンに“更生ポイントランキング”が流れる。
上位には、なぜかヴァニタスのメンバー全員の名前が。
アナウンサー:「新制度により、更生ポイントが上位の市民には“正義執行権”が与えられます!」
イエロー:「それ、もう戦隊どころか独裁じゃない!?」
レッド:「つまり俺たち、合法的にヒーローじゃなくて“神”だな。」
ブルー:「仕様です。」
官僚たちが騒然としている。
「誰がシステムを改変した!?」「なぜ“院卒ヴァニタス”が全員上位に!?」
ブルーが堂々と入ってくる。
ネクタイを緩め、冷静な笑み。
ブルー:「法の穴を使っただけですよ。更生プログラムに“自動自己評価アルゴリズム”がありましてね。
自己肯定が強いほどスコアが上がる。」
委員長:「つまり貴様ら……自分で“自分たちは最高”って言ってたのか!?」
ブルー:「はい。自己肯定こそ、更生の第一歩ですから。」
(沈黙)
レッド(小声):「論破した…!倫理委員会を合法的に…!」
ピンク:「これもう自己啓発セミナーじゃん。」
市民たちが次々と「俺も更生ポイント上げたい!」とアプリにログイン。
だがアルゴリズムが暴走し、
「褒め言葉のスパム」が街中に溢れる。
「あなたは素晴らしい!」
「今日も偉い!」
「その呼吸、合格!」
イエロー:「AIが褒めすぎてる!みんな狂ったように“正しい”!」
ブルー:「うん。社会が“ポジティブ依存”に陥った。」
レッド:「どうすんだこれ!」
ブルー:「もう1段階ハックする。」
「俺たちは暴力を封じ、詩で殴り、倫理を再起動した。
じゃあ次は、正義をバグらせる番だ。」
ブルー、キーボードに手を置く。
周囲の画面が一斉に青く光る。
街のディスプレイが一瞬で真っ黒になる。
静寂。
ピンク:「……止まった?」
ブルー:「うん。“善”の概念を一時停止した。」
レッド:「おい待て、倫理止めたら世界止まるだろ!」
ブルー:「それでも人間は息をする。
だから俺は、人間に任せる。」
画面に一行のメッセージが浮かぶ。
『更生システム:再起動不可。
——ヒトが考えろ。』
市民がざわめく。
初めて、誰の指示もない世界。
ヴァニタスのメンバーが街を見下ろす。
レッド:「ブルー、お前……また壊したな。」
ブルー:「壊すのは治すの第一歩。少年院で習ったろ?」
グリーン:「お前の更生、まだ途中だな。」
ブルー:「だからこそ、生きてる。」
「更生とは、壊して作り直すこと。
法を守るのは簡単だ。
でも——
本当に治すのは、
壊せる勇気がある奴だけだ。」