テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
1,141
前回の続き
タクシーが止まる。
きょも「着いたよ」
〇〇「…うん」
〇〇はゆっくり降りる。
きょも「ちゃんと休みなよ」
〇〇「ありがとう」
少しだけ目を合わせる。
きょも「また連絡して」
〇〇「うん」
タクシーが走り去る。
〇〇はその場に少し立ち尽くす。
〇〇「…はあ」
ポケットのスマホを見る。
通知はない。
〇〇「……」
そのまま家に入る。
ベッドに倒れ込む。
でも眠れない。
頭の中にずっと残ってる。
「嫌い」って言った自分の声と、北斗の顔。
〇〇「最悪…」
目を閉じても消えない。
ーーーーーーーーー
次の日。
事務所。
SixTONESもいる。
〇〇は少し遅れて入る。
視線が一瞬集まる。
でもすぐに逸れる。
北斗もいる。
でも目は合わない。
樹「おはよ」
〇〇「おはよ!」
普通に返す。
でも北斗とは一言もない。
ジェシー「今日長いな」
慎太郎「まじで」
空気は一応普通。
でもどこかぎこちない。
〇〇は北斗を避ける。
北斗も近づかない。
きょもが少しだけ〇〇を見る。
でも何も言わない。
風磨「…めんどくせ」
小さく呟く。
時間だけが過ぎていく。
北斗は控え室で一人になる。
スマホを見る。
画面を開く。
トーク画面。
〇〇の名前。
北斗「……」
指が止まる。
北斗「…はあ」
打つ。
「昨日ごめん」
送るか迷う。
消す。
また打つ。
「言いすぎた」
また止まる。
北斗「…無理」
スマホを閉じる。
その頃。
〇〇は廊下にいる。
ふとスマホを見る。
通知はない。
〇〇「……なんで」
小さく呟く。
〇〇「普通…くるでしょ」
イラつく。
でも同時に。
〇〇「…私からも無理」
ポケットにしまう。
昼休憩🕛
樹「ちょっと来い」
〇〇「え?」
連れて行かれる。
別の部屋。
中にいるのは北斗。
〇〇「…は?」
樹「ちゃんと話せ」
風磨「逃げんなよ2人とも」
ドアが閉まる。
2人きり。
沈黙。
〇〇「…なに」
先に口を開く。
北斗「別に」
〇〇「じゃあ帰る」
北斗「待てよ」
止まる。
北斗「…昨日」
言葉が詰まる。
〇〇「……」
北斗「…言いすぎた」
やっと出る。
〇〇は少しだけ目を逸らす。
〇〇「…私も」
小さく言う。
〇〇「嫌いとか言って、ごめん」
北斗「…いや」
少し沈黙。
でも。
〇〇「でもさ」
また空気が変わる。
〇〇「なんであんな言い方したの」
北斗「……」
〇〇「やっぱ意味わかんない」
北斗「…だから」
言いかけて止まる。
言えない。
〇〇「ほら」
〇〇「言えないじゃん」
北斗「……」
北斗「…イラついたんだよ」
〇〇「なんで」
北斗「……」
また止まる。
北斗「…見てて」
〇〇「何を」
北斗「…全部」
それ以上は言わない。
〇〇「意味わかんない」
またすれ違う。
でも完全には壊れてない。
沈黙。
〇〇「…もういい」
ドアに向かう。
北斗「…逃げんなよ」
〇〇「そっちでしょ」
振り返る。
〇〇「ちゃんと言わないくせに」
北斗「……」
また言えない。
〇〇はそのまま出ていく。
ドアが閉まる。
北斗はその場に残る。
北斗「…はあ」
何も進んでない。
でも。
完全に終わってもいない。
外では。
樹「どうだった」
〇〇「最悪」
風磨「だろうな」
でもその顔は。
昨日より少しだけ、揺れていた。
そしてまた。
すれ違いながら、距離だけが少しずつ変わっていく。
ーーーーーーーーー
樹「このまま放置は無理だろ」
慎太郎「無理無理、絶対こじれる」
ジェシー「もう十分こじれてるけどな」
高地「でもさ、さっきので余計ややこしくなったよね」
きょも「うん、中途半端に終わっちゃったし」
風磨「どっちも引けない状態な」
樹「だからこっちが動くしかない」
慎太郎「どうすんの?」
樹「強制的にちゃんと話させる」
ジェシー「さっきやったじゃん」
樹「あれは足りない」
風磨「もっと逃げ場なくすか」
高地「え、怖いこと言ってない?」
きょも「でも確かに、もう一段必要かも」
慎太郎「具体的には?」
樹「シンプル」
樹「2人きりにする」
ジェシー「また?」
樹「今度は逃げられない状況で」
風磨「外な」
全員が風磨を見る。
風磨「帰り」
風磨「タクシー1台」
慎太郎「うわ」
ジェシー「それはきつい」
高地「でも確実に話すしかなくなるね」
きょも「うん、逃げ場ないし」
樹「決まりだな」
慎太郎「でも北斗絶対嫌がるぞ」
樹「無視」
ジェシー「〇〇も逃げるぞ」
風磨「それも無視」
高地「強引すぎる…」
きょも「でも今はそれくらいじゃないと」
樹「あともう一個」
慎太郎「まだあんの?」
樹「事前に揺さぶる」
ジェシー「どうやって」
樹「北斗には俺が言う」
樹「“〇〇泣いてたぞ”って」
慎太郎「うわ効く」
風磨「〇〇には俺が言うわ」
風磨「“北斗あれ完全にお前のことだぞ”って」
高地「それもうほぼ答えじゃん」
風磨「でも告白まではさせない」
樹「ギリギリな」
きょも「そこが大事だね」
ジェシー「くっつきそうでくっつかないやつ」
慎太郎「一番めんどくさいやつ」
樹「でも一番動く」
少し間。
高地「…うまくいくかな」
風磨「いくしかないだろ」
樹「このままの方が終わる」
きょも「うん」
ジェシー「じゃあやるか」
慎太郎「やるか」
樹「まず俺、北斗いく」
風磨「俺は〇〇」
高地「俺らは?」
樹「空気作り」
ジェシー「任せろ」
慎太郎「盛り上げるか」
きょも「いや変に盛り上げなくていいから」
少しだけ笑いが起きる。
でも全員同じことを思ってる。
このままじゃダメ。
樹「絶対仲直りさせるぞ」
風磨「強制的にな」
静かに、でも確実に。
2人をぶつけ直す準備が始まる。
ーーーーーーーーー
樹「じゃあ行くわ」
立ち上がる。
慎太郎「頼んだ」
ジェシー「頼むぞ」
ーーーーーーーーー
控え室。
北斗は一人でスマホを見てる。
ドアが開く。
樹「おい」
北斗「…なに」
樹「ちょっといい?」
北斗「今じゃない」
樹「今」
強めに言う。
北斗はため息をつく。
北斗「…何」
樹「昨日の話」
北斗「もういいって」
樹「よくねえよ」
少し間。
樹「〇〇泣いてたぞ」
北斗の手が止まる。
北斗「…は?」
樹「帰る前」
樹「普通に泣いてた」
北斗「……」
樹「お前の言葉でな」
北斗は何も言えない。
北斗「…そういう言い方すんなよ」
小さく返す。
樹「事実だろ」
沈黙。
樹「お前さ」
樹「どうしたいの」
北斗「…別に」
樹「それやめろ」
北斗「……」
樹「このまま終わっていいのかって聞いてんの」
少し間。
北斗「…よくねえよ」
やっと出る本音。
樹「じゃあ動けよ」
北斗「…無理だろ」
樹「なんで」
北斗「…あの空気で何言えばいいんだよ」
樹「思ってること言えよ」
北斗「言えねえからこうなってんだろ」
樹は少しだけ笑う。
樹「知ってる」
北斗「……」
樹「だから俺らがやる」
北斗「は?」
樹「帰り」
樹「〇〇と同じタクシー乗れ」
北斗「無理」
即答。
樹「決定な」
北斗「おい」
樹「逃げんな」
北斗は舌打ちする。
北斗「…最悪」
樹「ありがとな」
北斗「は?」
樹「行くってことだろ」
北斗「行くなんて言ってねえ」
樹「顔に出てる」
そのまま出ていく。
北斗「…はあ」
一人残る。
ーーー
その頃。
別の場所。
風磨「〇〇」
〇〇「なに?」
風磨「昨日のこと」
〇〇「…もういいって」
風磨「よくない」
〇〇「……」
風磨「北斗さ」
〇〇「なに」
風磨「昨日、なんであんなキレてたと思う?」
〇〇「知らない」
即答。
風磨「ちょっとは考えろよ」
〇〇「考えたけどわかんない」
風磨「見ててイラつくって言ってただろ」
〇〇「うん」
風磨「誰に対して?」
〇〇「私でしょ」
風磨「なんで?」
〇〇「だからそれがわかんないって言ってんじゃん」
少しイラついた声。
風磨「…はあ」
風磨「鈍すぎ」
〇〇「は?」
風磨「普通あの言い方しねえだろ」
〇〇「する人はするでしょ」
風磨「しねえよ」
〇〇「するって」
風磨「しねえって」
軽く言い合いになる。
風磨「少なくとも北斗はしない」
〇〇「じゃあ昨日はなんなの」
風磨「だから特別だって言ってんの」
〇〇「何が」
風磨「…気にしてるってことだよ」
〇〇「何を」
風磨「お前のこと」
〇〇「は?」
風磨「昨日のあれ全部」
風磨「お前に対してだろ」
〇〇「いやそれはわかるけど」
〇〇「なんで?」
風磨「…」
一瞬止まる。
風磨「だから」
風磨「見ててイラつくくらいには気にしてるってこと」
〇〇「…」
少し考える。
〇〇「でもそれってさ」
〇〇「ただムカついただけじゃないの?」
風磨「それだけであそこまでなるかよ」
〇〇「なる人はなるでしょ」
風磨「ならねえよ」
〇〇「なるって」
また同じやりとり。
風磨「…はあ」
風磨「お前さ」
〇〇「なに」
風磨「ちょっとは深く考えろ」
〇〇「考えてるけどわかんないの!」
少し声が強くなる。
風磨「…まじか」
小さく笑う。
風磨「じゃあいいわ」
〇〇「なにそれ」
風磨「そのままでいろ」
〇〇「意味わかんない」
風磨「だろうな」
少し間。
風磨「でも一個だけ言う」
〇〇「なに」
風磨「昨日の“嫌い”」
〇〇「…」
風磨「結構きてるぞ」
〇〇「…知ってる」
小さく目を逸らす。
風磨「ならちゃんと向き合え」
〇〇「でも向こうがさ」
風磨「向こうもぐちゃぐちゃだろ」
〇〇「…」
風磨「だからお前も逃げんな」
〇〇「逃げてないし」
風磨「逃げてる」
〇〇「逃げてない」
風磨「はいはい」
軽く流す。
風磨「帰り」
〇〇「なに」
風磨「北斗と同じタクシーな」
〇〇「無理」
即答。
風磨「決定」
〇〇「は?」
風磨「逃げんな」
〇〇「だから無理だって」
風磨「顔に出てる」
〇〇「なにが」
風磨「気になってる」
〇〇「違うし」
風磨「はいはい」
そのまま去る。
〇〇「ちょっと!」
一人残る。
〇〇「…はあ」
頭を抱える。
〇〇「なんでこうなるの…」
でも。
少しだけ。
北斗の顔が浮かぶ。
昨日の言葉。
「見ててイラつく」
〇〇「…意味わかんない」
小さく呟く。
ーーーーーーーーー🌃
夜。
仕事終わり。
外に出る。
樹「タクシー分けるぞ」
自然に流れができる。
ジェシー「俺らこっち」
慎太郎「おう」
高地「行こうか」
きょもは一瞬〇〇を見る。
でも何も言わず別の車へ。
風磨はスマホを見ながら動かない。
樹がちらっと合図する。
残るのは。
北斗と〇〇。
〇〇「ちょっと待って」
樹「はい2人ね」
強引に決める。
北斗「は?」
〇〇「無理なんだけど」
風磨「行け」
背中を軽く押す。
ドアが開く。
2人とも一瞬止まる。
〇〇「…はあ」
北斗「……」
同時に乗る。
ドアが閉まる。
静かな空間。
逃げ場なし。
ドアが閉まる。
エンジン音だけが静かに流れる。
〇〇「……」
北斗「……」
お互い前を見るだけ。
気まずい。
とにかく気まずい。
タクシーが動き出す。
〇〇は窓の外を見る。
北斗は腕を組んで視線を落とす。
沈黙。
〇〇「…どこ先?」
運転手に聞く。
北斗「…お前でいい」
〇〇「え」
北斗「先送る」
〇〇「別にいいけど」
また沈黙。
〇〇「……」
〇〇「昨日さ」
北斗が少しだけ反応する。
北斗「……」
〇〇「…ごめん」
小さく言う。
北斗「…いや」
北斗「こっちも言いすぎた」
短く返す。
また止まる。
〇〇「……」
〇〇「でもさ」
北斗「……」
〇〇「やっぱ意味わかんない」
北斗「またそれ?」
〇〇「だってほんとにわかんないもん」
北斗「……」
〇〇「なんであんな言い方すんの」
北斗は小さく息を吐く。
北斗「…見ててイラついた」
〇〇「だからなんで」
北斗「……」
言葉が止まる。
〇〇「ほら」
〇〇「言えないじゃん」
北斗「うるさい」
〇〇「は?」
北斗「今それ掘るなよ」
〇〇「なんで」
北斗「…無理だから」
〇〇「なにが」
北斗「説明」
〇〇「意味わかんないって」
少しイラつく。
北斗「…お前さ」
〇〇「なに」
北斗「ほんと鈍いよな」
〇〇「は?」
北斗「普通気づくだろ」
〇〇「何に」
北斗「……」
言いかけて止まる。
〇〇「ほらまた」
〇〇「言えないくせにそういうこと言うのやめて」
北斗「……」
少し沈黙。
北斗「…昨日」
〇〇「なに」
北斗「言いすぎたのは悪かった」
〇〇「…うん」
北斗「それはちゃんと謝る」
〇〇「うん」
少しだけ空気が落ち着く。
〇〇「…私もごめん」
〇〇「嫌いとか言って」
北斗「…あれは普通にきた」
〇〇「でしょ」
少しだけ笑う。
ほんの一瞬、空気が柔らぐ。
でもすぐにまた静かになる。
〇〇「…でもさ」
北斗「……」
〇〇「なんでそんなにイラついたの」
また戻る。
北斗「……」
北斗「だから無理だって言ってんだろ」
〇〇「なんで無理なの」
北斗「今言うとまた喧嘩になる」
〇〇「ならないし」
北斗「なる」
〇〇「ならないって」
北斗「なる」
少し言い合い。
でも昨日ほど強くない。
〇〇「…じゃあいい」
少し拗ねる。
北斗「……」
〇〇「そのうちわかるとか言われても困るんだけど」
北斗「…そのうちでいいだろ」
〇〇「よくない」
北斗「……」
〇〇「今知りたい」
北斗「無理」
〇〇「なんで」
北斗「だから無理」
また止まる。
でも。
北斗はふっと小さく息を吐く。
北斗「…一個だけ言う」
〇〇「なに」
北斗「昨日みたいなの」
〇〇「うん」
北斗「もうやめろ」
〇〇「え」
北斗「他のやつにああいうの」
〇〇「…なんで」
北斗「……」
一瞬、言いそうになる。
でも止める。
北斗「…見てて疲れる」
少し言い方を変える。
〇〇「なにそれ」
〇〇「意味わかんない」
でもさっきより強くない。
〇〇「…まあいいけど」
完全には納得してない顔。
タクシーが止まる。
運転手「到着です」
〇〇「…ありがと」
ドアを開ける前に少し止まる。
〇〇「…あのさ」
北斗「なに」
〇〇「…さっきの」
〇〇「そのうちわかるやつ」
北斗「……」
〇〇「ほんとにわかるの?」
北斗「…たぶんな」
〇〇「なにそれ」
少しだけ笑う。
北斗も少しだけ口元が緩む。
ほんの一瞬。
〇〇「…じゃあ待つ」
ぽつっと言う。
北斗「……」
少しだけ驚く。
〇〇「おやすみ」
そのまま降りる。
ドアが閉まる。
タクシーが走り出す。
北斗は後ろを見ない。
でも。
さっきの「待つ」が頭に残る。
北斗「…はあ」
小さく息を吐く。
まだ全部は伝わってない。
でも。
完全に壊れてもいない。
むしろ少しだけ。
繋がったまま、進み始めている。
ーーーーーーーーー
北斗side
タクシーを降りて、しばらく歩く。
北斗「…はあ」
ポケットからスマホを出す。
少し迷ってから、樹に電話をかける。
樹「もしもし」
北斗「…おう」
樹「どした」
北斗「終わった」
樹「早」
北斗「帰りのタクシーで」
樹「どうだった」
北斗「…一応、普通には戻った」
樹「へえ」
北斗「でも全然わかってねえ」
樹「だろうな」
北斗「鈍すぎ」
樹「知ってる」
少し間。
北斗「…でも」
樹「なに」
北斗「“待つ”って言われた」
樹「は?」
北斗「そのうちわかるって言ったら」
北斗「待つって」
樹「…まじか」
北斗「意味わかんねえ」
樹「いやお前もな」
北斗「は?」
樹「それで十分だろ」
北斗「どこが」
樹「完全に嫌われてねえってこと」
北斗「……」
樹「むしろ脈ありまである」
北斗「は?」
樹「いや、気づいてねえだけでだいぶ特別だろそれ」
北斗「…知らねえよ」
小さく言う。
樹「で?どうすんの」
北斗「別に」
樹「それやめろ」
北斗「……」
北斗「…とりあえず」
北斗「今まで通りでいい」
樹「無理だろ」
北斗「無理でもそれしかねえ」
樹「まあな」
少し間。
樹「でもよ」
北斗「なに」
樹「今日のお前、ちゃんと進んでるぞ」
北斗「…は?」
樹「逃げてねえし」
北斗「…逃げたかったけどな」
樹「だろうな」
少し笑う。
北斗「…ありがと」
樹「珍し」
北斗「うるせえ」
通話を切る。
北斗「…はあ」
空を見上げる。
少しだけ、昨日より楽になってる。
でもまだ全然足りない。
北斗「…めんどくさい」
小さく呟く。
でもどこか、少しだけ前を向いてる。
ーーーーーーーーー
〇〇side
家に入って、そのまま床に座り込む。
〇〇「…疲れた」
スマホを取り出す。
少し迷って、風磨に電話をかける。
風磨「はい」
〇〇「もしもし」
風磨「どした」
〇〇「終わった」
風磨「だろうな」
〇〇「は?」
風磨「感謝しろ」
〇〇「しない」
即答。
風磨「で?」
〇〇「一応…普通には戻った」
風磨「へえ」
〇〇「でも意味わかんない」
風磨「だろうな」
〇〇「ほんとにわかんない」
〇〇「なんであんなイラついてたのか」
風磨「まだ言ってんの?」
〇〇「だって気になるじゃん」
風磨「じゃあ考えろ」
〇〇「考えてもわかんないって!」
少し拗ねる。
風磨「はあ…」
風磨「で、なんて言われた」
〇〇「そのうちわかるって」
風磨「はは」
〇〇「なにそれ」
風磨「いや、あいつらしいなと思って」
〇〇「むかつくんだけど」
風磨「で、お前なんて返した」
〇〇「…待つって言った」
風磨「は?」
〇〇「なんか言っちゃった」
風磨「お前な」
〇〇「なに」
風磨「それ結構でかいぞ」
〇〇「何が」
風磨「いいからそのままでいろ」
〇〇「意味わかんない」
風磨「お前はそれでいい」
〇〇「なんで」
風磨「そのうちわかる」
〇〇「は?」
風磨「おやすみ」
一方的に切られる。
〇〇「ちょっと!」
通話終了。
〇〇「…なにそれ」
スマホを見つめる。
少しだけ考える。
北斗の顔が浮かぶ。
〇〇「……」
〇〇「ほんと意味わかんない」
そう言いながら。
ほんの少しだけ、口元が緩む。
まだ恋だと気づいてない。
でも確実に、何かは動いている。
ーーーーーーーーーー
🌙
樹「もしもし」
風磨「もしもし」
樹「どうだった」
風磨「一応戻った」
樹「こっちも」
風磨「でもまだだな」
樹「全然だな」
風磨「根本解決してない」
樹「北斗何も言ってねえし」
風磨「〇〇も理解してない」
少し沈黙。
樹「…どうする」
風磨「もう一段いくか」
樹「だよな」
風磨「強制イベント」
樹「またかよ」
風磨「でも今回ちゃんと詰める」
樹「何する」
風磨「泊まり」
樹「は?」
風磨「逃げ場なし」
樹「それはでかいな」
風磨「1日オフ合わせて」
樹「全員で?」
風磨「そう」
樹「誰」
風磨「あの時のメンツ」
樹「…あー」
樹「北斗、俺、ジェシー、慎太郎、きょも、高地」
風磨「〇〇と俺」
樹「ちょうどいいな」
風磨「温泉」
樹「いいじゃん」
風磨「仲直り記念日」
樹「ネーミングだる」
風磨「でも口実にはなる」
樹「確かに」
風磨「自然に距離詰められる」
樹「酒もあるしな」
風磨「それな」
少し笑う。
樹「で、どう動かす」
風磨「まず部屋」
樹「同室か」
風磨「北斗と〇〇は近く」
樹「隣部屋」
風磨「夜に動かす」
樹「露天とか?」
風磨「あり」
樹「あと自由時間」
風磨「そこで2人にさせる」
樹「強制的に」
風磨「またな」
少し間。
樹「北斗は乗るかな」
風磨「乗せる」
樹「〇〇は?」
風磨「温泉って言えば来る」
樹「単純だな」
風磨「鈍感だからな」
樹「それな」
少し笑う。
樹「じゃあ日程決めるか」
風磨「全員オフの日あるだろ」
樹「ある」
風磨「そこ抑えろ」
樹「了解」
風磨「場所は任せる」
樹「じゃあちょい遠めで」
風磨「旅行感出るといい」
樹「1泊2日」
風磨「確定」
樹「よし」
少し間。
樹「これで進まなかったら」
風磨「もう知らん」
樹「まじでな」
風磨「でも進むだろ」
樹「さすがに」
風磨「ここまできて何もない方がおかしい」
樹「確かに」
樹が小さく笑う。
樹「じゃあやるか」
風磨「やるか」
通話を切る。
その夜。
グループLINE。
樹「明日全員空けとけ」
ジェシー「なに急に」
慎太郎「怖」
高地「どうしたの?」
きょも「予定?」
風磨「温泉行くぞ」
ジェシー「いいね!」
慎太郎「最高」
高地「行きたい!」
きょも「いいね」
〇〇「行く!!」
即答。
樹「決定な」
北斗「…まじで?」
ジェシー「来るだろ?」
慎太郎「逃げんなよ」
北斗「…行くけど」
風磨「はい決まり」
樹「仲直り記念日な」
〇〇「なにそれ笑」
ジェシー「いいじゃん笑」
慎太郎「語呂悪」
北斗「……」
スマホを見つめる。
その通知の中にある、〇〇の「行く!!」。
北斗「…はあ」
小さく息を吐く。
でも。
どこか少しだけ。
嫌じゃないと思ってる自分がいる。
こうして。
2人の関係をさらに動かす“温泉旅行”が決まる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
🌆当日。
指定された旅館の近く。
〇〇「……」
スマホの地図を何度も見直す。
〇〇「ここじゃないの?」
周りを見渡す。
それっぽい建物はある。
でも確信が持てない。
〇〇「絶対ここだと思うんだけど…」
入口まで行って立ち止まる。
〇〇「違ったら恥ずかしいんだけど」
少し戻る。
〇〇「え、待って無理」
また地図を見る。
〇〇「なんで誰もいないの」
だんだん不安になる。
〇〇「え、待ってほんとに違う?」
その時。
北斗「何してんの」
後ろから声。
〇〇「え」
振り返る。
〇〇「北斗」
北斗「迷子?」
〇〇「違うし」
北斗「いや完全に迷子だろ」
〇〇「違うって」
北斗「ここじゃねえよ」
〇〇「え?」
北斗「反対」
〇〇「うそでしょ」
北斗「マジ」
〇〇「…最悪」
北斗「行くぞ」
歩き出す。
〇〇「待って」
後ろをついていく。
少し沈黙。
〇〇「…ありがと」
北斗「別に」
また少し気まずい。
でも前よりはマシ。
〇〇「…また迷ったって思ったでしょ」
北斗「思った」
〇〇「ひど」
北斗「だって毎回だろ」
〇〇「今回違うし」
北斗「同じ」
〇〇「違う」
少し軽く言い合う。
でも空気は柔らかい。
北斗「ほら」
旅館が見える。
〇〇「あ、ほんとだ」
〇〇「全然違うじゃん」
北斗「だから言っただろ」
〇〇「…ありがと」
今度はちゃんと目を見て言う。
北斗「……」
少しだけ視線を逸らす。
北斗「迷うなよ」
〇〇「無理」
北斗「だろうな」
少しだけ笑う。
そのまま2人で旅館へ向かう。
さっきより少しだけ近い距離で。
ーーー
北斗side
当日。
旅館のロビー。
樹「〇〇まだ来てない?」
ジェシー「来てない」
慎太郎「絶対迷ってる」
高地「ありえるね」
きょも「連絡する?」
風磨「しなくていい」
樹「なんで」
風磨「どうせ“着いてる”って言う」
ジェシー「確かに」
慎太郎「で違う場所いるやつ」
北斗「……」
スマホを見る。
連絡はない。
でもなんとなく分かる。
北斗「…迷ってるな」
小さく呟く。
樹「行ってこいよ」
北斗「なんで俺」
ジェシー「一番わかってるだろ」
慎太郎「扱い」
北斗「知らねえよ」
風磨がスマホを見せる。
「着いてる気がするんだけど自信ない」
北斗「……」
ため息をつく。
北斗「はあ…」
立ち上がる。
北斗「行ってくる」
外に出る。
少し歩く。
それっぽい場所を探す。
北斗「…あいつ絶対ここら辺だろ」
周りを見渡す。
そして。
見つける。
同じ場所をうろうろしてる〇〇。
北斗「……」
一瞬だけ止まる。
北斗「ほんと変わんねえな」
小さく呟く。
少しだけ口元が緩む。
でもすぐ戻る。
北斗「何してんの」
声をかける。
振り返る〇〇。
〇〇「北斗」
やっぱり少しホッとした顔。
北斗「迷子?」
〇〇「違うし」
北斗「いや完全に迷子だろ」
〇〇「違うって」
北斗「ここじゃねえよ」
〇〇「え?」
北斗「反対」
〇〇「うそでしょ」
北斗「マジ」
〇〇「…最悪」
北斗「行くぞ」
歩き出す。
後ろからついてくる気配。
少しだけ距離を気にする。
昨日までなら気まずくて無理だった距離。
でも今日は違う。
〇〇「…ありがと」
北斗「別に」
素っ気なく返す。
でも内心は少し違う。
北斗「(ちゃんと来てよかった)」
思ってしまう。
〇〇「…また迷ったって思ったでしょ」
北斗「思った」
〇〇「ひど」
北斗「だって毎回だろ」
〇〇「今回違うし」
北斗「同じ」
軽く言い合う。
でも嫌な感じじゃない。
むしろ。
北斗「(…戻ってる)」
少しだけ思う。
前みたいな空気。
完全じゃないけど、近い。
北斗「ほら」
旅館が見える。
〇〇「あ、ほんとだ」
〇〇「全然違うじゃん」
北斗「だから言っただろ」
〇〇「…ありがと」
今度はちゃんと目を見て言う。
北斗「……」
一瞬だけ目が合う。
すぐ逸らす。
北斗「迷うなよ」
〇〇「無理」
北斗「だろうな」
少しだけ笑う。
その瞬間。
北斗「(やっぱ好きだわ)」
頭に浮かぶ。
でもすぐに打ち消す。
北斗「(言うな)」
言い聞かせる。
そのまま歩く。
隣にいる〇〇の距離。
近すぎず、遠すぎず。
北斗「(このままでいい)」
そう思いながら。
旅館へ向かう。
next→♡