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―その日、僕はある少女に出会った―
僕は呪われている。人の事を好きになってはいけない。もしも好きになってしまったら消えてしまうらしい。けれど、僕は出会ってしまった。ある少女に。
「おにーさん!」
その子はいつも僕に着いて回る。けれど僕はそれを拒否できなかった。いや、拒否しようとしなかった。
「どうしたの?」
僕はいつもどうり笑う。……笑っていたつもりだった。
「……おにいさん、元気ない?」
「……ぇ?」
なんで?なんでバレた?
「だっておにいさん、いつもよりキラキラしてないもん!」
キラキラ……?
「ふはっ笑笑」
「あー!笑った!」
この子は、どうしてこんなにも太陽みたいなんだろう。
……あぁ、いいなぁ
「ほら、心配させてごめんね…瑠衣ちゃん」
「!!」
初めて名前を呼んだ。この子の名前を。
「行こ!おにいさん!こっちにね、川があったの!」
「分かった分かった。ちょっと待ってね」
すっかり沈んだ空気は無くなり、そこには笑顔が咲いていた。
……僕は、人を好きになっては行けない。なのにこの子は、僕のその壁を破壊しようとしてくる。
やめてよ、もし好きになったらどうするの……
「おにいさん!」
……
「お兄さん」
……
「おにい、さん?」
あぁ、僕がこんな顔をさせたんだ。今日はこの子の15回目の誕生日なのに。
「……お兄さんの、ばかぁぁぁぁ!!!」
え?
「危ないことしないでよ!」
「ご、ごめんね!?」
そんな泣くとは思わなかった……
「心配したんだから……」
「心配させてごめんね?」
ごめんごめんごめん!そんなに泣くとは……
「これ、あげる」
「……花?」
ズビズビ泣きながら君は受け取る。
「そう。……あっ、これ取るために怪我した訳じゃないからね!?」
この怪我は……
「妖魔に会って、ちょっとヘマしちゃっただけだから!」
「……」
怒ったかなぁ
「そんなこと、先に言ってよぉぉぉぉ!!!」
その後、慰めるのが大変だったことは言うまでもないだろう。
「この花、お兄さんみたい。」
え?
「なんで?」
「すぐ消えちゃいそうな儚さとか?」
……なんで、そういう時だけ鋭いのかなぁ
「そう?」
「うん。」
「そっかぁ」
僕は、この気持ちに気づいては行けない。気づいてしまったら……