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一緒に暮らして、毎日顔を合わせて、体温を共有して。恋人と呼ぶには、少し勿体無いような関係性。
居なくなってしまったら、自分自身が分からなくなる。別れが怖い。死が怖い。それでいて永遠が怖い。
いっその事、不老不死になったら登場人物皆、幸せなのではないか。倫理的には駄目だけど、自身の感情はそれを望んでいる。誰も望まないことなのに、皆が望んでいる。
愛と呼ぶには、少し贅沢な感情。寧ろ愛が贅沢なのかもしれない。
「もしも明日貴方に嫌われたら、俺は今日貴方を嫌いになります」煙を吐きながらそう呟いた。空によく反射した瞳は何も見えてはいない。
自分の自己紹介より、彼の自己紹介の方が上手くかける自信がある。自分自身よりも詳しい存在、それこそが名前の無い感情の第一歩なのだと誰かが言った。
その感情は自ら歩き出し、栄養を採らずとも、言語を教えずとも、全てを自己完結する事が出来た。気づけば自身の心臓が重くなり、感情が知人を連れてきている。
今日は何してた?。肌身離さず彼を持っていたのに、不思議な質問だと言わんばかりの表情だった。それでも気づけば酸素は減っていて、窄めた口を注意して見てみれば、音が出てくる。
「空気に感情があれば、俺の肺に送られた空気は幸せなのか不幸なのか。ずっと考えてました」
変わり者な彼は、以前はそうではなかった。今この瞬間の全てに感情があるのなら、幸せは何割を占めているのだろうか。少なくとも俺の幸せで7割は埋めこんでいる。渋滞状態だ。
『相変わらずやな』
脳と口は犬猿の仲。
彼はあまり笑わない。まるで何もかもがつまらないと言いたげな顔で、水彩絵の具で書いたような横顔に苦い煙を送った。
支離滅裂な言語は俺の母国語とも言える。彼の一番好きなところは一つだけ。考えに考えた結果の言動だ。
恥ずかしがらないで。ちゃんと声に出して。濁った感情に色をつけて。深呼吸して。
あ。
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何も無い
またね