「1999年。私は海外勤務を終えて帰国した。社内での地位も安定してきたところだった。
そんな時に妊娠が判明したの。
パートナーがいたわけじゃない。考えられるのは、最後に遊んだあの夜。
妊娠が公になれば私の生活も自ずと明らかになる。いいえ、それ以上に、掴みとった場所を無くすことになる。
相談した先輩にも同じ経験があったの。あっという間に病院を紹介してくれて、エステにでも行くつもりでさっぱりしてきたら……って送り出された。処置はあっという間だったわ。
私は自分の中の余分な物を捨ててそれっきり」
峰は肩を落とした。
「私は、それっきり。でも……あんな、一言を聞くために」
峰は何度も息を吐いた。彼女の心の中がめまぐるしく変化しているのが表情にも浮かんでいる。
恐怖に震えていた顔が、赤くなって、それがゆっくりと治まり、今は肩を落としてぼんやりと床を見つめている。 *********
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