壁を叩く音がした。
見れば、壁に赤い手形が生まれていた。
続いてもう一つ。
段々と音は増していって、その合間にひそひそと 「人殺し」「人殺し」とささやく声が紛れ込む。
「ハ、ハルト!」
慌てた声が聞こえて、俺は強く腕を引かれた。ケイに引きずられるように走り出す。後ろを振り返ると、ゆうまが手を振っているのが見えた。
一気に受付の待合を走り抜け、体当たりをするように病院から外へ転がり出た。
ほっとしたのもつかの間、次は内側から激しくドアを叩く音がする。
「人殺し!」
そう叫ぶ声も聞こえた。
俺達はさらに入り口前の階段からも転がり落ちるように逃げる。
駐車場の真ん中あたりまで夢中で走ってから、やっとのことで振り返った。
そして、その直後。後悔した。
窓という窓に張り付く人の顔。そのどれかがゆうまかもしれないが、もはや見分けはつかない。
「人殺し****************************
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