TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

Dyed in cherry blossoms.〜散って消えるはさくらの様〜

一覧ページ

「Dyed in cherry blossoms.〜散って消えるはさくらの様〜」のメインビジュアル

Dyed in cherry blossoms.〜散って消えるはさくらの様〜

9 - 第9話「the reunion suddenly」〜再会は突然に〜

♥

400

2023年04月30日

シェアするシェアする
報告する

蒸し暑かった。

蝉の声は煩くて、じっとりとまとわりつく夏の暑さは、僕とは正反対だと感じた。


君がいなくなってからもう数十年たった。

生きていたとしてもきっと寿命で死んでいる。


美しいこの景色も、君がいた頃のように、輝いては見えない。

これじゃあまるで、昔の奏みたいじゃないか。

奏はさくらを、僕を求めてた。

僕はひかりを、奏を求めてる。


ピアノは埃をかぶっていて、あの頃のものとは到底思えないくらい汚れていた。

サッと埃を手で払い、蓋を開けた。

「ドレミファソラシド」

意味もなくその音階を辿る。

なんでもよかった。

音を奏れば、君が戻って来る気がした。

そんな確証なんて、どこにもないのに。




──────────────────────


もう桜の花は散ってしまったのね。

あの人は、素敵な女性を見つけたかしら?


何故かは分からないけれど、咲藍 奏としての記憶を持ったまま生まれ変わった私。

今は白瀬 光という名前で生きている。

咲藍 奏はピアニストという夢を追いかけていたが、白瀬 光はミステリ作家として有名になった。


君の好きなミステリを書けば、きっといつか私を見つけてくれるんじゃないかって、ありもしない妄想を並べてた。

でもそれももうおしまい。

私はこの話に幕を閉じようと思う。

未練しかない。でも、恋愛においてそれは面白いのかもしれない。

だから私はこの小説を書く手を止めて、中途半端なまま終わりにする。

──────────────────────

光(続き………続きは……

私にもわかんないや。

この小説は没かな……


この校舎ともお別れ。

最後にピアノだけ弾いて帰ろう。

君との思い出を噛み締めるように、階段を一歩ずつ進んだ。

今まで綴ってきた文章が、本当のことだっていうのは私だけが知っていればいいこと。

もう会えないと思うと、知らないうちに涙が溢れてくる。

力を抜けばその場に倒れ込んでしまうほど、泣いていた。


そっと微かにピアノの音が聞こえた。


光(都市伝説?ベートーヴェンか。

ミステリの執筆に使えそうだな。


悲しい笑みだった。困り眉の。

こんな時でも、小説のことを考えてしまう私は、所謂小説馬鹿なのかもしれない。



扉に手をかけた。/ピアノを弾くのを止めた。


自分の目を疑った。/後ろを振り返った。


「「大粒の/一筋の涙が頬を伝った。」」



光(……….桜空……….?


湊(……….奏………..?


光(今は光。

生まれ変わったの。でも貴方のことは忘れなかった。

言ったでしょう、運命は変えられないって。


湊(あはっ……!なにそれ…..ふふっ

そうだね、確かに言ってた。


私たちは見つめあった。

そして、深い深いキスをした。




「「二度と離さない。」」










第10話「epilogue」


[追記]

書き直し+上げ直し

loading

この作品はいかがでしたか?

400

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚