テラーノベル
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満員の会場。歓声が波のように押し寄せ、客席のサイリウムが青と白に揺れていた。
MCコーナーに入り、笑いと拍手が飛び交う中、メンバーはそれぞれ観客との距離を縮めていた。
そんな中、凛はアリーナ席の1角視線を落とす。
そこにいたのは、白いマスクをした、比較的若い男子ファン。
手には小さな袋。中から、何かをそっと差し出していた。
スタッフも気づかず、警備も遠い距離。
ほんの一瞬のスキを狙って、凛はその”プレゼント”を受け取ってしまった。
男性ファン:(声はかき消されているが、唇はこう動いていた。)
:ずっと応援してます。これ、手作りなんです…!
中に入っていたのは、
黒地に青いラインが入った、シンプルで洗練されたシュシュ。
他のファンのプレゼントとは、どこか違う、落ち着いた雰囲気があった。
凛:(心の声)
:…男性ファンからって、ちょつと珍しいかも。でも…
小さく微笑みながら、凛はそれを胸元のポケットにしまった。
まだそのとき、凛は知らなかった。
この”優しそうな贈り物”が、自分の毎日を変えることになるなんて。
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