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# 第1章:天国からのバンジージャンプ(エピローグ)
数日後、米花中央病院の病室。
松田は全身をミイラのように包帯でグルグル巻きにされ、ベッドの上に寝かされていた。
全身骨折と火傷という大怪我だが、驚異の回復力で、すでに意識ははっきりしている。
「おい佐藤、痛えからリンゴ剥いて。あとその辺のテレビのリモコン取って」
「あのねぇ松田。奇跡の生還を果たしたと思ったら、開口一番パシリに使うのやめてくれない?」
お見舞いに来た美和子は呆れ果てつつも、手際よくリンゴの皮を剥いていく。その表情には、心の底からの安堵が滲んでいた。
そこへ、ドタドタと騒がしい足音が廊下に響き、病室のドアが勢いよく開く。
「松田ァ! お前、本当に生きてるのか!?」
現れたのは、捜査一課の目暮警部、高木刑事、白鳥刑事、そして千葉刑事だった。
目暮警部は帽子を目深に被り直し、目元を真っ赤に腫らしている。
「まったく、心肺停止から大絶叫で蘇生するなど、前代未聞じゃ。だが……本当によく生きて戻ってきてくれた!」
「目暮警部、本当に泣いてたんですよ。高木くんなんて道中ずっと男泣きで」
「し、白鳥さん! それ言わないでくださいよぅ……! でも松田さん、本当に良かったです……!」
「おう、サンキューな。心配かけちまったな」
松田は包帯に包まれた顔で、ニカッと不敵に笑う。刑事たちが一頻り泣いて笑って、美和子と共に夕方に退室していった後、病室には静寂が戻った。
夜、消灯時間を過ぎた静かな病室。
枕元に置いてあった松田の携帯電話が、聞き覚えのない番号から微かに振動した。
松田は包帯の手で、器用にボタンを押す。
『……前代未聞だな。心肺停止から大絶叫で蘇生した警察官なんて、日本の警察史を探しても君くらいだ、松田』
スピーカーから聞こえてきたのは、呆れ果てた、しかしどこか心底ホッとしたような、懐かしい男の声。
「あ?……なんだ、降谷か。潜入先で日本のニュースでも見てたのかよ」
『見たくなくても耳に入るよ。「ゾンビ警察官現る」って、僕のいる【組織】の末端でも噂になってる。おかげで変な裏が取られないか、こっちはヒヤヒヤして頭が痛いよ』
「ハッ、悪かったな。あの世の受付で、萩原の野郎に思いっきりケツ蹴っ飛ばされて戻ってきたんだよ。『美和子ちゃんを泣かすな』だとよ」
『……そうか。萩原が』
電話の向こうで、降谷が小さく息を吐く。その声には、目に見えない絆の温かさがこもっていた。
『まあ、君が生きていて良かった。……本当に、うるさいくらいにな。……それと、僕からの生存報告はここまでだ。お前はまず、体を治せ』
「お前も死ぬんじゃねぇぞ、零。お前の葬式で俺が絶叫する羽目になるのは勘弁だからな」
『フッ……断るよ。じゃあ、お大事に』
ツンデレな激励と共に、通話はプツリと切れた。松田は携帯を放り出し、窓の外の夜空を見上げる。
その頃、はるか高い天国の光の階段。
萩原研二は、ぽっかりと空いた奈落の底を覗き込みながら、満足そうに笑っていた。
ポケットからタバコを取り出し、火をつける真似をする。
「ふぅ……。まったく、相変わらず手のかかる幼馴染だよ、陣平ちゃんは。でもさ……」
萩原は夜空を見上げる松田と同じように、優しい目をしながら、かつての同期たちの姿を思い浮かべていた。
「これでいいんだ。お前はあっちで、美和子ちゃんや降谷たちと、まだまだ騒がしく生きてくれよな」
萩原の姿が、温かい光の中にゆっくりと溶けていく。
繋がれた命のバトン。松田陣平の物語は、ここから「第二章」へと、さらなる激動の渦へと動き出す――。
坂田銀にゃん
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#ホラー
コメント
1件
良かったです……! 松田さんが生きて帰ってきてくれて、本当にほっとしました。目暮警部が泣いてたってところ、現場の刑事さんたちの安堵が伝わってきて、じんときました。そして降谷さんからの電話! 潜入先からわざわざ連絡してくるところに、絆の深さを感じます。「ゾンビ警察官」って噂になってる設定、ユーモアもあって好きです。萩原さんが空の上で見守ってるラストも、温かくて素敵でした。第二章、楽しみにしてますね🌷