それより透明な、目には見えない『何か』
草むらのおかげで場所は分かるけど…、
早すぎて目が追いつかない。
その時、
「きゃああぁぁぁ!!!」
と叫ぶ菜々の声が聞こえた。
いつの間にか周りは霧がかかっている。
菜々に何かあったのだろうか?
「みんな!!動くな!!」
「もしかしたら、この『何か』は音に反応するのかもしれない!!」
そう海夏人の声は聞こえるが、
姿は一向に見えない。
だが、ギリ見える範囲に陸の確認は出来る。
しばらく時間が経ったら霧が段々晴れてきた。
私と陸は安心して先へ進もうと決意し、
2歩3歩進んだ。
だが、目の前には血だらけで体が切り刻まれた
菜々の姿と縦に切られて体の断面が見えている
海夏人の姿があった。
私は驚いて硬直していると、
横にいた陸はしゃがみ込んで吐いてしまっていた。
私は陸の背中をさすっていたその時、
何もかも切ってしまうような鋭い風が
私の真横を通り過ぎた。
もしかして…、まだ『何か』はいる?
「陸!!まだ『何か』はここにいるのか、も…」
「ぇ..?」
気づいた時には陸の首から上は無かった。
コツンと何かが足に当たったと思い、
下を向くと、そこにあったのは陸の頭だった。
「ひっ..」
さっきまで生きてたのに今は..もう…
それより今ここに私1人しか居ないってこと?
ふと後ろから誰かに肩を叩かれ、
咄嗟に振り向くと
【g#/ハ^%ru\カx?】
と何かを言っている、
大きな鳥の羽の先に鎌が生えたような化け物が私の目の前に居た。
「ぇ..」
『あ、これ死んだ』そう思った瞬間、
また足元で赤い雫が落ちた。
瞬間、景色は変わり、
最初に見た鳥居が現れる。
しかも、
隣には死んだはずの幼馴染が座り込んでいた。
「え?俺..死んだはずじゃ…」
「私だって!!」
「あの鳥みたいなやつに殺されて…」
「僕も遥に背中をさすられて、風が吹いたと思ったら…」
私も死んだってこと?
でも痛みなんて感じなかったし..。
それどころか鳥の姿を確認できるほど
近い場所なのにも関わらず、
あいつは何もしてこなかったし…。
私は襲われないってこと?
そんな、馬鹿なことなんて..ないか..。
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