ドンゴロ台のキツネの話

ばあちゃんの頃はトイレのことを厠（かわや）と言っていたんだ。

今でも田舎の古い日本家屋の母家の外にあったりするんだよ。

トイレのことは厠（かわや）のほかに、便所、お手洗い、WC、レストルームなんて別の呼び方があるけど、 昔は御不浄、お手水、御架（こうが）、雪隠、憚り、東司（とうす）、東浄（とうちん）なんて呼び方があったそうだよ。

ばあちゃんはいつもトイレをきれいにしておくと、運が良くなる（特に金運✨）ってお話ししてるだろ？トイレの掃除なんて５分で出来るだろ？騙されたと思って続けてやってごらん☺️

さて、ドンゴロ台のキツネに騙されちゃう男の話だよ。

冬の日の真夜中におしっこがしたくなって目が覚めた男がね、母家の外の厠まで用をたしに行ったんだよ。

外は寒いし真っ暗だから、本当は縁側の廊下から庭に向かっておしっこをしたかったんだけどね。そんなことをしたら朝から爺さまと婆さまにこっ酷く叱られるし、そんなことになったら家中の若い者に示しがつかない。

男が厠に行って用をし始めると小窓から草原のような畑がみえて、そこで鬼火が光るとクルリッとひるがえるキツネのシッポが見えたというんだよ🦊✨ジョンジョロリン、ジョンジョロリンとおしっこをしながら、男は「キツネのヤツが畑で悪さをしよる。今度、懲らしめてやらんといかんな」って思ったんだよ。ジョンジョロリン、ジョンジョロリンとおしっこはなかなか終わらなかったんだよ。

ジョンジョロリン、ジョンジョロリンとなかなか終わらい。やけに長いおしっこだったけど途中で止めるわけにもいかないから、男はずっと立っていたんだよ。ジョンジョロリン、ジョンジョロリンとどれほど時間が経ったことか、やがて真っ暗だった空が少しずつ明るくなって夜が明けてきたんだよ。

男はやけに長いおしっこだな。小便というものはこんなに出るものかな？と先っちょを見ると、おしっこは出てないのに、ジョンジョロリン、ジョンジョロリンと音は聞こえている。男が聞いていた音は近くを流れる小川のせせらぎの音で、男は夜中じゅうずっと厠で立っていたんだよ😂

「こいつはキツネにいっぱい食わされた」と、男は仕方がないから部屋に戻って布団に入って寝たんだそうだよ。それ以来、そのお家では縁側の廊下の突き当たりに厠を設けて、家の者はそこで用を足すようにしたんだとさ。

むかし、ぽっこり。お話はこれでおしまいだよ☺️