テラーノベル
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『好きって言わなきゃ良かった?』
tg視点
その夜、俺はベッドの中で、何度もスマホの通知画面を見返していた。
pr『今日のちぐ、ちょっと可愛かったな。』
そんなの。
そんなの言われたら、期待してしまうじゃん。
先輩は、無自覚で優しくて。
たぶん、思ってる以上にずっと、罪な人で。
tg ……好きって、言わなきゃよかった、なんて
ぽつりと、言葉が漏れる。
あのとき、“好き”って気持ちを知ってしまったから。
先輩に触れて、
キスをして、
付き合って、
あの優しさに、あの笑顔に、心を奪われて。
その全部が、今では“俺だけの記憶”になってしまった。
tg 言わなきゃ、よかったのかな…最初から、好きにならなきゃ…
でも、それでも、って思ってしまう。
だって。
先輩が俺を見つけてくれたとき、
「一緒に帰ろ」って笑ってくれたとき。
あの笑顔を、俺は何よりも好きだった。
──スマホが震える。
pr『明日、また屋上行かへん? 一緒におりたいだけやねんけど、迷惑?』
ほんと、ずるい。
なんでそんなふうに、
“俺の心を試すみたいな言葉”をくれるの。
好きになる前に戻れたら、どれだけ楽だろう。
でも、
好きになってしまった今の俺は、
たぶん、
もう、戻れない。
目元が熱くなった。
息を殺すように、布団の中で声を押し殺す。
──先輩。
この気持ち、知られたくない。
でも、
知られてほしい。
どっちだよ、俺。
ぐちゃぐちゃな気持ちを抱えたまま、
俺はスマホの返信欄に、震える手で、こう打った。
tg『いいですよ。俺も、会いたかったから。』
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コメント
4件
やばい、感動作品過ぎて涙出てきたのは私だけ?、 続き、待ってます
続きが気になりすぎる終わりかた…! 神…