TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

「呉林、こんなに広い砂地を手で掘っていくなんて。他の方法は探せないのか! そうでなきゃ……やっぱり、どうしてもっていうんだろ」


考えたくもない絶望の二文字が頭を過る。もう決死の覚悟だった。


「俺もやるぜ。仕事がある」


「あたしも」


「僕も」



みんな青い顔で広大な砂地の穴に勇み足になる。高温の砂の地獄へ入って行った。


私はボロアパートへ帰るために、砂地へ降りた。


この世界では、絶望とは以外と簡単なのだ。困難に立ち向かわずに元の世界に戻ることを諦めればいい。でも、そんなのは糞食らえだ。


意地を張って、ただ地獄のようなかんかん照りの中、黙々と砂地を掘り返す。


呉林は砂地に蹲って灼熱の砂を手で掘り始めた。服が大量の汗で変色しだす。


太陽光で渡部、角田、安浦もあっという間に、服が汗で変色しだした。


それは、凄まじい高温によって、服や体から湯気が沸く光景だった。


呉林は手で掘りながら私に言った。



「赤羽さん……もうそろそろよ。頑張って! だんだんあなたの中で仲間が大切になってきているわ」


呉林はふらふらの体で叱咤し、荒い呼吸でも決して諦めなかった。自分の不思議な力を信じているのは、他でもない彼女自身なのだ。絶対にみんなが助かると、彼女は砂まみれで必死に信じているのだろう。私も死ぬ覚悟だ。


どれくらい経っただろうか。あっという間に日焼けしそうな太陽光の中、バラバラになって砂地を掘っていた仲間たち、まず、安浦が倒れ、そして、渡部と角田も倒れた。


呉林は奇麗な茶髪のソフトソバージュと長い爪を、砂まみれにしていた。きっと、私と同じく目の回る吐き気を我慢しているのだろう。


地獄と化したゴルフ場で10分は経っただろうか。


それでも、彼女は諦めなかった。


安浦や渡部、そして、角田は、呼吸も弱弱しくなりだした。


私はグラグラとする頭で、吐いた。地面の吐瀉物からも湯気がでる。


「あ……赤羽……さん……強い……意志……を……もうちょっとよ」


彼女は体中の水分を一体どれくらい失ったかで……倒れる。

loading

この作品はいかがでしたか?

35

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚