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「呉林、こんなに広い砂地を手で掘っていくなんて。他の方法は探せないのか! そうでなきゃ……やっぱり、どうしてもっていうんだろ」
考えたくもない絶望の二文字が頭を過る。もう決死の覚悟だった。
「俺もやるぜ。仕事がある」
「あたしも」
「僕も」
みんな青い顔で広大な砂地の穴に勇み足になる。高温の砂の地獄へ入って行った。
私はボロアパートへ帰るために、砂地へ降りた。
この世界では、絶望とは以外と簡単なのだ。困難に立ち向かわずに元の世界に戻ることを諦めればいい。でも、そんなのは糞食らえだ。
意地を張って、ただ地獄のようなかんかん照りの中、黙々と砂地を掘り返す。
呉林は砂地に蹲って灼熱の砂を手で掘り始めた。服が大量の汗で変色しだす。
太陽光で渡部、角田、安浦もあっという間に、服が汗で変色しだした。
それは、凄まじい高温によって、服や体から湯気が沸く光景だった。
呉林は手で掘りながら私に言った。
「赤羽さん……もうそろそろよ。頑張って! だんだんあなたの中で仲間が大切になってきているわ」
呉林はふらふらの体で叱咤し、荒い呼吸でも決して諦めなかった。自分の不思議な力を信じているのは、他でもない彼女自身なのだ。絶対にみんなが助かると、彼女は砂まみれで必死に信じているのだろう。私も死ぬ覚悟だ。
どれくらい経っただろうか。あっという間に日焼けしそうな太陽光の中、バラバラになって砂地を掘っていた仲間たち、まず、安浦が倒れ、そして、渡部と角田も倒れた。
呉林は奇麗な茶髪のソフトソバージュと長い爪を、砂まみれにしていた。きっと、私と同じく目の回る吐き気を我慢しているのだろう。
地獄と化したゴルフ場で10分は経っただろうか。
それでも、彼女は諦めなかった。
安浦や渡部、そして、角田は、呼吸も弱弱しくなりだした。
私はグラグラとする頭で、吐いた。地面の吐瀉物からも湯気がでる。
「あ……赤羽……さん……強い……意志……を……もうちょっとよ」
彼女は体中の水分を一体どれくらい失ったかで……倒れる。