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あああああぁちょ学年主任の人神だぁぁぁ 翠っちゃんよ落ち着こう(?
保健室の空気が、
ぴん、と張りつめていた。
学年主任の視線を受けて、
翠は、しばらく黙っていた。
そして——
ぽつり、と。
「……先生。
俺、赫ちゃんが、守られるなら」
声は、驚くほど落ち着いていた。
「俺の命なんて……
どうでもいいです」
言い切り。
その瞬間、
学年主任の中で、何かがはっきり壊れた。
「……今、なんて言った」
低く、震える声。
翠は、困ったように眉を下げる。
「別に、
死にたいとかじゃないです」
急いで付け足す。
「ただ……
比べたら、優先順位があるだけで」
その言葉が、
どれだけ歪んでいるか、
翠はもう分からなくなっていた。
「最初は……」
視線が、ベッドのシーツに落ちる。
「最初は、
赫ちゃんのため、って思ってました」
「証拠集めれば、
処罰が重くなるって」
「俺がいれば、
あの人たちの矛先が、赫ちゃんに行かないって」
淡々と、
事実を並べるみたいに。
「でも……」
少し、間が空く。
「気づいたら、
それが“普通”になってて」
「殴られても、
蹴られても」
「……俺が耐えればいい、
って」
学年主任の手が、
強く握りしめられる。
「それは……」
言葉が、詰まる。
「それは“選択”じゃない」
はっきりと、否定した。
「壊されて、
そう思わされただけだ」
翠は、きょとんとした顔で、
先生を見る。
「……同じじゃないですか」
小さな声。
「結果、
俺が我慢すれば、
赫ちゃんは守られる」
「それで、
みんな助かるなら……」
そこで、
学年主任は一歩、距離を詰めた。
「……それを」
低く、震えた声で。
「誰かに、そう教えられたのか?」
翠は即座に首を振る。
「違います」
「誰も、言ってません」
一瞬だけ、視線が泳ぐ。
「……でも」
「そうしないと、守れないって」
いつからか、
そう思うようになってました。
その瞬間、
学年主任の中で“いじめ案件”という言葉が完全に壊れた。
これはもう、
一人の生徒が、
自分の価値を削り切ってしまった案件だと。
先生は立ち上がる。
「……これは」
深く、息を吸って。
「もう、君一人で抱える話じゃない」
翠は反射的に言う。
「家族には……言わないでください」
必死だった。
赫を守るために作ったはずの沈黙が、
今度は自分を縛り始めている。
学年主任は、翠をまっすぐ見た。
「それは、約束できない」
「っ…なんで、ですか」
学年主任は冷静に答えた。
「これは、命に関わる問題だ」
きっぱりと。
「でも一つだけ、約束する」
少しだけ声を落として。
「君を責める人間は、誰一人出させない」
その言葉に、
翠はなぜか——胸がざわついた。
怖い。
でも、少しだけ。
ほんの、ほんの少しだけ。
「……俺、間違ってますか」
自分でも驚くくらい、
弱い声が出た。
ここで答えは出さない。
でも今、確実に__
ひびが入った。