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14. ◇ 俺が全部悪い
もう駄目なんだね、啓吾……私とじゃあ。
ほんとにほんとに啓吾の話振りと、目の前の土下座までしている
啓吾の姿を見て悟った。
あれだけきれいじゃあね、勝てる気もしないよ。
はい、私の完全負けぇ~。
私は言葉も出せず、啓吾の様子を眺めるしかなかった。
すると、何を思ったのか啓吾が離婚の条件を出してきた。
「2人で店を持とうって貯めてきた貯金を、全額君に渡す。
金額は最初にとり決めしていた額より少なくて申し訳ないけれど」
と夫は450万円譲渡することを提案してきた。
450万円……。4年で450万円。
私が頑張って切り詰めて貯めた預貯金の額を
下回っていることにもshockを受けた。
最低でも800万円位は欲しいからと、わざわざ私と離れてまで
遠方の条件の良い店舗へ就職したはずなのに。
女との生活費や遊び、プレゼント等に使ってたということなのね。
大山貴理と出会い付き合い始めた頃から、
私との未来はなくしてしまってたんだ。
14-2. ◇失望
私は啓吾よりもずっと低い給与だったにも関わらず無駄使いをせず、
私たちの輝かしい未来を夢見て一生懸命貯蓄に励んできた。
だから低い給与の私ですら500万円を越えていた。
ふたりの貯金を合わせたら1300万円はあるはず、だから
ぼちぼち店舗の話し合いができると胸弾ませていたのに……。
なあ~んだ、ここでも私はがっかりした。
まぁ、この先一緒に苦楽を共にする相手ではなくなりそう
なのでどうでもいっか!
ガッカリだよ全くぅ。
啓吾は通帳を見せてきた。
他に隠していなければ本当なのだろう。
まだ全額女との生活につぎ込んでいなかっただけ
良しとしなければいけないのかもしれない。
私は素直に啓吾の提案を受け入れることにした。
慰謝料のようなものなんだから、遠慮しなくていいよね?
小さな店舗なら私ひとりでも薬局を立ち上げられそうだな、なんて
思いつつ。
「分かった。
慰謝料ってことで遠慮せずいただきます。
あなたも罪悪感が減るでしょうしね」
近日中に私の口座へ入れてくれることになった。
そして啓吾は遅い時間にもかかわらず折り返し、そのまま
自分のあちらの住居へと帰っていった。
帰り際――――
「ほんとにこんなことになってごめん」と言って。
ごめん、かぁ~。
ごめんのひと言で随分なことをやらかしてくれるんだね。
いつかあの女も啓吾も今の私のように惨めで寂しい想いを
すればいいのに、って思っちゃった。
思うくらい、いいよね。グスン。
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