テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
助けを求められたら誰であろうと手を差し伸べてしまうほどのお人好し
耳下まで伸びた黒くて真っ直ぐな髪の毛
鋭い目もとに、小さい瞳
それが防衛3番隊隊員 日比野カフカ
『ぴぴっ…ぴぴっ…』
ふんわりとした意識から現実に引き戻すように規則的に鳴るスマホのアラームを止める
ナイトブラとタンクトップ、下には半パン。という側から見れば驚く以外の何者でもない女性らしからぬ格好で起き上がったカフカ。
フワァと大きめな欠伸をしたところで、洗面台に向かう
顔を洗い、歯を磨き、運動服に着替える
軽くまとめた後ろ髪が扉を閉めた反動で少し揺れた。
朝の4:00朝食と言うのには余りにも早すぎるこの時間、夜間警備か交番の人間でなければ殆どの隊員は寝ている時間。そんな中カフカは1人日課のランニングに徹していた。一周1Kmの訓練用のランニングロードはカフカ以外誰も走っているはずもなくカフカの砂を蹴る音だけが薄く光る星が吸収していった。
(基礎が固まらないと能力が身につかない、だからまずは基礎を完璧にする…)
その思いのまま脚を毎日進めていく。幼い頃にした強く綺麗な彼女との約束を果たすために。
五周を終えて汗を拭こうと水道に向かった。ふと顔上げると暗かった空がほんのりと明るくなり始めた。
「カフカ?」
「ッー保科副隊長っ!おはようございます」
「おん、おはようさん」
後ろから急に聞こえた声に驚き振り向くと副隊長が立ってた。
格好からしてきっと保志副隊長もランニングをしていたのだろう。にしても朝から走るなんて真面目な人だ…
「カフカはいつから走っとったん?」
「大体…」
ふと腕時計を確認すると起きてから30分は過ぎていた。
「4時に起きたんで…大体10分からですかね」
「早起きにも程があるやろ」
「大丈夫ッス、俺はもっと強くなんないといけないんで」
「無理はせぇへんように」
そう言った副隊長は俺の頭を軽く撫でた。
俺副隊長よりも年上です普通に30過ぎのオバサンなんですけど…
「…副隊長は、いつから走ってたんです?」
静寂が居た堪れなくて頭に浮かんだ簡単な疑問を口に出した。我ながら何と陳腐な質問なのか…と少し辟易する。
「あぁ、剣道場出たんが15分やから、25くらいちゃう?」
「そうなんですね…」
早くも話題が尽きた。どうしよう、なんか、なん…あっ
「あの、保科副隊長は」
「ん?何や」
頭から手を退けて不思議そうに耳を傾けてきた。その何気ない仕草ですら絵になるな…
そう思っのは心にしまっておく
「えっと、その…み、n亜白隊長と、お付き合いを、してるんですか?」
『保科、ちょっといいか』
訓練場には普段顔を出さないミナ…亜白隊長が、ちょうど保科副隊長が俺に剣術を教えていたときに来た。
短く保科副隊長を読んで訓練場から出て行った。数分して戻ってきたけど、2人は俺を一瞥した後に顔を見合わせて笑ってた。
きっと2人は仲がとても良いのだとその時は思ってた。
コンコンと隊長室の扉を叩き怪獣討伐の報告書を持参したことを伝えた。
でも中から聞こえてきたのは、亜白隊長の声じゃなかった。
『入ってええよ』
東京じゃあまり聞かない西の方の訛り方。
保科副隊長の声。
全く持って意味がわかんなかったけど、今更帰るわけにも行かない…
『し、失礼します』
ドアノブをゆっくりと捻って慎重に入室した。
でもそこにはやっぱり亜白隊長は居ないし、保科副隊長がソファーに腰掛けてた。
『亜白隊長って、どこに…』
『亜白隊長は今居らんのや、すまんなぁカフカ。』
『あ、いえ大丈夫です。』
亜白隊長は居ないからと帰ろうと思ってた。
『僕が亜白隊長に渡しとこーか?』
そう言いながら笑った保科副隊長。
きっとこの後俺がもう一度来た時に亜白隊長との時間がなくなるのが嫌なのだろう。
そう勝手に結論付けて、副隊長にお願いしてその場を後にした。
それがつい1ヶ月前のこと
いや待て俺っ、そんなん本人に聞くことじゃねーだろ!?社会人として生きてきたんだろうが!?一応、俺って社会人してたよな!?本当に!?
目を見開いた保科副隊長が黙って見てくる。そりゃそうだろ…上官のプライベートなんて聞くんじゃなかった!!
いやまぁ、ミナは綺麗で可愛いし保科副隊長には合うと思うけど!
実際にどうなのか知らないし気になったけど、気まず過ぎるのでさっさと謝って退散することに決めた。
うんそうしよう。
「…あ、すみません、忘れてください。失礼でしたね。プライベートをお聞きするなんて」
頭を下げながら謝って、失礼します。と残してダッシュで逃げた。
マジで後々滅茶苦茶説教喰らいそうで怖い。
あれから、ずっと保科副隊長俺の方見ているし…きっと監視なのだろう他にバラさないように。
ううっ、刺さる視線が痛い。
しかも最近は亜白隊長を見掛けなくなった。
きっと保科副隊長から伝えられたのだろう、幼馴染なのにめっちゃ離れたのに、さらに心まで離れた気がした。
ミナには、呆れられたかな…
そう考えてた俺にはレノ達が呟いていた「日比野百面相」という言葉は入ってこなかった。
「カフカちょっとええか…」
寮の自室で髪を拭いていた時に、ドアをノックして声をかけてきた保科副隊長がドアの前にいた。
急いで、扉前の電気をつけて鍵を開けた。
焦って足が一瞬滑りそうになってビビった。
「保科副隊長、書類に不備でもありましたか?」
「いや、ない。それのことやなくて…」
そのどもりで察してしまった、亜白隊長との事を聞いて事だな!土下座でもした方がいいか…
「あー、えっとなら取り敢えず、中入ります、か?」
うん気まずい!!
「あ、ええの?」
「はい!大丈夫ッス」
「なら、お邪魔するわ…」
いやなんで俺は招き入れた!!扉ってか玄関のとこで良かっただろ…
「コーヒーでも飲みますか?入れますよ」
空いてるベッドに座ってもらって、話題を少しでも伸ばすためにコーヒーを淹れると言って台所に逃げた。
居た堪れない。
逃げたい。キコルとかの部屋に!!
「どうぞ…」
存外さっさとできてしまったコーヒーをローテーブルに置いて、床に正座した。
うん、絶対にそうした方がいいじゃなきゃ多分俺副隊長にサラッと殺されそう…
考えただけでも背筋が凍る。
「あの、話とはなんでしょうか?」
「亜白隊長とのことやけどな…」
恐る恐る話を促せば保科副隊長は口を開いた。やっぱり、あのことかぁ…
「すみません、保科副隊長のプライベートの事をを確認も取らずに質問した点、ここに謝罪いたします。」
「えっ、いやちゃうちゃう」
「謝らんでええよ」
「え?」
「あんな、カフカ言うとったけど別に亜白隊長付き合うてないで」
「えっ!?」
恋人じゃないのかよ…マジで?
「そう、なんですねえーと、」
ってことは、付き合えてないけど好きだから、亜白隊長のタイプを教えて欲しいってことか!!
「亜白隊長の好きなタイプとかなら…知ってます。」
「亜白隊長の、タイプ?」
俺の顔を見た保科副隊長はさっきと一変して急に笑い出し始めた。
「アハハハハハハ、ヒィ。カッフカなんやその顔wwwww」
そう言いながら盛大に笑ってる。
「ハァー…オモロかった」
そう言って笑い涙を拭いた保科副隊長は呼吸を整えた途端まるで怪獣を前にしているようなほどに、真剣な目付きをした。
「カフカよぉ聞いてくれるか」
「了」
「僕は亜白隊長のことを上官として信頼しとる。」
「けど、それはあくまでも上官として、や。それ以上でもそれ以下でもない。」
普段と同じ音程で出されるその声は普段と違い、少し冷たく思ってしまう。
今の俺に口を挟む権利はない。それほどの圧を肌で感じた。
「…それに、他に好いとるやつが居るし」
一気に柔らかくなった声色は暖かく、穏やかだった。
亜白隊長でないのならば誰なのか…キコルか、小此木さんか…
知り合いならば、仲介役にはなれそうだ。あ、いやでもそう言うのが嫌なタイプかもしれない。保科副隊長は…
「そうなんですか、きっと保科副隊長なら行けると思いますよ。」
「どーやろか…相手は手強いんよ」
「俺が保証するッス!保科副隊長カッコいいんで多分大丈夫ッスよ!!」
こんなオバサンでも何かの力にはなれるだろう!!
「せやったらちょっと相談してもええか?今」
「了!」
「あんな、その子な自分が向けられた好意に滅茶苦茶鈍感なんよ」
「はぁ…」
キコルか??アイツちょっとツンデレだしなぁ。小此木さんならも仕事に夢中で気付いてないってことか??
「しかも、そいつ討伐隊で闘ってるんよ」
やっぱキコルかな…キコルだったら手強いだろうなぁ。色々と
「成程」
「その上、自分を顧みずに全線に突っ込んでいくようなバカなんよ」
「……?」
あれ、3番隊じゃない??
「近くに居っても全く意識せんし、薄着で自室で過ごすし…困ったもんよなぁ」
「努力をするのはええんやけど、頑張りすぎるとこもあるんや」
「そうなんですか…」
保科副隊長とそんな距離近い女子居たっけ?
「この前なんか4時に起きてランニング1人でしてたって聞いて、驚いたんよ」
「まぁ、そう言うことがええとこやし好きなんやけど…」
目を開いて真っ直ぐ俺を見つめる…え?
「それにな、自分が誰かの恋愛対象になることなんてないって思っとるんよ〜」
あれっ?え?
「な?手強いやろ」
真紅の瞳をゆっくりと細めて、首を少し傾げる。
その赤には緑が写ってる。
「なぁ、カフカ」
ダメだ
「これでも」
戻れなくなる
「僕」
布団から降りた副隊長が近づく
「その子に」
頬に手が触れる感覚
「好きになってもらえるやろか?」
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コメント
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ぎゃああああ好きぃぃぃ 続きが楽しみ