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お待たせしました🙇♀️
第2話です!どうぞ
※ワンク
病気(認知症)に関する表現を含みます
また、このお話は二次創作であり、
ご本人様とは 一切関係ございません
苦手な方は自衛をお願いいたします🙇🏻♀️
Episode.2
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紫:side
授業中、黒板の文字がやけに遠く感じた。
チョークの音が、頭の中で響く。
英語の小テスト。
問題は、見覚えがある。
ある、はずなのに。
「……」
ペンが、止まる。
単語が出てこない。
昨日、やったはずなのに。
何度も書いたはずなのに。
頭の中に、ぽっかりと穴が空いたみたいに、
そこだけが、抜け落ちている。
「……っ」
隣の席から、紙をめくる音がする。
焦りだけが、じわじわと広がっていく。
――思い出せ。
必死に辿ろうとするほど、
逆に遠ざかっていく気がした。
結局、いくつかの問題を空欄のまま、
テストは終わった。
𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃
赤「どうだった?」
休み時間、なつが振り返る。
紫「んー……微妙」
苦笑いを浮かべると、
なつは「珍しいじゃん」と目を丸くした。
赤「いるま、英語得意じゃなかったっけ」
紫「……まあ、ちょっとミスっただけ」
軽く肩をすくめて見せる。
本当は、“ミス”なんて言葉じゃ足りない。
分からなかったんじゃない。
――思い出せなかった。
赤「ね、放課後さ」
なつが少しだけ声のトーンを落とす。
赤「約束、したじゃん?」
紫「……え」
一瞬、言葉に詰まる。
約束?
何の?
頭の中を探っても、それらしい記憶が出てこない。
赤「え、うそ。もしかして忘れた?」
困ったように笑うなつ。
その顔を見て、胸がざわつく。
紫「……いや、覚えてる」
反射的に、そう答えていた。
中身なんて、何も思い出せていないのに。
赤「ならよかった」
安心したように笑うなつ。
赤「じゃ、放課後な。ちゃんと残れよ?」
紫「……おう」
軽く頷きながら、視線を逸らす。
なつは一瞬だけ、何か言いたげに口を開いてーー
けれど結局、何も言わずに笑った。
でも――
自分の中にあるはずの“記憶”が、
どこにも見つからない。
放課後までの時間が、やけに長く感じた。
ーーああ、そうか。
今朝、なつが言ってたんだ。
“放課後残ろう”って。
思い出せたはずなのに、
その先が、うまく繋がらない。
記憶に、途切れた部分があるみたいだった。
𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃
放課後。
教室に残る生徒は、もうほとんどいなかった。
窓の外が、少しずつオレンジに染まっていく。
赤「んで、どこ分かんなかったの?」
なつが机に頬杖をつきながら、こっちを見る。
紫「あー……単語、ちょっと」
曖昧に答えると、なつは「どれどれ〜」
と身を乗り出した。
ノートを開いて、指で一つの単語を指す。
赤「え、これ、昨日やったやつじゃん」
紫「ぇ……」
ノートの文字を見た瞬間、
ほんの一瞬だけ、
“初めて見るみたいな感覚”が走った。
見覚えはある。
でも、“覚えている感覚”がどこにもない。
紫「……そう、だっけ」
思わず、口からこぼれた。
なつの動きが、ぴたりと止まる。
赤「え?」
小さな声。
しまった、と思ったときにはもう遅かった。
紫「いや、なんでもない」
慌てて笑ってごまかす。
紫「ちょっと、ボーっとしてたから覚えてなかっただけ」
赤「……ほんと?」
じっと見つめられて、視線を逸らす。
紫「ほんとほんと」
軽く手を振ってみせる。
なつは少しだけ考えるような顔をして――
赤「…ならいいけど」
その声は、少しだけ引っかかるような響きをしていた。
なつは一瞬だけ、 何かを言いかけて
ーーやめた。
そして、そのままノートに目を落とす。
𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃
帰り道。
隣を歩くなつの横顔を、何度も見てしまう。
さっきの沈黙が、頭から離れない。
あの一瞬、なつが何を考えていたのか——
それだけが、やけに気になった。
ーーやっぱり、おかしい。
そう思った、次の瞬間。
赤「なぁ、いるま」
名前を呼ばれて、顔を上げる。
紫「…ん?」
赤「今日さ、付き合ってくれてありがとな」
柔らかく笑うその顔に、
胸のざわつきが、少しだけ静まった。
紫「……別に」
ぶっきらぼうに返しながら、
少しだけ視線を逸らす。
赤「もう、素直じゃねぇなぁ笑」
紫「…うっせ⸝⸝⸝」
笑い合う、その一瞬だけは――
何もかも忘れていられた。
――この時はまだ、思っていた。
大したことじゃないって。
少し疲れてるだけだって。
でも。
あの違和感は、
確実に、少しずつ広がっていた。
――もう、戻れないところまで。
気づいた時には、遅かった。
to be continued
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第2話読んでいただきありがとうございました!🙇🏻♀️
不定期投稿で期間が若干空いてしまうこともありますが、続きもまた楽しみにしていただけると嬉しいです!✨️
ではまた次回!第3話もお楽しみに〜👋
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