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テーブルの上にレモンの酎ハイ缶が二缶とチーズケーキを並べる。
「この時間から食べるのは勇気がいるけど、美味しそう」
「昨今のコンビニスイーツの進化は凄いらしい」
「らしいって」
「ニュースで見た」
「うけうり?」
「そう」
隣に座る賢一の肩に頭を預けると、そっと手が添えられた。
それだけで安心する。
「男女の友情は成立する派だったの」
唐突に話を始めてても賢一は止めることなく無言で聞く姿勢を示してくれる。
「よく、男女の間で友情は成立するか?って話が出るでしょ、私は成立すると思っていた。でも私が友人だと思っていても友人の恋人からすれば私は恋人を脅かす存在になるんだって、例えば賢一に女友達がいて頻繁にやり取りしている姿を見ると心が騒つく」
森川彩香からの電話がそうだから。
「だから、男女の友情は当事者同士ではどうにもならないところで不可能なんだと思った」
プシュ
賢一から缶酎ハイを一本受け取る。
すでにプルトップは立てられていた。
プシュ
もう一本も開けて軽く缶を重ねてから二人並んで喉に流し込んだ。
チーズケーキを口に運ぶと、口中にほんのりとした甘みと酸味が空腹の体に沁み渡る。
「美味しい、考えてみたら夕食もまだだった」
一気に残りを平らげると酎ハイも一気に飲み干した。
「チーズケーキと酎ハイって結構あうのね」
「チーズだからね」
「なにそれ」
なんだか可笑しくて二人で笑った。
「仲直りも出来たし、俺は帰るね。何かあったら必ず相談して」
「うん」
賢一が出て行ったドアを見つめる。
男女の友情の話、賢一は何も言わなかった。
森川彩香は友人ではないの?